一戸建ての売却に良い期間は?失敗しないためのコツを伝授

一戸建ての売却に良い期間は?失敗しないためのコツを伝授

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一戸建ての住宅を売却する際、どのタイミングで売却するのが良いのでしょうか?
売却の際に失敗しないためには、売却全体の流れを押さえ、適切な期間を見極める必要があります。

また、失敗しないためのコツは他にもたくさんあり、それらを知っているかどうかは成否に大きく関わります。

この記事では売却全体の流れに着目しつつ、一戸建ての売却の内容についてご紹介します。

目次

一戸建て売却の流れについて

一戸建て売却の詳細について知るために、まずは全体の流れを押さえましょう。
売却の流れはおおむね以下のように構成されます。

  • 事前準備
  • 不動産会社への査定依頼
  • 不動産会社の決定
  • 売り出し価格の決定
  • 売却活動を開始
  • 決済からの引き渡し

売却全体にかかる期間は、一般的に6カ月ほどと言われています。
売り出し前の期間で約2カ月、売却活動で3カ月、売り出し後の期間が1カ月という具合です。

ただし一戸建ての売却はマンションよりも時間がかかる傾向にあり、1年以上かかることも珍しくありません。

中でも最も時間のかかる売り出し中の期間が、全体の流れに大きく影響します

こざかな生徒
こざかな生徒

不動産の売却には多くのステップが必要なんですね

売却をスムーズに進めるためにも、大まかな流れをつかんでおきましょう

クジラ先生
クジラ先生

事前準備

一戸建て売却をスムーズに行うためには、査定依頼を出す前の準備が大切になります。

家の状態に加えて、道路との接し方等も一戸建ての場合は重要です。
ある程度の相場情報も、事前に調べておいて損はありません。

これらの情報を仕入れておくことは、より高く売ることにも役立ちます。
身分証や印鑑等、売却のための必要書類も早い段階で準備しておくとスムーズです。

不動産会社への査定依頼

ある程度の相場情報を仕入れ、売却のための準備ができたら、不動産会社へ査定依頼を出しましょう。
査定には訪問の必要がない机上査定、実際に家を見てもらう訪問査定の2種類があります。

依頼する不動産会社が決まっていない場合は、オンラインの一括査定を利用すると便利です。
オンライン査定自体は無料で受けられるため、各社の対応を参考にすることができます。

不動産会社の決定

各不動産会社の対応や査定価格を参考にして、売買を仲介してもらう不動産会社を選定します。

媒介契約には1社のみに依頼する専任媒介契約および専属専任媒介契約、複数社に依頼を出せる一般媒介契約の3つがあります。
それぞれに以下のような特徴があります。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
複数社との契約不可不可
自身で見つけた買主との取引不可
販売状況の報告義務なし2週間に1度1週間に1度
契約期間なし3カ月3カ月

他にも指定流通機構への登録義務の有無等、様々な違いが見られます。
不動産会社と相談の上、自分に適した契約形態を選びましょう。

売り出し価格の決定

仲介してもらう不動産会社が決定した後は、売却戦略を練っていきます。

売り出し価格はその後の売却活動を大きく左右するとても重要なファクターです。

事前に仕入れた相場情報や査定結果等を見つつ、慎重に価格を決めましょう。

売却活動を開始

売り出し価格を決定した後は、いよいよ売却活動に入ります。
契約した不動産会社に広告を出してもらい、内覧希望者がいれば対応しましょう。
購入後のトラブルを避けるため、欠陥部分であっても物件に関する情報は正確な開示が求められます。

物件に対する反応を見つつ、売り出し価格を変更する等、臨機応変に対応することがポイントです。

売買契約、引き渡し

購入希望者と条件の擦り合わせができたら、売買契約を結びます。
売買契約後は、早めに引っ越しの手続きを済ませ、余裕をもって引き渡し日を待ちましょう。

引き渡しを以て流れとしては終了ですが、その後の税務申告等も控えているので注意が必要です。

一戸建て売却の流れ

インスペクション

上記の流れには組み込まれていませんが、媒介契約を行った後、インスペクションのステップを挟む場合があります。
インスペクションは専門家による建物調査の事を言い、家の状態を把握するために役立ちます。

基本的には媒介契約を結んだ後、不動産会社から必要か否かを問われるので、必要であれば売主負担でインスペクションを行います。

その後の流れは上記と全く同じです。
インスペクションの費用相場は、一般的に5万円程と言われています。

不動産会社に直接売却を頼むことも

不動産会社に協力してもらう流れを上で示しましたが、会社に直接買い取ってもらうやり方もあります。

売却相手を探す場合と比較して価格は低くなりますが、その代わり仲介手数料はかかりません。
物件の買い取り相手を探す手間が省けるため、スピーディーに取引できることが特徴です。

売却相手を急ぎで探している場合は、直接買い取りも視野に入れるとよいでしょう。

引き渡し後の確定申告も忘れずに

不動産の売却によって課税譲渡所得が生じた場合は、確定申告が必要です。
引き渡しが終わった時点で油断せず、税金発生の有無にも気を配りましょう。

売却に伴う諸費用については、後述にて詳細を載せてあります。

一戸建て売却に必要な書類

不動産売却には、様々な書類が必要です。
何が必要なのかを知っておけば、スムーズに売却を進めることができます。
まずは必要書類について、以下の表を御覧ください。

必要な書類あると良い書類
身分証明書
実印・印鑑証明書
登記済権利証・登記識別情報
間取り図・測量図
固定資産税通知書
地積測量図・境界確認書
建築確認済証・検査済証
住民票
固定資産税評価証明書
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
建築設計図書・工事記録書
地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
ローン残高証明書または住宅ローンの償還表
銀行口座書類

一戸建ての売却に必要な書類は7つあり、それとは別に推奨される書類があります。
マンションの場合や状況によって多少の変動はありますが、基本的には表の通りです。

こざかな生徒
こざかな生徒

必要な書類だけでもかなりありますね

用意できる書類は早めに準備するのがポイントです

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

あると良い書類についても知っておくことで、スムーズな手続きが進みそうですね

どんな書類があるのか、一つずつ見ていきましょう

クジラ先生
クジラ先生

身分証明書

売主の身分を証明するための書類です。
運転免許証やパスポート等がこれにあたります。

健康保険証やマイナンバーカードも利用可能で、何が使用できるか不動産会社に確認を取ると良いでしょう。

不動産に共有名義人がいる場合は、全員分の書類が必要となります。

実印・印鑑証明書

身分証明書と同じく、売主本人の確認として登記時に必要となります。
印鑑証明の書類は、各自治体の役所で所定費用を支払うことで発行してもらえます。

共有名義人がいる不動産では身分証明書同様、全員分の用意が必要な点に留意しましょう。

登記済権利証・登記識別情報

売却する不動産に対しての権利を証明する書類です。
物件の買い取り主に権利を譲渡する際求められます。

2005年以前に購入した物件の場合は登記済権利証、それより後の場合は登記識別情報と呼ばれています。

間取り図・測量図

それぞれ物件の間取り、土地の測量結果を確認するために用います。
物件情報が曖昧だと売却に差し支えるため、正確な図面を用意しましょう。
測量図に関しては、後述の地積測量図が公的な書類として役立ちます。

また、販売パンフレットがある場合はアピールポイントの補強に用意しておくとよいでしょう。

固定資産税通知書

不動産の所有者に送付される書類で、固定資産税を精算するため必要です。
毎年5月ごろに税務署から送付されるため、紛失しないよう気を付けましょう。

万が一失くしてしまった場合は、固定資産税評価証明書を役所で発行してもらえば代用が可能です。

固定資産税評価証明書は固定資産税通知書と異なり、自治体ごとに所定の発行費用がかかります

地積測量図・境界確認書

マンションの売却と異なり、一戸建ての売却には地積測量図および境界確認書が必要です。
地積測量図は土地の測量結果を示す公的な測量図で、謄本に記載されています。
法務局で所定の費用を払うことで書類が入手できます。

また、境界確認書は隣家との境界を示す書類で、売却前の提示を求められることがほとんどです。

いずれの書類もない場合には、土地家屋調査士に依頼して手に入れましょう。

建築確認済証・検査済証

建築確認済証も一戸建ての売却時に必要となる書類です。
検査済証と呼ばれる場合もあり、建築時に建築基準法を満たしていたことを証明します。

購入時に売主から受け取りますが、再発行はできません
万が一失くしてしまった場合は、各自治体の役所にて台帳記載事項証明書の発行が必要です。

住民票

不動産が登記されている住所と実際の住所が異なる場合には、住民票が必要です。
住民票に登録された市区町村の役所で発行してもらいましょう。

固定資産税評価証明書

自治体によって名称や様式の違いはありますが、固定資産税を計算する際に用いられる書類です。
都や県の税事務所で発行でき、土地と建物で別々に取得します。

売却に必要な固定資産税通知書とは異なる書類であることに注意しましょう。

耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 

耐震設計に問題がないか、アスベストが使用されていないかを確認するための書類です。

安全性を示すことで、買主を安心させることができます。
物件のアピールポイントとして、用意するに越したことはありません。

建築設計図書・工事記録書

住宅の建設時に必要な図面や仕様書で、売り出す物件が建築基準法等を満たしているか確認できます。
物件の安全性をアピールするため用意しておくと良いでしょう。

また、リフォームの際の参考書類としても使えます。

地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書

いずれも住宅の安全性を証明するために役立つ書類です。
地盤、住宅性能の観点から安全性を補完します。
他の書類と合わせて用意しておけば、万全の体制で取引に臨めます。

ローン残高証明書または住宅ローンの償還表

ローンの支払いが済んでいない中で物件を売却する場合には、ローン残高証明書が必要です。
現在のローン状況を不動産会社と購入希望者に伝えるだけでなく、売り出し価格を決める際にも欠かせません。

金融機関から定期的に送られる住宅ローンの償還表でも確認できるので、どちらを使っても結構です。

銀行口座書類

売買代金から必要経費を差し引いた利益を振り込む際に求められます。
支店番号や口座番号等の口座情報が載った書類と通帳を用意しておきましょう。

代理人が売却を行う場合

代理人が売却を行う場合、以下の書類が必要になります。

  • 代理人の実印および印鑑証明書
  • 代理人の本人確認書類
  • 売却のための委任状

これ以外は基本的に一般のケースと同様ですが、委任者の印鑑証明および住民票が必要です。

海外在住者が売却を行う場合

日本国内に住所のない、1年以上海外に住んでいる海外居住者は、以下の書類が必要です。

  • 在留証明書
  • 署名証明書

これらはそれぞれ住民票と印鑑証明にあたる書類です。
いずれも日本領事館または日本大使館にて入手します。

確定申告後に必要な書類

不動産売却で得た利益によって確定申告が必要になった場合は、以下の書類が必要になります。

  • 確定申告書B様式
  • 離課税の申告書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 購入時・売却時それぞれの売買契約書
  • 登記簿謄本
  • 仲介手数料等、諸費用の領収書

このうち売買契約書と領収書を除く書類は、税務署または法務局にて取得可能です。
最後の仲介料手数料については、後述の費用のセクションにて詳しく記載しています。

こざかな生徒
こざかな生徒

特別な書類が必要になることもあるんですね

他にも法人の場合などの特殊ケースでは別途書類が必要です

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

なるべく早めに調べておくと安心ですね

売却で失敗しないためのコツ

一戸建てを売却する際、できることなら高く、好条件で売れるようにしたいものです。
売却で失敗しないためには、売却の仕組みを理解し、しっかりコツを押さえなければいけません。

以下に記した各項目のコツを学んで、納得のいく売却を実現させましょう。

売却の流れを頭に入れておく

不動産を購入する時とは違い、売却の際は売主の自発的な行動が求められます。

事前準備なしに売却に動くのではなく、できる範囲での情報収集と流れの理解をしておくとスムーズです。

前述にある売却の流れを頭に入れ、大まかな相場を把握しておきましょう。

不動産会社の一括査定を利用する

まず重要となってくるのが、不動産会社の一括査定の利用です。
複数の会社で査定を出すことで物件の適正価格を把握でき、データに基づいた売り出し価格が決められます。

1社だけの査定だと適正価格かどうかの判断が難しく、大きな損失を被る恐れもあるので注意が必要です。

複数社に訪問査定を頼むやり方もありますが、オンラインの一括査定で済ませることも可能です。
オンライン査定は無料かつスピーディーに行えるので、効率的に相場が知るのに適しています。

不動産一括査定サイトの強み
不動産売却一括査定サイト徹底比較

売り出し価格は慎重に決める

売却活動において、売り出し価格の設定は最も重要な要素の1つです。
売り出し価格は高ければ高いほどいいというわけではありません。

高すぎる価格に設定すると買い手がつかず、徐々に値段を下げることになります。
長期間にわたって値段を下げ続ける物件は買い手に敬遠され、結果的に適正価格を大きく下回る恐れがあります。

それを避けるためにも適正価格を見極め、戦略に合った値段に決めなければいけません。

信用できる不動産会社を選ぶ

専任媒介契約または専属専任媒介契約で1社の不動産会社を選ぶ場合は、信頼できる会社の見極めが必須です。

以下の点等に注意しつつ、自分の物件に適した会社を選びます。

  • 査定結果は適正価格か
  • 一戸建て住宅の販売実績があるか
  • 近隣での販売実績があるか
  • 対応は迅速で丁寧か

これらの点に加えて、独自サービス等を比較し、総合的に判断すると良いでしょう。
会社だけでなく、物件を担当してくれる方の対応も重要な判断材料です。

判断に迷う場合は、一般媒介契約に切り替え複数社に依頼を出すのも一つの手です。

築年数に合った価格を提示する

築年数と売却価格は密接な関わりを持っており、絶対に見逃せないポイントです。

築20年で建物の資産価値は無くなると言われていますが、特に一戸建ては価値の減衰が顕著です。
築10年以上が経った物件の場合、ほぼ土地代のみとなる可能性も否めません。

売却する意志が固まった物件は放置せず、なるべく早く売却準備を進めましょう。

シロアリ被害や雨漏りの有無を確認する

売り出す物件については、良い面以外の条件についても開示する必要があります。
シロアリの被害や雨漏りのチェックを怠り、売却後に発覚した場合、瑕疵担保責任で大きな負担を被りかねせん。

状況によっては契約解除の恐れもあるため、注意しておきましょう。
瑕疵担保責任の対象となるのは、これら他に給水管の不具合や土壌汚染、地下埋蔵物等が挙げられます。

土壌汚染が起きていないか、地下に何か埋まっていないか等についても、可能な範囲でチェックしておくと安心です。

売却で失敗しないためのコツ

土地の使用履歴の確認が難しい場合は、売買契約の条文に特定の瑕疵の免責について記載するという手もあります。

近隣の過去の売却事例をチェックする

過去に近隣で売却された物件があるなら、チェックしておくのが無難です。
一戸建て住宅はマンションに比べ売れにくい傾向にあるため、慎重に価格を決定しなければいけません。

近隣の事例を参考にしつつ、なるべく相場を外れない価格を設定するようおすすめします。

仲介業者は一戸建ての売却で実績のある会社を選び、相談するのもおすすめです。
売りたい物件と似た条件の売却実績のある不動産会社があれば、心強い味方になります。

適切な売却時期を見極める

一戸建て住宅の売却に最も適した期間は、毎年2月から3月の間とされています。
ちょうど引っ越しのシーズンにあたり、売買がスムーズに進みやすい有利な時期なのです。

この時期に合わせて売れるよう、売却活動の開始自体は2から3カ月前にしておくのがベストでしょう。

一方売却に不利となるのは、8月あたりの売買が少ない時期で、売れ残るリスクが高まってしまいます。
有利な時期に売却するのが一番ですが、時期に合わせて価格設定を工夫することも大切です。

売却活動の長さに合わせて値段を決める

長期間かけてじっくり売るか、短い期間で売却を済ませたいかによって、価格設定も異なります。
じっくり売るのであれば、希望より少し高めの価格に設定し、少しずつ値下げするやり方が可能です。

一方、すぐに売ってしまいたいのであれば、初めから低めの価格設定を選ぶのが無難です。
価格次第では仲介でなく、不動産会社による直接買い取りの利用も視野に入れましょう。

土地の権利や境界を正確に把握する

隣接する家との境界や土地の権利について把握することは、一戸建ての売却時に必要な作業です。
地積測量図や境界確認書等をあらかじめ確認し、はっきりとさせておきましょう。

土地を巡ったトラブルになると、売却活動が滞るだけでなく、大きな損失にも繋がります。

住民同士の取り決めと地図の境界が食い違うことも稀にあるため、事前のすり合わせが重要です。

アピールポイントをまとめる

小さなことでも構わないので、購買意欲につながるアピールポイントはなるべく書き出しておきましょう。
間取りや築年数等の基本情報以外にも、アピールできる要素は多くあります。

  • 交通アクセス
  • 徒歩圏にある店舗や施設
  • 最寄り駅の様子
  • 近隣のバス停
  • 周辺の治安・生活環境
  • 日当たり・風通り

多角的な面から物件を見て、プラス情報があれば漏らさずアピールしておきましょう。

内覧にしっかり備えておく

内覧に備えて部屋や水回りを清潔に保ち、購入希望者に好印象を与えることも外せないポイントです。
ネットの写真と大きく違ったり、散らかっているとマイナスイメージを与えてしまうので注意しましょう。

捨てられる物は捨てて整理しておけば、その分部屋が広く見えるという効果もあります。

また、内装の整理はもちろん、外観についてもできるだけ整えたいところです。
外壁の掃除や植木の剪定を行い、内覧予定日の天気にも気を配る等、出来る範囲内での工夫が大切です。

居住者の印象も重要なアピールとなるので、購入希望者と接する際は明るい振る舞いを心がけましょう。

リフォームの際は相談を

売り出し前にリフォームを考えているのであれば、一度不動産会社に相談することをおすすめします。
リフォームすることで売り出し価格が上がることもありますが、その逆のケースもありえます。

築年数や家の状態次第で判断が変わるため、プロの意見が役立ちます。

また、過去にリフォームを行っている場合、リフォーム履歴を確認できる書類を用意しておきましょう。
中古物件の場合も、リフォーム歴の有無について確認しておくと安心です。

不動産売却の際にかかる費用

不動産売却を行った際は各種の税金や手数料がかかり、基本的には以下の3つに分類されます。

  • 不動産会社の仲介手数料
  • 売買契約書の印紙税
  • 住民税および所得税
不動産売却にかかる費用

各々どのような費用なのか、ここで説明していきます。

不動産会社の仲介手数料

仲介手数料は、売買を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料です。
物件の売買契約成立時、物件の引き渡し時の二度に分けて支払うのが一般的です。

ネット上での無料査定等は関係なく、あくまで売買を仲介した会社にのみ支払われます。
支払い額の上限は宅地建物取引業法により定められており、会社によらず一定です。
以下の表を御覧ください。

取引金額仲介手数料の上限
200万円以下の部分5パーセント+消費税
200万円超から400万円の部分4パーセント+消費税
400万超からの部分3パーセント+消費税

400万円を超えた分にかかる手数料は、いくらであっても最大3パーセントまでとなっているので安心です。
またこの比率は、一般媒介契約、専任媒介契約に関わらず適用されます。

売買契約書の印紙税

売買契約の際に必要な売買契約書には、印紙税と呼ばれる税が課されます。
納税方法は郵便局やコンビニ等で手に入る収入印紙を貼りつけて割り印を押すことです。

納税額は国税庁によって定められており、契約金額によって異なります
詳細は以下の表を御覧ください。

契約金額印紙税額
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円超から50万円以下400円
50万円超から100万円以下1000円
100万円超から500万円以下2000円
500万円超から1000万円以下1万円
1000万円超から5000万円以下2万円
5千万円超から1億円以下6万円
1億円超から5億円以下10万円
5億円超から10億円以下20万円
10億円超から50億円以下40万円
50億円超60万円

契約金額が上がるにつれて税金が上がり、50億円超の場合まで定められています。

租税特別措置法により、不動産の譲渡に関する契約書について、印紙税の軽減措置が講じられ、税率が引き下げられています。その概要等は次のとおりです(建設工事の請負に伴って作成される請負契約書についても軽減されております。)。

軽減措置の内容
 軽減措置の対象となる契約書は、不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成されるものになります。なお、これらの契約書に該当するものであれば、土地・建物の売買の当初に作成される契約書のほか、売買金額の変更等の際に作成される変更契約書や補充契約書等についても軽減措置の対象となります。

出典:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

住民税および所得税

住民税および所得税が発生するのは、課税譲渡所得がプラスとなった場合です。
課税譲渡所得とは、不動産の売却額から売却にかかった費用と不動産購入時にかかった費用を引いたものです。

この際の税率は金額ではなく、物件の所有期間に基づきます。
所有期間は物件を購入した日から、譲渡年の1月1日までの期間であり、売却日までの期間ではないため注意が必要です。

税率はこの所有期間が5年以下または5年を超えるかどうかに左右され、長期の方が低くなります。

以下の表を御覧ください。

区分所得税住民税
短期の場合30パーセント9パーセント
長期の場合15パーセント5パーセント

この表から、短期の場合の税の合計が39パーセント、長期の場合は20パーセントとなることがわかります。

出典:国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
出典:国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算

取得費が不明な場合の課税率

上述にある不動産購入時にかかった費用を取得費と言いますが、先代から土地を保有している場合等、取得費が不明なケースがあります。

このような場合は概算取得費として、譲渡価額の5パーセントで計算されます。

概算取得費が適用されると課税譲渡所得の額が大きくなり、その分税金も多額になってしまいます。
多額の課税を避けるためにも、取得費は明らかにしておくのが得策です。

購入当時の契約書類や領収書を利用したり、通帳の入出金履歴を利用する方法もあるため、税務署で相談するとよいでしょう。

3000万円の所得控除が受けられる

一戸建て住宅の売却時にかかる所得税および住民税は、売主にとって大きな負担となります。

そのため、個人住宅の売却の場合は、基本的に3000万円の特別控除を受けられるようになっているのです。

このシステムにより、前述にある課税譲渡所得の額から、最大で3000万円分の控除が受けられます。

売却益と売却損と特例

ただし注意点として、前年、前々年に既に控除を受けた場合等、一部のケースでは控除が受けられないので、事前に確認しておきましょう。
一戸建て住宅の売却相手が親族だった場合も控除の適用外となります。

また、控除を受ける条件として、確定申告を行わなければいけません。
正確には確定申告の際、各自治体の役所で取得できる除票住民票を提出することで控除が受けられます。

売却益が出ない場合でも、確定申告がない場合は控除が受けられないため注意が必要です。

出典:国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

建物を取り壊す場合

減価償却によって家自体の価値がほぼゼロになり、更地にして売る場合、建物の解体費用がかかります。

立地等によってばらつきは出ますが、坪当たりの解体費用はおおよそ以下の通りです。

家の構造解体費
木造4から5万円/坪
鉄骨造6から7万円/坪 
鉄筋コンクリート造7から8万円/坪

一般的な一軒家の解体費用は、100万円から150万円前後だと言われています。
また、売り出す際に買主負担として物件を売れば、解体費用を払う必要はありません。

こざかな生徒
こざかな生徒

不動産を売却すると、いろいろな費用がかかるんですね

仲介手数料は不動産会社とのルール、納税は国の制度ですから、きちんと払わなければいけません

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

あらかじめどの程度の仲介料と費用がかかるのか、計算しておくと安心ですね

費用分も忘れず計算に入れて、堅実な売却計画を立てましょう

クジラ先生
クジラ先生

まとめ

一戸建て住宅を売却する際は、何よりもまず売却の流れを理解することが重要です。

しっかり流れを理解した上で信頼できる不動産会社に仲介を頼み、適切な売り出し価格を決めることが、スムーズに売却するためのポイントです。

一戸建ての売却に必要な書類についても、早いうちから準備しておくに越したことはありません。
必須書類に加えて推奨書類も用意しておけば、売却活動を一層有利に進められます。

また、内覧に備えた外観整備と清掃を行って、明るい態度で接することも売却成功の秘訣です。
物件のアピールポイントを整理しつつ、購入希望者に良い印象を与えるように努めましょう。

この記事の監修・執筆者

未来不動産コンサルタント株式会社

代表取締役 小川 樹恵子

保有資格:不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸経営不動産管理士、FP2級、証券外務員2種、貸金取扱業務取扱主任者

【本サイト(鯨鑑定士の不動産売却・投資)のメイン監修者】2007年から2014年の間に、個人の不動産鑑定事務所ほか、住友不動産株式会社に勤務し、不動産鑑定評価実務や不動産売買の経験を積み、「不動産の鑑定評価から売却・購入までワンストップ対応!」をモットーに、2014年未来不動産コンサルタント株式会社を設立し、現在は、不動産鑑定・不動産売買のほか不動産実務等の講師なども務めている。

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鯨鑑定士の不動産売却・投資
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