自ら所有する建物や土地を売却し、新しく家を購入したい人もいれば不動産運用に活用しようと考える人もいることでしょう。
その場合、所有する物件がいったいいくらで売れるのか、その金額によっては新しい家の購入や不動産への投資金等、近い将来の設計図も変わってきます。
そこでぜひ活用したいのが、不動産の一括査定サービスです。
もし売却を検討していていくらで売れるか知りたい時、特定の不動産会社1社にだけ査定を依頼したら、査定額の相場もわかりませんし、金額がしっかりした根拠に基づくものかも曖昧です。
高すぎる査定額あるいは低すぎる査定額を提示してくるかも知れませんが、素人である売主側にはわかりにくい点であるのが実情です。
そこで、損をせず納得いく価格帯を知るためにも、複数社に査定を依頼して見比べてみることはとても大切なのです。
各社の対応力や相性もわかりますので、仮に売却仲介を依頼することになったことを考えても、始めに複数社とやり取りすることは売主側にとって大きなメリットになることでしょう。
では、どのように不動産一括サイトを活用していけばいいですか?
ここでは、不動産の一括サイトの仕組みや利用の流れ、注意点等に至るまで、全体像について説明していきます。
目次
不動産一括査定を利用するメリット
不動産一括査定の仕組みとは
一括査定を利用する一番のメリットは、複数の不動産会社から売却の査定額をもらえる点にあります。
個別の業者にそれぞれ査定を依頼した場合、まずは業者選定から始まり、毎回、個人情報や物件情報を伝えなければならず意外な手間になりますが、一括システムを利用すれば労力が省けます。
実際に不動産の一括査定を行う時は、以下の流れを辿ります。
一括査定の入力項目
1.不動産情報 | 物件の住所や種類、間取り、免責、築年数等 |
2.連絡先 | 不動産の所有者(自分)と連絡が取れる電話番号等 |
3.業者の選択 | 査定してもらいたい不動産会社を選択する |
4.返事を待つ | 査定結果の連絡がくるまで待機しましょう |
上に挙げたような項目を入力し、各不動産会社から売却査定額を提示してもらいます。順に説明していくと、まずは自分の名前や連絡先、所有不動産の情報を入力して、査定の基本情報を提供します。
次に、いくつもの不動産会社名が表示されるので、査定を希望する会社をいくつか選択するのです。
査定依頼する不動産会社の数はなるべく複数にするようにしましょう。1社あるいは2社程度では、平均値が見えにくく各社の違いもわかりにくいからです。以上の入力を済ませたら申し込みのボタンを押し、各社からの返信を待ちます。
後述しますが、一括査定の方法は一般的に2種類あり、1つは入力されたデータのみで査定する簡易査定で、机上査定とも呼ばれています。
もう1つは訪問査定と言い、実際の売却に向けて詳細な情報が欲しい場合に利用すると便利です。
訪問査定を選択した場合、実際に不動産会社のスタッフが訪問し、不動産の状態や周辺環境等の詳細を確認した上で、より取引価格に近い査定額を出してくれます。
複数業者に査定してもらうメリット
一括査定を利用すれば、業者が出してくる査定額を比較できるので、相場観を養うことができます。
例えばある業者は、売却に必要な期間を前提とした適正価格を提示してくるかも知れませんし、別の業者は、自信を持って高値を提示してくるかも知れません。
各社とも査定額にはそれぞれ根拠があるはずなので、ぜひ根拠を説明してもらい、自分自身も納得できるか確認することが大事です。
査定依頼しているのが1社や2社程度では、業者間のバラつきもわかりにくく、相場観も得られません。
相場がわかるようになれば、市場に売りに出す際の適正価格も把握できるようになるでしょう。適正価格を付けなければ、どんなに良い条件の不動産でも売れなくなってしまいますので、一括査定を試すのであればやはり複数社を選ぶべきだと言えるのです。
机上査定と訪問査定の違いとは
一括査定を利用する際、机上査定と呼ばれる簡易的な査定と詳細情報がわかる訪問査定の2種類のいずれかの方法を選ぶことになります。
それぞれ特徴がありますので、まずはその違いについて整理してみましょう。
机上査定 | 訪問査定 | |
期間 | 翌日~5日程度 | 不動産会社との日程調整による |
査定結果 | 簡易 | 詳細 |
不動産会社と対面 | なし | あり |
不動産会社からの連絡 | あり | あり |
引用元:【不動産一括査定】使って平気?使い方やサイトを選ぶポイントとは「イエウール(家を売る)」
ieul.jp/column/articles/40/
とりあえず参考までにおおよその売却価格を知りたい時は、机上査定でも十分です。
不動産を訪問せず、入力した不動産情報を参考に、実際の取引市場の状況と照らし合わせて簡易的な査定を行います。
不動産を目で見て確認せず査定額を出しますから、訪問日程の調整といった手間はかからないものの、あくまでも参考程度の数値になることを理解しておきましょう。
実際の売却に備えて、できるだけ市場価格に近い値を知りたい場合は、訪問査定を選択することをお勧めします。
入力したデータを基本情報として、不動産会社のスタッフが直接現場を訪問し、外観や間取り、傷み具合や周辺環境等の状況確認を行うからです。
これによって査定額はより実際の取引価格と近い金額になりますから、参考情報としてだけでなく売却スケジュールを立てていくうえでも非常に役立つでしょう。
ただし、時間的にはデータのみで判断する机上査定の方が短くスムーズですが、詳細状況を確認する訪問査定は数日前後の時間を要することとなります。
机上査定と訪問査定については、後にさらに詳しく説明していきます。
お願いします!
査定依頼から契約までの流れ
一括査定を依頼した複数の会社からは、入力した情報を参考とした査定額が提示されます。これら査定額を見比べて、より自分の要望に近い金額を出してくれた会社と売却に関する契約を結ぶと良いでしょう。
物件を売却する場合、一般的には不動産会社と媒介契約を結ぶことがほとんどですが、中には業者の手を借りず自力で販売に出す人もいます。しかし、自力で不動産を売却するためには、相応の専門知識や経験値が求められることから、通常は媒介契約を結びます。
媒介契約は、オーナーが所有する物件の売却計画や手数料等、大事な点について同意する必要がありますが、その分不動産会社が販促活動や買主との交渉等も請け負ってくれますので所有者の負担が大きく軽減されるでしょう。
媒介契約の形は3つに分かれており、それぞれ専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約と呼ばれています。
3つの媒介契約
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
複数の不動産会社との契約可否 | 一社のみと契約 | 一社のみと契約 | 複数の不動産会社との軽薄が可能 |
自分で買主を見つけた場合 | 不動産会社が必ず仲介する | 不動産会社の仲介は不要(自己取引も可) | 不動産会社の仲介は不要(自己取引も可) |
契約期間 | 最長3カ月間 | 最長3カ月間 | 該当せず |
販売状況報告の報告頻度 | 7日に1回以上 | 14日に1回以上 | 該当せず |
レインズ(不動産でベータ情報への登録) | 契約締結から5日以内に登録 | 契約から7日以内に登録 | 登録義務なし |
引用元:不動産一括査定とは?メリットデメリット・サイトの選び方を解説!|不動産売却・不動産査定の一括査定サイト【イエカレ】
plus-search.com/fudousanbaikyaku/knowledges/column.php?entry=467#a1_2
上記表について詳しく見ていきましょう。
専属専任媒介契約や専任媒介契約とは、1社の不動産会社としか仲介契約を結べない仕組みになっていますが、一般媒介契約は複数社と仲介契約を結ぶことが可能です。
専属専任媒介契約や専任媒介契約に関する詳しい内容は、下記をご覧ください。
参考:不動産会社に売却を依頼する~不動産基礎知識:売るときに知っておきたいこと 【不動産ジャパン】
もう1つの特徴として、専属専任媒介契約では、仮に売主が自力で買主を見つけた場合でも必ず仲介に入ることが条件になっています。
さて、仲介会社も決まり、いざ購入希望者が現れ、話が進んでいくと、現地内覧の運びになります。少しでも売却の可能性を高めるためには、売主が予め物件内部をきれいに掃除する等して、好印象を与えることが大切になってくるでしょう。
実際の内覧では、不動産会社に任せっきりではなく、売主も自ら立ち会って、購入希望者の様々な質問や疑問に答えていく親身さが求められます。
内覧が滞りなく終了し、相手方の購入意思が確かなものとなった時には、不動産会社から買主に対して購入申し込み書類が渡されます。買主は書類に記載されている諸々の注意事項や購入条件を確認の上、手続きを進めていくことになります。
買主が書類を返送した後、買主と売主の双方について売買の意思に変わりがなければ、実際の契約手続きへと進むことになります。買主との手続きが無事に終了し、トラブルなく契約締結に至ったら、予め双方が決めた日時に物件と鍵等の引き渡しが実施されます。
一括査定利用時の注意点
不動産会社からの営業電話対応が面倒
一括査定では複数の不動産業者に個人情報を渡すことになるため、各社からメールまたは電話で連絡を受けることになるでしょう。入力内容確認のため、詳しい事情聞き取りのため等、何らかの理由のもとに連絡が来るはずです。
結論から言えばそれらの連絡は、査定額の連絡に加えて、不動産業者の営業アプローチということになりそうです。
なぜ先方から連絡が来るのか、そこには仕組みがあります。不動産会社は不動産売買によって利益を得ているため、カギになるのはいかに仲介契約を取るかという点になってきます。
したがって、不動産会社としても自社の利益につながる動線として、一括サイトに登録しているのです。不動産の販売希望者にとっては、ただおおまかな査定額を知りたいだけなのに、何社もの業者から電話を受けることに抵抗を感じるかもしれませんが、そこには不動産会社ならではの事情も絡んでいることを理解しておきましょう。
むしろ、業者からの連絡を通して、対応の丁寧さや親身さ、査定額の根拠の確かさ等を見極める材料にすると良いかも知れません。
もし、どうしても営業電話を受けたくないという場合は、査定申し込み時に、メール連絡を希望する旨を書き添える等しておくと良いでしょう。
大抵の不動産会社はユーザーの希望通り、メールでコンタクトを取ってくると思われますが、希望を出したにも関わらずしつこく電話をかけてくる業者がいた場合、一括査定サイトの運営側にその旨を申し出て対応をお願いするのも一案です。
売却を検討しているユーザーにとっても、希望していないのにどんどん電話をかけてくる業者はその後の付き合いから外す理由付けにもなるので、最初から不動産会社の連絡を一切受け付けないよりは受けた方が良い、という考え方もあるのです。
一括査定サイトの実名利用に対する注意点
一括査定サイトを利用する際、利用者側としては次のような点に注意しておくと良いでしょう。
すなわち、匿名では査定申し込みができないこと、複数の一括査定サイトを使わないこと、知名度の高い業者ばかりに査定依頼しないことの3点となります。
一括査定サイトを利用した後は高い確率で不動産会社からの営業電話を受けることになるため、実名での入力を避けようとする人もいるでしょう。
しかし、基本的に一括査定サイトはいたずら入力を避けるためにも匿名で利用することができません。したがって、実名での査定依頼に抵抗がある人は、自力で相場を調べる努力をすることが求められます。
次に、複数の一括査定サイトを使わない方が良い理由ですが、シンプルに査定依頼先が多くなりすぎてしまうからです。
複数の一括査定サイトを使うということは、それだけ依頼する不動産会社の数が増えるということでもありますから、査定依頼後の電話対応が大変になります。
各会社はそれぞれ特徴や強みを持っていますので、幅広い視点で所有物件を査定してもらいたい気持ちにもなるでしょう。
しかし、利用する一括査定サイトは1つだけにして、依頼先を数社に絞ったうえで、自分でも対応できる範囲内でサービスを受けることが大切なのです。
また、知名度の高い不動産会社にばかり査定を依頼してしまう傾向は理解できますが、知名度はあくまでも名前が知られているというだけであって、必ずしも所有物件を高値で売却できるとは限りません。
むしろ、小中規模の業者の方が、誠実で現実に即した値を付けてくれて、適正価格で売却してくれるかも知れないのです。
大手業者の強みは何といっても取り扱いエリアの広さにあるのですが、小中規模の業者なら地元に強いですから、売主側としては逆にメリットが高いとも言えそうです。
必ずしも査定額で売却できる確約はない
不動産一括査定サイトを利用すると、査定を依頼した業者からおおよその売値が提示されます。
しかし、必ずしも査定額で売却できるとは限らないため、出された数値をそのままうのみにしないことも大切です。
取引状況は変化を続けていますし、周辺環境にも左右されますから、査定額は出せても比較的流動的だとも言えるのです。
さらに、査定額で売却できたとしても、そこから不動産会社に対する仲介料を支払う必要がありますし、仲介料は決して安価ではないことからも、査定額イコール手にできる金額ではない点にも注意しましょう。
極論を言えば、相場を調べて大体の売値を知ることは自力でも可能なのですが、非常に専門的な分野でもあるために、大変な手間と労力がかかってしまいます。さらに、導き出した予想額が正しいかどうか判断材料もありません。
だからこそ、一括査定サイトを利用する意味があると言えるでしょう。
ただし、不動産会社の中には、契約獲得を重視するあまり、他社よりも高値での提示を行う会社もあります。高値での売却ができれば売主としても万々歳ですが、高値すぎては売れるものも売れません。
大切で価値ある不動産ですから、売主も不動産会社に任せっきりにするのではなく、自ら市場というものを知り、相場がどのように決まっていくのか、基本的な仕組みくらいは知っておいた方がフェアな取引を実現できるでしょう。
査定の種類と注意点
机上査定か訪問査定かを選択する
査定を依頼する不動産会社が決まったら、次にどのような方法で査定してもらうか、その手段を選ぶ必要があります。
査定の仕方には、前述の通り机上査定と訪問査定の2種類がありそれぞれ特徴も異なります。
机上査定とは
簡易査定とも呼ばれますが、利用者が入力した不動産情報のみをもとにして、おおよその査定額を提示するものです。
根拠となるのは過去の売却データが主となり、近隣エリアで実際に売れた物件の価格を参考にし、ここ数年の路線価や公示地価の推移を見ながら、現時点で最も現実的な価格を算出するのです。
路線価も公示地価も国が定めた基準値の種類ですが、路線価は道路に接した土地を1㎡あたりいくらと設定したもので、公示地価は主となる都市の土地を標準地として目安になる価格を設定したものになります。
いずれも、参考として利用する指標価格であることを覚えておきましょう。そのうえで、簡易的な査定を受けることは、時間や手間の節約に貢献しますので、概算を知る目的であれば非常に便の良い方法だと言えます。
一方、
訪問査定とは
現地査定とも呼ばれており、実際に不動産会社のスタッフが物件の内外を確認し、詳細な査定を行って見積もりを出す仕組みになっています。
主な査定チェックポイントとしては以下の項目が挙げられます。
敷地形状 | 正方形に近いほど高価格に。斜面の有無についても確認 |
敷地境界 | 隣家の敷地との境界が曖昧ではないか確認 |
接道幅員 | 敷地に面する道路の幅が何メートルあるか確認 |
近隣関係 | 日当たり、越境の有無や高圧線の有無を確認 |
インフラ | 上下水道やガスの状況について確認 |
建物歪み | 建物の傾きや地盤沈下の有無について確認 |
設備修繕 | 設備の劣化や破損、リフォームなどの修繕の有無を確認 |
管理状況 | 庭の手入れやごみ置き場、駐輪場の状況について確認 |
その他 | 騒音や臭い、近隣の環境の美観などについて確認 |
引用元:不動産の査定価格はどうやって決まる?査定額は売却価格じゃない?!
o-uccino.com/front/articles/56212
訪問査定は細かく状況を確認しますので、提示される査定額にも取引価格に近くて納得しやすいと言えます。
また、専門家が物件チェックを行うため、素人目線では気付かなかった事柄についても指摘を受けることができるでしょう。指摘点を改善すれば、その分売値にも反映できる可能性も出てきます。
机上査定に比べれば時間を要する方法ではありますが、より正確な情報を入手できる点は大きなメリットです。
できるだけ訪問査定をスムーズに進めるためにも、予め登記簿謄本や権利証、図面ほか必要書類を用意しておくと良いでしょう。
特に、売却を想定して一括査定を利用するのであれば、物件を見ずにデータだけで数値を出す机上査定よりも、時間はかかりますが現地視察のうえで実際値に近い価格を提示してくれる訪問査定を選んだ方が、売主となる側にとってアドバンテージがあります。
訪問査定で重要視される具体的なチェックポイント
訪問査定では、現地の物件をチェックする時に次のようなポイントを見ていきます。
上記の表に記載したものに加え、例えば
- 最寄り駅から何mほどの距離にある物件で徒歩何分くらいなのか
- 部屋の日当たりの良し悪しや通気性はどうか
- 生活に欠かせない水回りの設備に劣化はないか
- 築年数はどの程度かといった
生活に直結する部分はしっかり見られます。
さらに、上下左右の隣接部屋の音が聞こえにくいかどうかを気にする人も多いため、鉄筋コンクリート造か木造かといった構造も評価のポイントとなります。
このほかにも、マンションであれば共用部分の管理状況や管理費等の金額や使途も、確認の際に見られるポイントとなってきます。
売る気持ちを持って査定を利用するなら、しっかりと見てもらうことはもちろん大事ですが、最も大切なのは不動産会社の担当者としっかりした信頼関係を築いていくことです。
人間関係である以上、良好であるほど業界事情を教えてくれることもあるでしょうし、売主となる側も希望を伝えやすくなり、まさに二人三脚で売却まで向かっていくことができるのです。
良好な関係性は十分なコミュニケーションが根底にあってこそ築いていかれるものですから、信頼できると感じた不動産会社と出会ったら、担当者とよく会いよく話しよく接するよう努めましょう。
訪問査定で不動産会社のクオリティを見極めるポイント
訪問査定では、不動産会社から物件詳細をチェックされるだけでなく、売主側からも不動産会社のクオリティを見極めるようにしましょう。
何よりも大切なのは、不動産会社側が売主側の話にしっかりと耳を傾けてくれるかどうかです。
売主がどのような希望条件を持っているかを知るところから、査定が始まるからです。そして物件詳細チェックの際にも、十分な不動産関連知識と経験に基づいて効率良く確認しているか、そのうえで提示される査定額にも納得できる根拠があるか、売主側もよく見ておかなければなりません。
さらに、売主に芽生える様々な疑問や不安を解消できるような明確な答えができるかどうかも重要です。
意外と大切なのは、きちんとデメリットについても教えてくれるかという点でしょう。
ほとんどの場合、売却希望物件には何らかのデメリット部分があるものですから、そこをきちんと指摘できる不動産会社であれば安心です。
査定後に依頼を止めたい時の断り方
できるだけ早いタイミングで断ることが大事
査定をしてもらったのは良いが、やはり依頼するのは止めておきたいと思ったら、できるだけ早いタイミングで断りの連絡を入れましょう。
不動産会社側は次の提案をするために作業を進めている可能性がありますので、断るタイミングが遅れるほど不動産会社側に迷惑をかけることになってしまいます。
断る際には、なぜ断るのか理由を明確に伝えることが大事です。
詳細に事情説明する必要はありませんが、他社の方が査定額に満足できたとか良い条件だった等、簡潔な理由を伝えればそれで大丈夫です。
ただし、不動産会社側もわざわざ物件所在地まで出向いてしっかりと査定してくれていますので、きちんと感謝の気持ちを表すようにしましょう。
不動産会社側も、同じ断られるなら、感謝の言葉があった方が気持ち良いものです。電話や対面で直接伝えても良いですし、丁寧かつ簡潔なメールを書けるのであればメールを通して感謝と断りを伝えても良いでしょう。
不動産会社へのやってはいけない断り方
査定をしてもらったのは良いけれど、やはり依頼は止めようと決めたら、はっきりと断りを入れることが大切なのですね。
ただし、相手も人間であり、手間と労力を割いて査定してくれたことを考慮して、次のような断り方は避けるようにしましょう。
最もやってはいけないのは、先方からの連絡を無視することです。無視しても、相手にとっては断られていないお客様という扱いになりますから、断続的に営業電話がかかってくることが考えられます。
できれば断るという行為を避けたいかも知れませんが、依頼の意思がないことをきちんと伝えることが大事です。
同様に、検討していますという言い方も止めた方が良いでしょう。検討中ということは保留を意味しますので、不動産会社側にとっての見込み客であることに変わりはなく、やはり営業電話が度々かかってくることが想定されます。
理由を明確にしないでやんわり断ることもいけません。
具体的には、査定はしてもらったけど何となくやめておいた方が良いかなと思った、といったような理由付けが該当します。理由が曖昧であれば、不動産会社も何が悪かったのか、どういう点が問題だったのかがわかりません。
結果として、不動産会社は問題点を改善すれば依頼に繋がると考えて、何とか理由を聞こうとしてくることもあり得ます。曖昧さは物事をより複雑化させる原因になるので、やはりはっきりとした態度を取ることが求められます。
そして、売主と不動産会社の関係というより、人として絶対に避けたいのは、査定をしてくれたスタッフや不動産会社に不平不満を言うことです。
確かに、中には対応の良くない不動産会社もあるでしょうし、納得がいかず不満につながることもあるでしょう。
しかし、仮に今回は依頼を断ったとしても、将来的にやはりご縁があって依頼することになるかも知れませんので、悪口を言って縁を切るようなことはしない方が得策です。不満点があったのであれば、納得できなかった事柄を穏やかに伝えつつ感謝の気持ちを同時に伝えるべきです。
そうすれば、もしこの先やはり依頼するとなった場合でも、気持ちよく付き合いを再開することができるのです。
もう1つやってはいけないのは、不動産を売るのを止めた、と伝えることです。
本当に一旦売るのを止めたのであれば問題ありませんが、断り方に迷った末に、売るのを止めたと嘘をつくのは問題です。
今回査定してくれた不動産会社に噓をついて断っても、違う不動産会社に依頼して売却すれば、情報はすぐに業者間で共有されます。遅かれ早かれ断った不動産会社にも伝わることになり、大変印象が悪くなりますので、避けたい断り方だと言えます。
以上について考えた時、断る時は止めますとはっきり言うこと、なぜ依頼を止めるのか理由を明確にすること、査定してくれたことへの感謝の意をきちんと示すこと、そして不動産会社の悪口を言ったり嘘をついたりしないことがとても大事だということがわかります。
不動産会社からの営業電話がしつこいケース
売主側にとって不動産会社は、所有物件の売却をサポートしてくれるパートナー的な存在になりますが、不動産会社にとっては、当然ながら仲介業務としてのビジネス視点に立っています。
したがって、業者によってはしつこいくらいに売却仲介の依頼を取ろうとすることもあるのです。売主側の自宅や会社にまで何度も電話をしてくるケースも多々見られます。
特に、売主側が取引を断ったはずなのに電話が止まない場合、断り方が曖昧だったことも理由の1つとして挙げられるでしょう。
言いにくいからと、お茶を濁すような伝え方では相手にとっても営業を止める理由にはなりません。今回は依頼することを断る旨をはっきりわかってもらうことが、しついこい営業電話を止めてもらう唯一の方法だと言っても過言ではないのです。
もし、自分は断ったつもりなのに営業電話が止まず、しかもはっきりと断ることができなければ、電話口で不動産会社スタッフの営業トークは続くでしょうし、話を聞けば聞くほど、先方にとってはまだ見込みのある相手だと判断されてしまいます。
査定を依頼したのは良いけれど、やはり不動産売買を進める気持ちがなくなったのであれば、今回はやはり見送るとか、不動産の売却は止めることにしたので電話はこれきりにして欲しい等と伝え、自分の個人情報をしっかりと削除してもらうよう要請しましょう。
昨今は宅地建物取引業法が改正されたことにより、売主側が拒否の意思を明確にした場合、業者はそれ以上しつこく営業をかけることができないようになっています。
それでも営業電話が収まらない時は、営業電話を止めない場合は監督官庁に連絡するとはっきり伝えましょう。
また、営業電話をかけても売主側がはっきりした態度を示さない場合、少しの時間でも良いから直接会って少々話をしたいと言われることもあります。直接会うという手段は売主側にとって最もリスクのあることで、売却に関心がなくなったのであれば決して合うべきではないと言えます。
なぜなら、少しの時間会うだけだと思っていても、実際に会えば話が長引くことがほとんどだからです。どうしても話が終わらず、そうかと言って明確に断ることもできなかった場合、結果として長時間拘束されることになりかねません。
最終的には、その場から解放されるために仕方なく契約することになったケースも少なくないのです。
関心が薄れた、あるいは関心がもうないのであれば、営業電話を止めるようしっかり伝えることはもちろん、決して直接会わないことが大切です。
せっかく一度は査定を依頼して丁寧に仕事をしてもらったのに、今さら断ることは失礼だと考える人もいるかも知れません。
しかし、不動産会社側は日々多くの営業先にアプローチしており、断られることにも慣れているので、ためらうことなく断りを入れることが重要なのです。
その際、無下に断るのではなく、丁寧に査定をしてくれたことへの感謝を示したうえで、それでも今回は売却を見送ると伝え、それ以上の気遣いは過度にしないことが大切です。
まとめ
不動産の一括査定を利用する場合、どうしても複数業者に査定を依頼することになりますから、取引したい1社が見つかれば、他の会社には必ず断りの連絡を入れなければなりません。
この時、断るという行為にひどく罪悪感を覚え腰が引けてしまう人もいるのですが、曖昧な状態にしてしまうと、後々しつこい営業電話に悩まされることにもなりかねませんし、不動産会社の時間を奪うことにも繋がってしまいます。
このため、断るのであればできるだけ早いタイミングで、丁寧に感謝の気持ちを込めてハッキリと伝えるようにしましょう。
その一方で、複数業者に査定を依頼するメリットはしっかりと活用することも大切です。業者は様々な査定額を提示してきますが、任せきりにするのはお勧めしません。
自分でも居住エリアの物件売却価格をコツコツ調べて相場観を持っておき、業者が提示する査定額と大きくかけ離れていないかを確認し、なぜ査定額が提示された金額になるのかを質問する等して、もし本当に売却した場合の現実的な数値を知るメリットを活用することが大事です。
勉強になります!