日本では近年、大きな自然災害が度々発生し、その度に多くの人が被災者となって大変な生活を強いられてきました。
特に知られた大災害として2011年に起こった東日本大震災がありますが、震度7の大地震によって家が倒壊するケースや、程度の差はあっても家に損壊や損傷を受けたケースも非常に多く見られたのです。
中でも住宅の損壊を受けた世帯は生活の基盤を失うことになってしまい、生活再建のために二重ローンを組んで家を建て直す人もいるほどです。
かねてより地震大国と呼ばれた日本ですから、日頃からの備えは欠かせません。そこでぜひ知っておきたいのが、被災者生活再建支援制度の存在なのです。
家や生活の建て直しにあたり、金銭面での支援や税金面での支援が得られるとても心強い制度ですので、予め知識を持っておいた方が良いでしょう。
同時に、精神的に大きなストレスを受けると言われる避難生活から抜け出すためにも、制度の活用を積極的に行えるよう準備しておきたいものです。
東日本大震災で大きな被害を受けた福島県のデータ等も共有していますので、参考にしながら自分の身に置き換えてイメージを描いておくことが大切ですね。
ここでは、被災者生活再建支援制度の詳細や支援金の金額と受給条件、申請の流れ等について説明していきます。
目次
被災者にとっての深刻な住宅問題
日本人にとって災害は決して縁遠いものではなく、自らが被災者になる可能性は誰もが持っています。
様々な災害による被害は、多くの場合住宅に対して起こるため、被災者にとって自宅への被害はとても深刻な問題なのです。
自宅が全壊し何も残らなくなってしまう人もいれば、家具への影響のみで済む人もいますが、生活の基盤である家に影響を受けた場合、公的な支援を受けることが可能であることを知っておきましょう。
公的支援を受けるためには、罹災証明書と呼ばれる書類が必要になります。罹災証明書は、家が被った損害の程度に合わせたものが発行されるので、申請すると現地調査が行われることになります。
初回の現地調査が終わったら、次に応急危険度調査が進められ、家の中に入っても危険性はないかを判断します。
最後に、保険会社が保険金支払い前の査定目的で調査を行います。自宅が罹災した時には上記3段階の調査が行われ、罹災証明書の取得・危険性の判断・保険金支払い準備につながっていくのです。
しかし、3つの調査はそれぞれ目的が異なることから、例えば応急危険度調査では中に入ってはいけないことを示す赤い紙が発行される一方で、罹災証明書は一部損壊にとどまる、ということも起こりえます。
ある意味、混乱にもつながりかねないのですが、そもそもの調査目的が違うということを、私たちもしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
被災者生活再建支援制度とは
被災者が背負う二重ローン問題
自宅を所有している人のほとんどが、多額の住宅ローンを利用してようやく家を建てています。
もし、返済の途中で何らかの災害に遭い家が損害を受けた場合、さらにお金を払って家をリフォームするか最悪の場合では建て直すことも考えなければなりません。
多くの人は、現金一括で多額の資金を用意できるわけではないので、住宅ローンを借りなおすケースは決して少なくないのです。
いわゆる二重ローン問題です。それでも、持ち家であれば更地にする等して売却も考えられますが、マンションを所有している人の場合、問題はやや複雑化します。
マンションの全居住者の合意がなければ、建て替えや修繕もスムーズに進められず、マンションを正常な状態に戻す目的がありながら大変な思いをすることが多いのです。
特に深刻なのは二重ローン問題で、複数の住宅ローンを背負ってしまった人の苦労は想像に余りあります。
しかし、どんなに大変な思いをしていたとしても、借りたものを免除するような制度は存在しません。
厳しい言い方ではありますが、自分の意志で借りたお金ですから、自ら責任を持って返していかなければならないのが現実なのです。
かつて大震災や大津波等の災害がいくつも起こってきましたが、二重ローンを利用してとても大変な思いをしながら頑張って住宅再建を実現した人がたくさんおられます。
一生懸命に仕事をしてお金を稼ぎ、節約をしながら返済を続けた結果、復活を成し遂げた人達です。返す当てを持つことが何よりも重要ですし、同時に忘れてはならないのが公的支援の活用でしょう。
制度の背景
では、制度を利用した場合いくらくらいの支援を受けることができるのかと言えば、自宅が全壊したケースで約300万円とされています。
もともと、被災者生活再建支援制度とは、平成7年に起こった阪神淡路大震災による被災状況を鑑みて生まれたものになります。
当時、マグニチュード7.3の直下型地震が起こったことにより、多くの家屋が倒壊し同時に火災が広がって、非常に多くの建物が全焼や半焼等の損害を受けてしまったのです。
家を建てたばかりだったのに地震で家が焼失してしまい、もう一度ローンを組んで家を建て直さなければならなかった人も少なくありません。
焼失した家屋の住宅ローンをすでに背負った状態で、住居確保のためにやむなく二重ローンを抱えることになった人が多く、生活再建もままならない状況が多発していたのです。
そこで平成10年に被災者生活再建支援法が制定され、自然災害を原因とする住宅損壊等により著しく生活環境に影響を受けた被災世帯に対し、被災者生活再建支援金を支給することができるようになりました。
同法は平成19年の改正を経て手続きが大幅に簡素化され、住宅の損壊状況と再建の手段に対応する形で定額の支援金が支給されることになったのです。
近いところでは平成30年の北海道胆振東部地震が挙げられ、地震から2週間後には被災者生活再建支援制度が適用となりました。
その結果、家が全壊あるいは大規模半壊した世帯は、申請すると被災者生活再建支援制度の適用対象となり、家の損壊程度に対して基礎支援金が、家の再建方法に応じて加算支援金が、いずれも公益財団法人都道府県センターから支給されます。
そもそも被災者生活再建支援金とは、相互扶助の理念のもとに都道府県による基金から捻出されるお金で、半分は国からの補助で賄われています。なお、被害が甚大だった東日本大震災の時は、国は支援金の5分の4を負担しました。
制度の対象となる自然災害の被害についての詳細
被災者生活再建支援制度は、自然災害を原因とする損害状況や被害を受けた世帯数によって支援内容が異なります。
被害認定を受けた住宅に関しては、次のような基準のもとに支援を受けられるようになっているのです。認定の対象になるのは、市区町村における災害救助法第1項または第2項に該当する被害が確認されたものになります。
「第1項第1号」該当 | 市区町村人口5,000人未満なら30世帯以上の住家が減失した場合 人口5,000人以上15,000人未満なら40世帯以上の住家が減失した場合 15,000人以上 30,000人未満なら50世帯以上の住家が減失した場合 30,000人以上 50,000人未満なら60世帯以上の住家が減失した場合 50,000人以上100,000人未満なら80世帯以上の住家が減失した場合 100,000人以上 300,000人未満 なら100世帯以上の住家が減失した場合 300,000人以上なら150世帯以上の住家が減失した場合 |
「第1項第2号」該当 | 都道府県人口1,000,000人未満なら1,000世帯以上の住家が減失した場合 1,000,000人以上2,000,000人未満なら1,500世帯以上の住家が減失した場合 2,000,000人以上 3,000,000人未満なら2,000世帯以上の住家が減失した場合 3,000,000人以上なら2500世帯以上の住家が減失した場合 |
全壊損害があった場合
市区町村において家の全壊事例が10世帯以上発生したと認定された場合、被災者生活再建支援法が適用されます。
適用前には被害認定調査が入り、全壊・大規模半壊・半壊・半壊に至らない、の4段階のうち、全壊と認められたケースに対してのみ適用が有効となります。
前回と診断されるまでには2段階の調査が必要で、それぞれ第1次調査と第2次調査に分かれます。第1次調査では、住宅の外観から損傷の程度を目視確認し、傾きがないかどうかを判断します。
さらに、外壁のひびや基礎部分の損壊程度についても目視確認を行います。第2次調査はあくまでも任意で行われるもので、第1次調査を実行した家の被災者から要請があった場合に進められます。
第2次調査では被災者自身も立ち会ったうえで、住宅内部の壁や天井、建具や床、設備の具合を確認していきます。
災害による被害が広範囲に渡り、都道府県が行う被害認定調査の結果、全壊住宅が100世帯以上あれば、被災者生活再建支援」制度が適用されることになるのです。
別途、応急危険度判定という作業が行われ、危険と記載された赤い紙や要注意と記載された黄色い紙が家に貼られることもあります。
ただし、危険を示す赤い紙が貼られたとしても、必ずしも全壊と判定されるわけではありませんので注意しましょう。
なお、自然災害では家財道具に損害を受けることもありますが、救済策として所得税軽減等の措置はあるものの、住宅が損害を受けたことの認定には関与しませんので、予め理解しておく必要があります。
適用範囲についてさらに範囲を広げて都道府県単位で見た時には、全壊被害を受けた世帯が100世帯以上いた場合に被災者生活再建支援制度が適用されることになります。
北海道胆振東部地震では全壊被害を受けた住宅が106軒あったため、全壊及び大規模半壊した世帯に対して被災者生活再建支援制度が適用されました。
なお、災害が起こった地域に隣接する都道府県や人口10万人未満の市区町村に関しても、5軒以上の全壊があれば適用となります。
被災者生活再建支援制度の支給額
世帯別の支給額
昨今の震災や台風、豪雨等の自然災害によって家が損壊した場合、生活の場を失った被災者はその先の生活に希望を失ってしまいがちです。
被災者生活再建支援制度は、被災者に対し支援金を給付することで生活再建の足がかりとなる手段なのです。
国の補助を受けながら都道府県が支援してくれる制度ですが、全ての災害に対して適用されるわけではありません。
仮に支援対象と認められなかった場合、都道府県は国からの補助を受けることができないので、被災者からの求めに応じて都度、市区町村単位で対応していくことになります。
市区町村が申請を受け付けたら、被災者生活再建法人から支援金が支給されるのです。生活再建を目指した制度として大変助かるものではありますが、実際にいくら支給されるのか、が最も心配なところでしょう。
そもそも被災者生活再建支援制度における支援金には2種類あり、1つが基礎支援金、もう1つが加算支援金となります。
基礎支援金は、住宅が受けた損壊の程度に応じて支給されるもので、加算支援金は、損壊した家を建て直すための費用を助けるために支給されるものになります。
いずれも、原因となった災害が制度の適用対象であることが前提です。支援金の額は、1人世帯か2人以上の世帯かによって変わってきます。
世帯人数が多いほど支給金額が大きくなる仕組みになっており、1人だけの単数世帯が受け取れるのは2人以上の複数世帯の約4分の3になっています。
支援金の内訳
基礎支援金は一種類ではなく、住宅の損壊程度や被災の状況によって金額が区別されているのです。
全壊、解体、長期避難世帯の場合は100万円が支給されますが、単数世帯の場合は75万円と複数世帯の7.5割になっています。
大規模半壊した複数世帯の場合は、50万円の基礎支援金が支給されますが、単身世帯の場合は7.5割の37.5万円の支給に留まります。
ここに加算支援金が加わりますが、条件として、家を建設あるいは購入したか・補修したか・賃貸住宅に移り住んだかにより、支給金額が代わってくる点に注意しましょう。
家が全壊あるいは解体に至ったか・長期的に避難が必要になったか・大規模半壊かの状態に関わらず、家を建設あるいは購入した場合は複数世帯で200万円が一律で支給されます。
単数世帯の場合も、家が全壊あるいは解体に至ったか・長期的に避難が必要になったか・大規模半壊かの状態に関わらず、家を建設あるいは購入した場合は一律で150万円が支給されます。
家を補修する必要があるケースでは、家が全壊あるいは解体に至ったか・長期的に避難が必要になったか・大規模半壊かの状態に関わらず、100万円が複数世帯に、75万円が単数世帯に支給されます。
賃貸住宅に移り住んだものについては、家が全壊あるいは解体に至ったか・長期的に避難が必要になったかに加え大規模半壊の程度に関わらず、複数世帯には50万円が、単数世帯には37.5万円が支給されます。
なお、前回、大規模半壊、半壊、一部損壊の定義については、以下の表の通り基準が設けられているので、どれに該当するか見当をつけておくと良いでしょう。
全壊 | 住居部分が損壊あるいは焼失、また流出などしたために、補修しても住むことが叶わない場合を全壊とする。目安は損害の比率が50%以上であること。 |
大規模半壊 | 住居部分の一部が損壊あるいは焼失、また流出したものの、補修すれば住むことが可能である場合を大規模半壊とする。目安は損害の比率が40%~50%未満であること。 |
半壊 | 住居部分が損壊あるいは焼失、流出したものの、補修すれば住むことが可能である場合を半壊とする。目安は損害の比率が20%~40%未満であること。 |
一部損壊 | 住居が部分的に損害を受けたものの、損害の実態が軽微なものであり半壊に当てはまらず、補修が必要になる場合を一部損壊とする。目安は損害の比率が20%未満であること。 |
東日本大震災における福島県のケース
東日本大震災で被災した地域の1つである、福島県双葉町のケースを見てみましょう。
双葉町のホームページを確認してみると、令和2年12月時点で、被災者生活再建支援金の申請期間が令和4年4月まで延長になった旨が記載されていました。
もともとの期限であった令和3年から1年延長されたことを伝えています。ホームページでは、被災者生活再建支援制度とはどういうものかが説明されており、該当する自然災害の種類や住宅について明記している一方、非住家や事業所は対象外であることも述べられていました。
支援金の支給対象世帯は、大震災が起こった平成23年3月11日の時点で福島県双葉町の住民であり、東日本大震災によって家が全壊または大規模半壊したか、家が半壊してやむを得ず解体に至った世帯であることが記載されていました。
損壊の状況を客観的に証明するものとして罹災証明書が必要になりますが、証明書をもらうためには家屋被害認定調査が必要である旨が伝えられています。
なお、半壊と判定された住宅のうち、倒壊の危険性や高額な補修費用といった事情がある場合は、当該家屋を解体した後で支援金の申請を行うこともできるようです。
大規模半壊として申請した世帯も、やむを得ず解体に至った場合は、半壊のケースと同様に扱われ、差額分について申請が可能となっています。
また、加算支援金を賃借の枠で申請し受給してから、申請期間内に別途、建設や購入または補修を行う場合、事情が考慮され2度目の申請を行うことができます。
ただしその場合の支給額はあくまでも差額になるので、例えば複数世帯が賃借で50万円受給された後で受け取れるのは、建設・購入の場合の200万円との差である150万円か、補修の場合の100万円との差である50万円となる点を理解しておきましょう。
申請方法
被災者は市区町村に対して支援金の申請を行う
災害で被災し住宅に損害を受けた人は、居住する市区町村から罹災証明書を発行してもらい、必要書類とともに市区町村窓口に申請を行います。
先に述べた通り、被害の種別や程度によって異なる申請書類を用意しますが、基礎支援金の場合は罹災証明書・解体証明書・減失登記簿謄本・敷地被害証明書類・住民票・通帳のコピーのうち該当するものを揃えます。
加算支援金については、契約書のコピーも求められますので注意しましょう。申請は期限内に忘れず行う必要があり、基礎支援金であれば災害が起こった日から13ヶ月以内に、加算支援金なら37ヶ月以内に申請を完了しなければいけません。
申請書には罹災証明書に記載の住所・被害程度について記載する必要があるので、まずは罹災証明書をもらうことが先決となります。
必要書類が揃い申請を済ませると、当該市区町村は都道府県を経由し、各都道府県に資金拠出を行う公益財団法人都道府県センター内の被災者生活再建支援法人に対して手続きします。
手続きを受けて被災者生活再建支援法人は、国に補助金を申請し、国は申請に対して補助金を支払う仕組みになっているのです。
被災者生活再建支援金の支給について
東日本大震災のように被害の甚大な災害の場合、国は支援金の5分の4まで負担することがありますが、基本的な負担割合は支援金の半分となっています。
国と補助を受けた支援金は、被害の程度に応じて被災者に支給されていくのです。
この先も、南海トラフ地震のような激甚災害が想定されていますので、被災者生活再建支援制度については予め内容を大まかにでも理解しておき、いざという時に活用できるよう備えておくことも大切でしょう。
市区町村が罹災証明書を交付し、被災者が他の必要書類を揃えて市区町村に申請を行い、市区町村は都道府県に、都道府県は被災者生活再建支援法人に申請書類を送付していくのが基本的な流れとなるのです。
被災者の立場となった時に慌てないよう、基礎支援金と加算支援金の申請に必要な書類について詳しく見ていきましょう。
基礎支援金を受給するためには、次の書類を用意して申請する必要があります。申請のための必要書類が損害の程度によって変わってくる点に注意しましょう。
完全なる全壊の場合は、罹災証明書と住民票、加えて通帳のコピーが必要になります。全壊のうち半壊解体となったものについては、罹災証明書と解体証明書、減失登記簿謄本と住民票、加えて通帳のコピーが必要です。
全壊のうち敷地被害解体に至ったものについては、罹災証明書と解体証明書、減失登記簿謄本と敷地被害証明書類、住民票に加えて通帳のコピーが必要になります。
大規模半壊の場合は、罹災証明書と住民票、通帳のコピーを用意します。
加算支援金を受給するためには、半壊解体や敷地被害解体を含む全壊・大規模半壊のいずれについても、契約書の写しを提出することになるので、平時のうちに一式揃えておくといざという時スムーズに手続きができるでしょう。
なお、ドメスティックバイオレンス(DV)等により家族と住所地が異なっている人の場合は、背景事情に鑑みて、別居中の本人の住所地に居住していたことがわかるものがあれば、申請が可能となります。
基礎・加算支援金共通 | 申請書 | 各市区町村で配布もしくはホームページよりダウンロード |
基礎支援金 | 罹災証明書 | 市町村が発行。ただし長期避難の場合は不要。 |
世帯全員の住民票、外国人登録済証明書 (被災世帯主のマイナンバーを申請書に記入することで省略可) | 市町村が発行(被災住所に住民票を置いていない場合は、生活実態を確認できる電気・ガス等の料金明細などが必要。 | |
世帯主名義の預金通帳写し | 世帯主名義であること。 銀行名、支店名、預金種目、口座番号、フリガナ記載のある口座名義が必要。 | |
解体として申請した場合は解体証明書 | 市町村が発行 ※仙台市を除く建物登記の閉鎖事項証明書(滅失登記簿謄本)でも可 ※法務局で発行半壊または大規模半壊の罹災証明を受けているか、敷地被害が認められる場合に、倒壊の恐れ等やむを得ない理由で解体する場合のみ申請可能。 | |
敷地被害解体として申請する場合は応急危険度判定結果 | 市町村が発行敷地被害が認められ、解体する場合のみ申請可能。敷地の修復工事の契約書の写しでも可。 | |
加算支援金 | 契約書等の写し | 住宅を建設・購入、補修または賃貸(公営を除く)したことが分かるもの。 |
参考:宮城県ホームページ
被災時の税金の控除および減免措置について
自然災害で被災した人については、被災者生活再建支援金の受給のほか、税金が部分的に控除あるいは減免されることがあります。
そうなのですね
まず挙げられるのは所得税で、雑損控除と災害減免が該当します。雑損控除は、自然災害により本人が所有する家や家財道具等の資産に損害を受けた時、確定申告の際に一定額の控除を受けられます。
また、災害減免に該当する場合もあり、いずれか有利な方を適用させることができます。災害減免は、損害を受けた年の所得が1,000万円以下で、家や家財道具に被った損害が時価の50%を超えると認められた場合に適用されます。
この他にも、災害や被災の程度に応じて、災害減免法に基づき保険料や各種税金の控除や減免を受けられる可能性があるので、市区町村に問い合わせてみることをお勧めします。
実際に税に関する措置を受けるためには、居住地を管轄する税務署に申請し承認されなければなりません。
台風や津波等によって家が流されることもあれば沈んでしまうこともありますが、そういった場合、一定の基準にしたがい固定資産税の減免や免除を受けられます。
適用条件としては、土地であれば面積の20%以上に被害を受けていること、家であれば全壊か大規模半壊、または半壊であること、その他の資産については20%以上価値を損なったと認められるケースが該当します。
なお、土地の面積の80%以上に被害を受けた場合は、固定資産税は全額免除となるので覚えておきましょう。
相続税や贈与税等 | 税務署に申告 |
住民税や固定資産税等 | 税務署に申告 |
国民健康保険料や介護保険料 | 居住する市町村に申告 |
個人事業税 | 事業地を管轄する都道府県窓口に申告 |
国民年金 | 日本年金機構 |
水道光熱や電話料金等 | 各事業所に申告 |
災者生活再建支援制度を上手に活用して1日も早い再建を目指そう
自然災害はいつ何時起こるか予測がつきませんから、それまで他人事だったかも知れない被災者という立場にいきなり立たされることになるのです。
精神的にもパニックになりやすく、冷静さを欠いてしまう可能性もあるため、予め被災者生活再建支援制度について理解し、必要な連絡先を整理しておく等の対策を採っておきましょう。
万が一、自宅が全壊する等して住めない状態になってしまえば、しばらくの間は避難所生活が続きます。
しかし、大勢の人が無造作に集まる避難所生活ではプライベートな空間も時間もないと言って良く、被災者本人の心に大きなプレッシャーを与えてしまいかねません。
何よりも、自宅という自分の身の置き所を確保することは、心理的なストレス緩和に繋がるだけでなく生活再建を叶えることになるので、できれば少しでも早く家を建て直し、あるいは補修して再び日常生活を取り戻していくことが非常に大切なのです。
自宅が大きく損壊してしまい解体が必要なケース等は土地を売って足しにすることも見据えるべきでしょう。
参考にします。
ただし避難生活の中では不動産業者への相談の余裕がありませんので、インターネットが繋がるようであれば一括査定サイトを利用する等して、できるだけ負担を軽くしながら再建への道を歩み始められることが望ましいと言えるかも知れません。
まとめ
被災者生活再建支援制度や、制度に伴う支援金・税金面について説明してきましたが、自然災害の多い日本では被災者に対する様々な支援策が用意されています。
被災者生活再建支援制度以外にも、災害が原因でお亡くなりになった方や行方不明になった方のご家族に対する災害弔慰金や、災害により重度障害を負うことになった方への災害障害見舞金といったものもあるのです。
しかし、様々な支援策が用意されていることは被災者にとって助けにはなるものの、支援策だけで生活再建できるわけではありません。
何よりも大切なことは、被災者自らが自分の力を振り絞って住宅再建に向かう意識を持つことなのです。
自ら立ち上がり目標に向かう人にとっては、公的支援が大きく役に立つことでしょう。確固たる再建への意志を持つことこそ、再建への一番の近道になりますね。
被災者という立場になると、どうしても忌まわしい記憶ばかりが思い出されてしまいがちですし、災害後は仮設住宅での生活が始まることから、地域コミュニティーも希薄になりがちだと言われています。
もともと暮らしていた地域であれば、隣近所の方々の顔も人柄もよくわかっていましたし、人付き合いも相応にあったはずですから、本来ならいざという時に助け合える間柄だったことでしょう。
しかし、仮設住宅での生活は必ずしも従来通りの顔馴染みが揃うわけではなく、災害の苦しみと孤独が相まって引きこもりがちになりやすいとも言われています。
また、壊れた家に住む、いわゆる在宅被災者に対する支援策では不足する現状があることも理解しておく必要があるでしょう。
それでもやはり、自宅を失った被災者が受ける精神的経済的ダメージは計り知れないものがあります。
ある調査では、壊れた自宅から仮設住宅に引っ越し、遠くの親類の家に身を寄せ、何とか自宅を再建できたとしても、精神面では非常に大きなダメージを受け続けていることがわかっているそうです。
目立つ症状として睡眠障害が挙げられ、心が安まることのない状況が明確化しています。引っ越し回数が増えるほど、自分を取り囲む周辺環境もめまぐるしく変わるため、まず人との付き合いがどんどん少なくなり易いと言われています。
さらに、ようやく地元に戻れたとしても、災害で景色が一変した状況になっており、自分の故郷とは思えないギャップに悩む傾向もあると言われています。
いわゆる喪失感に陥りやすくなり、前述の睡眠障害を始め、引きこもりが高じてうつ状態になってしまう人も多々見られるのです。
公的な支援は物質面での再建から精神的な安定を目指すものですが、その一方で喪失感による耐えがたいストレスを抱えながら必死に毎日を生きている被災者が多いという事実を、しっかりと受け止めていく必要があるでしょう。
日本ではいくつもの大規模災害が起こってきた歴史があり、その度に多くの被災者が生まれ、物心両面で深く傷ついてきたことは事実です。
このことを重く受け止め、自分が同じ立場になった時はいかにして公的支援を利用しながらストレスに耐えうる環境を保てるか、よく考えてみることがとても大切になってきそうです。