自宅を売却したいと思っても、不動産って何だか難しいというイメージがありますね。
また金額も何百万、何千万単位となるので、フリマアプリで古着を売るのとは訳が違います。
人生で滅多にない大きな取引、自宅売却をスムーズにするための査定依頼の手順と、大切な財産を少しでも高く売るための方法について、情報をまとめました。
目次
自宅を売却したい時査定はどこに依頼する?
自宅を売るって言っても、何から始めたらいいのか分からないんですけど。
そうだね。家を売るためにはやることがたくさんあるからね。ところで自宅売却の全ては査定から始まる、まずは査定の依頼方法から見ていこう。
一生に一度しかない、大切な自宅の売却の始まりはまず査定から、自宅売却の運命はこの査定依頼の段階で全てが決まると言っても言い過ぎではありません。
そのためには優良な不動産会社選びが大切、業者選びのコツから具体的な査定の流れまで解説していきましょう。
自宅を売却することを決めてから実際に査定を依頼先するには、全国の不動産店頭またはインターネットによる一括査定が一般的です。
また不動産会社にも大手企業から小規模店まで様々、さらに得意分野など店舗によって特徴も細かく分かれています。
不動産会社選びのコツとは
なるほど、不動産会社を決めることが先決ですね。でも良い会社って、どうやって選べばいいのでしょうか。
不動産会社もたくさんあるからね。では絞り込むところからやってみよう。
インターネットでの一括査定は忙しい人におすすめ
自宅売却をすぐにでもしたいという忙しい人には、できるだけ多くの業者に査定を依頼できる、インターネット一括査定がお勧めです。
一括査定のメリットは
- 一度にまとめて査定ができるので時短になる
- スマートフォンから好きな時に出来る
- たくさんの業者の存在を知るので優良会社に出会うチャンスがある
時短、効率よく、利便性を重視するなら一括査定は最適です。
慎重に検討したい人は店舗探しと一括サービスの併用がおすすめ
一方、ネットが苦手、売却まで時間がある、業者を直接見て選びたい人には、ネット査定を活用しながら足で稼ぐ方が適しています。
店頭訪問のメリットは
- 店の雰囲気や営業マンの対応が直接見られる
- 顔を合わせることで多少の融通が効きやすい
- 地元の売買に強い
ネットは便利だけども、大きな取引だけにやはり顔を見た方が安心するというという声も少なくありません。
ただしその場合でも、ある程度の買取相場を知るためにも、参考として一括査定をするとより堅実です。
また一箇所だけでなく、最低でも3つ以上、複数の店舗を回ることがおすすめです。
信頼できる不動産業者の特徴とは
たくさんある中からの絞り込み方法はよく分かりました。その中からさらに良い会社を絞っていくのですね。
そのためには2つの方法があるから、ぜひ知っておこう。
大手と地域密着のメリットデメリットを知ろう
国内に星の数ほどある不動産会社、大手から中小規模までたくさんの種類がありますね。
ここで大手と中小店のメリット、デメリットをそれぞれまとめました。
大手不動産 | 中小不動産 | |
---|---|---|
メリット | 1.取引実績件数が多い 2.担当エリアが広く見込み客の数も多くなる 3.広告手段が充実している | 1.地域密着を掲げているので地元の情報に強い 2.エリアでの取引実績が多い 3.大手会社より融通が利きやすい |
デメリット | 1.契約ありきのため融通が利きにくい 2.対応が事務的 | 1.得意分野がはっきりしている 2.見込み客の絶対数は大手より少ない |
担当営業マンの実力を見極める
査定が終わりいざ売却となると、各種の手続きややり取りで最も多く接するのが営業担当、この担当者によって取引の明暗が分かれます。
信頼できる営業マンの特徴は3つ、しっかりと見極めましょう。
査定の数字の根拠を説明してくれる
不動産取引において、同じ物件でも会社ごとの評価はバラバラです。
その理由は査定方法に各社の取引実績や事例などが汲まれているから、さらに査定額に対して国の明確な法律はなく完全な自由競争です。
そのため、各社が持つ過去のデータなどを基に、金額が自由に決められているという実情があります。
しかしこの点について、しっかりとした根拠がないと当然顧客側としては納得がいくわけがありません。
特に相場や高い値をつけた業者と比べて低いと、その疑念はよりいっそう深まりますね。
こんな時に、なぜこの金額なのかについて、はっりきと数字や根拠を示し、分かりやすい言葉で答えてくれるかどうかを観察しましょう。
高い金額をつける業者が一概に良いとも言えません。
また、こちらの質問にけむを巻いたり、専門用語を羅列して混乱させる業者は取引しない方が無難でしょう。
所持資格をチェック
不動産の営業マンの資格と言えば宅地建物取引士、いわゆる宅建と呼ばれますね。
しかし実はこの宅建には落とし穴があります。
宅建業法では、従業員のうち5人に1人以上に宅建取得を義務付けていますが、逆に言えば5人に4人は資格を持っていなくても違反ではありません。
もちろん資格だけで全ては語れませんが、やはり優秀な営業マンであれば宅建を取ろうと考えない人などいません。
分かりやすく見分ける方法としてはおすすめです。
戦略的思考を持っているか
営業マンの人間性や対応についてはもちろんですが、肝心の販売力が欠けるようでは少々頼りないですね。
そこで聞いてみたいのが、この物件をどんな広告を使い、どんなターゲット層にアピールするのかなど、販売プランに具体性があることが望まれます。
この場合もやはり、一般人が聞いてもピンとくるような分かりやすい言葉で説明しているかを見ましょう。
会社の特徴、営業マンの質、この2つが大切なんですね。
そうだよ。査定を申し込むところはスタート地点だから、ここは絶対に間違えないようにしたいところだね。
不動産の査定はこのように行われる
不動産会社も決まりましたし、いよいよ査定開始ですね。
そうだね。売る方も不動産会社に任せっぱなしでなく、実際の流れを知っておくに越したことはない。ここもきちっと押さえておこう。
査定方法は2種類
実際の査定、どんな風に行われるか興味ありますね。
査定の方法は机上査定、訪問査定と呼ばれる2種類がある。それぞれ簡易査定、詳細査定とも言われてるぞ。具体的に説明しよう。
机上査定とは
机上査定(簡易査定)とは、実際の物件を見ず、データから価格を割り出す方法で、ネットの一括査定もこれにあたります。
算出の根拠は過去の実績、類似物件の価格、市場動向や経済の流れなどの要素を鑑みて計算されます。
ただしあくまでも数字上での金額なので、実際に物件を見た場合に大きく異なるという可能性も十分にあり得ます。
おすすめされるのは売却までに時間の余裕がある人や、ネットではなく店頭で不動産探しをする場合です。
概算価格なので参考として知るために使うのが適しています。
また、机上査定で出た金額よりも実際は下がるケースが多いため、ほとんどの場合後で訪問査定をすることになります。
訪問査定とは
訪問査定(詳細査定)とは、実際に物件を見てより正確な価格を算出する方法です。
物件そのものはもちろん、周辺の環境や条件、登記簿の情報も併せて見られます。
早く売却したい人、不動産会社の営業マンをしっかりチェックしたい慎重派の人向けです。
また物件の保存状態が大変良いか不具合があるか、一見矛盾していますがやや極端な場合にも勧められます。
築年数の割にきれいな状態であると、その部分がどのくらいアピールポイントになるかが分かります。
反対に欠陥や瑕疵などがある場合は机上査定より大きく価値が下がるので、それを予め知ることでより正確な査定金額をつかむことができます。
不動産会社はここを見ている
営業マンがどこを見ているって、すごく気になりますね!
その通り。この部分で査定価格の大まかな部分が決まるから、チェックしておこう。併せて必要書類についてもまとめてあるぞ。
不動産会社は査定の際、物件そのものだけでなく以下の点も価格算出の判断材料にしています。
- 駅からの距離、平坦さの度合い
- 周辺環境や治安、騒音や振動など環境要因
- 眺望や方角
- 構造や築年数
- 戸建ての場合は修繕箇所やリフォームの有無など
- マンションの場合はブランドであるかどうか
- 近隣地区の取引実績
書類の準備
訪問査定を行う場合にはいくつかの書類が必要です。
書類名 | 特記事項 |
---|---|
登記簿謄本 | マンションの場合は建物の証明だけで可戸建ての場合は建物と土地それぞれにつき必要。一通につき1,000円 |
公図 | |
土地の測量図または建物の図面 | マンションの場合は建物規則の記載書類も必要 |
登記済権利書 | 登記識別情報でも可 |
公的身分証明書 | |
印鑑証明書 | 発行より3か月以内のもの |
査定を依頼するときの注意点と伝えたいこと
信頼できる不動産会社を選んでも、まだ気を付けることってあるんですか?
自宅売却は人生でもめったにない大型取引だから、慎重すぎてちょうどいいくらいだ。注意点の他にも、伝えるべきことについても見ていこう。
複数の不動産会社を比較
査定依頼は、面倒でも必ず複数の会社に依頼しましょう。
なぜかというと、物件の価格算出は不動産会社の裁量に任されている部分があるからです。
査定してもらう物件が1つであるにもかかわらず、付けられた金額には500万くらいの差が出てしまうケースもあります。
そこで1社だけの価格で決めてしまうと、もっと高く売れたかもしれないと後悔することにもなります。
最低でも3社から、まとめて5社以上を簡易査定できるインターネットの一括査定サービスはこういう時に便利です。
会社選びを査定額で判断しないこと
いくつかの査定を依頼して気づくと会社ごとに価格も異なりますが、その中でやはり最高額をつけたところに決めたくなるのが心情です。
しかし高額をつけてくる業者が必ずしも優良だとは限りません。
そのような業者の中には査定額だけ高額をつけておいて、後から下方修正してくる悪徳業者も含まれているからです。
きちんとした不動産会社であれば、その金額をつけた根拠を、数字やデータを示して分かりやすく説明します。
数百万を得したつもりが逆に損しないように、会社選びは慎重になりましょう。
訪問査定を受けよう
複数の査定を受けていく中で、自宅の相場がおのずと見えてきたかと思います。
しかし詳細査定をしない限り、あくまでも概算見積ということを心得ておきましょう。
同じ地域、築年数の物件でも様々な条件が重なり合って価格は概算より大きく変動する場合もしばしばあります。
売主として伝えたいこと
また気を付けることばかりではなく、売主として伝えるべき3つのこともあります。
売主の希望
大切な財産である自宅を売るには、売主として希望していることを必ず伝えましょう。
ポイントは以下の点です。
- 販売価格はいくら以上を希望するか
- 時期はいつまでの売却を希望するか
- 購入時の条件があればそれも伝える
- 連絡手段や時間帯
この他にも要望があれば、小さなことでも伝えましょう。
なお自宅の売却にかかる期間は早くても2か月以上かかります。
それを考慮した上でもやむを得ず、といった場合は相談してみましょう。
セールスポイント
自宅のセールスポイントがあれば、それも伝えると業者も販売活動がしやすく、また買い手が早く表れやすくなります。
最寄り駅から平坦で徒歩5分、自然豊かで子育てには最適、閑静なので静かさを求めるにはおすすめなど、住んでいて気に入った点ももちろんです。
その他には、築年数が古くとも耐震改修をしていたりすると、セールスポイントが高くなります。
その際には、耐震診断結果報告書など、公的に発行された証明書類があります。
耐震関連の書類を取得した情報は謄本には掲載されませんので、持っていれば必ず提示しましょう。
瑕疵
欠陥や瑕疵があることはできれば伝えたくないことですが、これを正直に申告しないと後々大変なことになります。
買主が売却後に瑕疵が発見された場合は損害賠償を請求されたり、また契約解除を求められるなど、売主のみならず不動産会社も責任が問われてしまいます。
そのために、売主には瑕疵担保責任が課されます。
なお、瑕疵には4つの種類があります。
- 物理的瑕疵
- 法律的瑕疵
- 心理的瑕疵
- 環境的瑕疵
実際に査定の流れが分かると、不動産選びの参考にも役立ちますね。
その通りだ。任せっぱなしにせず、売主も賢くならないと自宅売却はうまくいかないぞ。
査定後の流れ
査定の手続きが終わったので、あとは待っているだけでいいんですね。
いいや違うぞ!査定が終わって契約が決まるまでの流れは知っておくべきだ。それに書類もだくさん出てくるから、早めの準備のためにも必要だ。
媒介契約の締結
査定価格に同意したら、仲介する不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約とは、物件の価格が決まった後の売買業務を不動産業者に託すことです。
媒介契約には一般、専任、専属専任の3種類があります。
それぞれの特徴を知って、メリットとデメリットについても学んでみましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約は、複数の業者に仲介を依頼できます。
また売主が自分で購入希望者を見つけた場合も売買ができます。
さらに明示型と非明示型があり、依頼している会社名を知らせるのが明示型、知らせないのが非明示型です。
複数の会社が募集することで買主が早く決まりやすい反面、契約メインで積極的な販売活動をしてくれない場合もあります。
専任媒介契約
媒介を依頼できるのは1社のみ、また契約の期限が3ヶ月と定められています。
購入希望者を自分で見つけることは可能です。
1社に任せるため、不動産会社も売主の物件に集中した活動ができ、さらに自分でも購入希望者が決められるなど自由度も高いです。
反面、見込み客の数はどうしても限られてしまうので、成約まで少し時間がかかることもあります。
専属専任媒介契約
専任媒介契約と同様、不動産会社1社のみに依頼でき、他の会社と並行しての媒介はできません。
売主に対して7日に1回以上の販売状況を報告する義務があるなど、さらに制限があることが特徴です。
専任媒介契約と同じく1社だけに任せられ、状況の報告がまめに行われるので現状を把握しやすいです。
しかし契約期間内の3ヶ月は他の業者に変えることができず、見込み客の数もやはり少なくなるという点もあります。
販売活動
街中でよく見かけるオープンハウスののぼり、あれこそが不動産会社の販売活動の分かりやすい例と言えるでしょう。
売り手としては直接必要な情報ではないかもしれませんが、不動産会社が具体的にどんな販売業務をしているかを知って損はありません。
不動産会社が行う、物件の販売活動の具体的な流れは以下の流れで行われることが多いです。
売り出し価格の決定
実際に販売する価格を決定します。
内覧の準備
内覧をするにあたって買い手希望者が訪れる機会が増えます。
自宅売却の中でも大変重要な部分なので、売主も営業マンになった気持ちで積極的に販売活動をサポートしましょう。
具体的な販売活動の内容
この間に以下3つのことを行います。
- 指定流通機構(レインズ)への登録
- 広告媒体への掲載
- オープンハウスの開催
レインズとは国土交通省から指名を受けた不動産流通システムが運営する、コンピューターネットワークシステムです。
全国の物件の売買情報が見られる業者専門のサイトで、専任媒介契約、専任媒介契約の場合は必ず登録しなければなりません。
これを基に、売主には販売状況が一定の日数間隔で報告されます。
買取保証
買取保証とは、決められた期限内に成約できなかった場合、不動産会社が物件を買い取る制度です。
買い手が現れなくても確実に買ってもらえるメリットがありますが、相場の価格よりも安くなることも覚悟が必要です。
どうしても売却されなければならない強い理由がある場合には適してます。
なお買取保証はすべての会社で行われているとは限りませんので、万が一の保険の意味でも、査定時に確認してみましょう。
売買契約の締結
晴れて成約、これで安心ですね。あとは契約書を交わすだけですかね。
そうだね。しかし契約書は大変大事な書類だから扱いには注意が必要だ。また経費の支払いがあるから、それについても事前に準備しておこう。
契約書の見方とチェックポイント
契約書を記入する際によく確認したい部分を挙げています。
会社によって文言に多少の差はありますが、おおむね共通しています。
また支払いも生じるので、合わせて確認し、準備できるものは事前に揃えていると便利です。
項目 | チェックポイント |
---|---|
売買物件の表示 | 登記簿と相違がないかを確認 |
代金、手付金額、支払日 | 契約に際しての諸経費と支払い日 |
土地の実測及び土地代金の精算 | 登記の内容と実際の測定値と相違の有無 |
所有権の移転と引渡しについて | 時期を見て、引っ越しに問題ないかどうか |
付帯設備の引き継ぎ | 室内の家電製品や庭木などの取り扱いについて |
負担の消除 | 所有権を完全に引き渡せるかどうか。 |
税金等の精算 | 固定資産税など税金の精算方法 |
手付解除 | 手付を解除する場合の取り決めや金額 |
引渡し前の物件の滅失や毀損 | 契約締結後に自然災害など、誰にも責任のない事由で物件が破損した場合の取り決め |
契約違反による解除 | 万が一契約違反があった場合の解除についての取り決め |
反社会的勢力の排除 | 要主、買主ともに該当しないこと、また物件の使用の目的としないこと |
ローン特約 | 買主に何の責任もない状況で住宅ローンが通らなかった時のための保険 |
契約不適合責任 | 物件に重大な欠陥があった場合の買主の請求権について |
必要経費
印紙や印鑑などあらかじめ準備できるものは早めに用意しましょう。
準備する書類 | 特記事項 |
---|---|
手付金等 | 一般的には代金の20%以内。支払い方法は現金、振り込み、小切手など。領収書は必ず保管 |
印紙 | 契約書に貼り付ける。1千万~5千万円の場合は1万円分 |
印鑑 | 実印がほとんど |
仲介手数料 | 媒介契約時に約束した金額、領収書は必ず保管すること |
本人確認書類 | 公的機関が発行した書類 |
引き渡し
いよいよ引き渡し、何だか少し感慨深いですが、まだひと仕事残っています。
引き渡しには3つの手続きが必要、また支払いも再度生じてきます。
1.登記の準備
抵当権を抹消し、買主に所有権を移転するために必要です。
2.物件の確認
物件が契約の条件通りかを確認します。
3.退去・解体
引越しや不要な荷物の撤去作業、更地の引渡しは建物の解体も必要です。
必要書類および費用
引き渡しの時にも必要書類の提出と、費用があるので注意しましょう。
必要書類
- 本人確認書類
- 実印
- 印鑑証明書
なお、この他にも必要に応じて住民票、銀行口座の分かるもの、ローン残高証明書(返済予定表でも可)、物件のパンフレットなどもあると良いでしょう。
・・・・費用
項目 | 特記事項 |
---|---|
登記費用 | 登録免許税、登記を行った司法書士への報酬など |
精算金 | 固定資産税やマンションの管理費など。日割り計算になることが多い |
仲介手数料 | 半額のことが多い |
確定申告
え?確定申告って、毎年年末調整でやってもらってますけど・・・。
その通り。君は会社員だから給与所得者だね。確かに所得税の申請は会社の年末調整で行うので確定申告は必要ない。しかし、自宅を売却して得られた所得、いわゆる譲渡所得は会社が把握していないため確定申告が必要となんだよ。
確定申告の手順と必要書類
いつ行う?
売却した翌年の2月15日~3月15日までの期間中です。
どこで?
居住する地区の管轄税務署の窓口、または国税庁のオンライン申請にて行えます。
何が必要?
確定申告には以下の書類が必要です。
- 譲渡所得の内訳書
- 確定申告書B
- 申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得計算証明書
- 除票住民票
- 売買契約書の写し
- 購入時の売買契約書の写し
- 建築当時の請負契約書(注文住宅の場合)
- 媒介報酬や印紙代などの金額が分かる領収書など
なるほど、自宅売却では給料以外の所得を得たことになっているからですね。
そう。この場合の所得に会社は何も関係ないから、自分で行わなければならないんだ。
それにしても自宅を売却するのって、かなり時間かかりますね。僕の両親もやってましたが、こんなに大変だったとは。
不動産の扱いは金額が大きいから慎重に行われるんだ。でもおおまかにでも流れが分かると、手続きもかなりスムーズになるはずだ。
自宅を高く売る方法はある?
自宅売却について、大変よく分かりました。ですが先生、ついでだから知りたいんですけど、高く売れる方法ってのはないのかなと・・・。
いい質問だね。確かに少しでも高く売りたいというのは、売主であれば共通の願いだ。その点についても3つのポイントについて説明しよう。
家が売れやすい時期を把握して計画を立てよう
え?家にも売れる時期ってあるんですね!
その通り。住宅には売れる時期とそうでない時期がある。ある住宅調査機構が調べた、月ごとの成約件数を見てみよう。それにはしっかりと理由もある。
売れやすい時期ランキング
- 第1位 3月
- 第2位 2月
- 第3位 6月、9月
売れにくい時期ランキング
- 第1位 8月
- 第2位 1月
- 第3位 12月
売れる理由、売れない理由
- 新学期の始まるタイミングと合っているから
- 人事異動が多いのが3月~4月、9月~10月
- 気候がちょうどよく、物件探しに歩きまわるのに適している
学年の一区切りや人事異動、さらに気候の面での心理的要素も含んでいます。
確かに、3月は引っ越し業者の繫忙期という点を考えると、不思議ではありませんね。
一方、反対に売れにくくなる3つの理由も併せて紹介しましょう。
- 学年の区切りが悪く人事異動も少ない
- 8月の猛暑の時期は物件探しで歩き回るには厳しい
- 年末に新しい家探しをしようとする心理が働きにくい
売れる時期の理由と逆で、学年や異動の区切りでない点、さらに暑さや寒さ、年末の心理状態も関わっているとは盲点でしたね。
この時期は不動産業界でも一八(いっぱち)と呼ばれ、どんなにがんばってもなかなか苦戦を強いられます。
高く、早く売るには不動産会社選びと同じくらい、時期選びはとても重要なカギを握っています。
自宅の売却にかかる期間は、買い手がすぐに見つかったと仮定した場合の最短でも2か月ほどかかります。
駅近、築年数が浅い、エリアの人気度が高いほどすぐに決まりやすいですが、この3要素のどれかでも欠けた部分があると、売却期間はもう少し長くなります。
査定の段階で、いつぐらいに売りたいかを示しておくと、不動産会社も販売活動の計画が立てやすくなるのでおすすめです。
内覧に力を入れること
内覧は買主が実際の物件を見られる数少ないチャンスですね。
分かってきたね。高く売るために売主が最も頑張れるものの一つが、内覧に力を入れることだ。不動産会社が販売活動を始めると、買い手の見込み客が内覧に訪れる機会が増える。その中で意識したいのが、買いたくなる空間作り、ここでは内覧向けの掃除や整頓方法のイロハをまとめてあるぞ。
掃除箇所 | 特徴 | ポイント |
---|---|---|
玄関 | 第1印象が決まる場所 | 靴や傘はしまってほうきで掃く においも意外としやすいので防臭対策も忘れないこと |
リビング | 広く明るく見せると印象がいい | 家具はできるだけ一か所にまとめる 窓のそばには物を置かず、カーテンは開け自然光を取り入れること |
水回り | 衛生上のポイントにもつながる | 浴室や洗面所の水垢、トイレの便器の黒ずみ、キッチンの油汚れは残さずに 難しい箇所はハウスクリーニングに依頼するのもおすすめ |
収納スペース | 重視する人が多くかなり見られている | 物が詰め込まれすぎて溢れていると印象ダウン、要らなくなったものを思い切って処分やフリマに出そう |
その他、ベランダや庭もすっきりさせること、ここも意外と見られています。
窓を拭くと明るさ感がさらにアップするので、照明器具は内覧者が到着する前までに必ずつけておきましょう。
とにかく、この家を買ってくださいと自分も営業マンになったつもりで、そのためには買いたくなる家作りも必要です。
なおハウスクリーニングの料金相場は家全体を行う場合、3LDKのマンションで70,000~100,000円程度。
部屋数が多い場合や一戸建てでは、これよりさらに費用がかさむこともありますが、家を売るための必要経費としては決して高くはないはずです。
住んできたからこそ分かる、この家に住むメリットをアピール
家の中だけでなく、外の部分も見逃せません。
買取希望者は内覧にくる時点で、立地や家の構造についてある程度把握した状態で来ます。
しかし売主にとっては住んでみた実感として、この家に住んだらこんな良い部分があることを伝えられるチャンスです。
なお、内覧に来る人にはそれぞれの家族構成がありニーズも異なります。
家族構成ごとに使えるアピールポイントについて、ケースごとに具体例を見てみましょう。
子育て世帯には周辺環境の良さをアピール
子供のいる世帯は子供の年齢こそ違えども、学校や遊び場所があるか、治安が良いかなど周辺環境の良さを重視している点では共通しています。
- 幼稚園や保育園、学校から近いこと
- 道幅が広く、安全な公園があること
- 周辺住民が子育てに理解が深いこと
夫婦世帯、独身者には利便性の良さを売り文句に
子供のいない夫婦世帯の多くは共働きなので、利便性の良さは最大のアピールポイントになります。
さらに独身で家を買えるような人はバリバリ仕事をして稼いでいる人も多いので、利便性への追及はさらに高いです。
またペットを飼っている家庭も多く見られます。
- 駅から平坦で歩いて何分で行けるか
- スーパーやコンビニは近くに何軒あるか
- 犬のために最適な散歩コースがあるなど
高齢世帯には利便性と落ち着いた環境をおすすめ
高齢者がいる世帯にはさらに利便性が大切、また周辺に必要な施設があるか、静かに落ち着いて暮らせるかどうかもポイントです。
- すぐに行ける場所に病院がある
- 車いすやつえを使っても移動しやすいバリアフリーな仕様になっている
- 閑静な住宅街なので騒音がなく穏やかに過ごせる
そうですね、僕はまだ独身だけどこの先結婚や子育てを考えて買うかな。
ははは、もう買う気になってきたか。内覧者がいつ来ても良いように、日ごろから自宅周辺のことについても目を向けてみるべきだ。売るほうも買う方にもウィンウィンでありたいからね。
まとめ
自宅を売却するのは細かい手続きも多く、信頼できる不動産会社の存在は欠かせません。
そのためには査定の段階で見極めることが大切、複数の会社を比較検討した中で、実績が多く、優秀な営業マンがいることが重要です。
さらに以後のやり取りで濃厚に関わってくる営業担当者はただ優秀なだけでなく、納得いく根拠を出してくれる明快さや、販売における戦略を持っているなど、人間面でも慎重に見極めなければなりません。
高く売るためにはそんな不動産会社の存在が不可欠、さらに売主自ら買主にアピールすることも大切です。
一生に一度しかない大きな取引だからこそ、スムーズにかつ納得いく結果にしたいですね。