中古マンション購入時に値下げ交渉した結果、○百万円値引き、○十万円値引きで購入できたという話を聞いたことがあるかもしれません。
中古とはいえマンション購入は、決して安い買い物ではないため、購入価格を値引きできるならとても助かります。
非常に重要になるのは、値引きを成功させるための交渉術です。
ここでは値引き交渉を成功させる交渉術と値引きできる確率を少しでも上げるために覚えておきたい8か条を紹介していきます。
中古マンションの値引きは可能なのか?
中古マンションを買いたいんですが、値引き交渉はできるんですか?
結論を言ってしまうと、中古マンションの値引き交渉はできますよ!
でも値引き交渉ができる理由をきちんと理解しておかないと、値引き交渉で失敗してしまう可能性もあるので注意しましょう
確かに中古マンションの値引き交渉は可能ですが、交渉方法を間違ってしまうなら、自分から値引き交渉の道筋を閉ざしてしまう可能性があります。
ですから中古マンションの値引き交渉をする時は、なぜ値引き交渉が可能なのか、また正しい交渉術とはどのような方法かを意識することが重要です。
まず中古マンションの値引き交渉が可能となる理由について見ていきましょう。
マンションの値引き交渉ができる理由とは?
新築マンションでも値引き交渉は可能ですが、中古マンションの値引き交渉ほど自由度はないと言われています。
その理由は、土地開発業者が土地購入費からマンション建設費、さらに販売に関係する全ての費用を計算してからマンション販売価格を設定しているためです。
つまり新築マンションの価格は、一定の利益を出せるような金額が定価になっており、定価を割り込むような金額での取引はできません。
しかし中古マンションは、全く状況が異なります。
新築マンションの売主が不動産デベロッパーであるのに対し、中古マンションを売却するのは個人である事が多くなります。
個人の売主も不動産デベロッパーと同じように、少しでも高い価格での売却を希望していますが、新築マンションとは異なり定価が存在していません。
つまり中古マンションの販売価格は定価ではなく、売主の希望売却価格という意味になります。
売主と買主の両方が納得できるのであれば、売買価格にはかなりの自由度があるという事です。
極端な話、売主が今すぐに現金を必要としており、中古マンションの売却を検討しているタイミングであれば、価格交渉の余地は非常に大きくなります。
簡単にまとめると、中古マンションで値引き交渉ができる理由は次のようになります。
- 売主が個人である
- 価格が定価ではなく希望売却価格である
- 売主の気持ちや状況しだいで価格は変更できる
上記のような理由があるため、中古マンションでは値引き交渉ができる可能性が高いと言えます。
では中古マンションの値引き幅は、どれくらいの金額になるのでしょうか?
値引き率はどれくらい?
中古マンションには値引き交渉の余地があるとはいえ、交渉できる金額にはある程度限界があります。
例えば、相場2,000万円前後の中古マンションが相応な金額で売り出されていた場合、価格交渉をして1,000万円になるという事は、基本的にはありえません。
では値下げ交渉によって、どれくらいの金額が値引きされる可能性があるのでしょうか?
先ほど紹介したように、中古マンションは売主の気持ちや状況によって価格が大きく変わるものの、売出し価格の10%程度の値引き交渉が通常可能と言われています。
値引き交渉を行う時は、この10%を参考にして売主との交渉に当たるようにしてください。
中古マンションの販売価格と取引価格との差を表にすると以下のようになります。
首都圏での中古マンション販売におけるデータであり、販売開始から成約に至った物件価格の平均であるため、売出価格は異なっています。
表データの中で注目できるのは、価格乖離率(売出価格と実際の取引価格との価格差)です。
中古マンション販売経過時間 | 売出価格 | 取引価格 | 金額差 | 価格乖離率 |
---|---|---|---|---|
1ヶ月 | 2,597万円 | 2,519万円 | 78万円 | -3% |
2ヶ月 | 2,675万円 | 2,538万円 | 137万円 | -5.15% |
3ヶ月 | 2,731万円 | 2,544万円 | 187万円 | -6.83% |
上記の表を見てみると、販売価格と実際の取引価格では、おおよそ-3%から-6.83%の価格乖離率があります。
つまり売主の希望する販売価格よりも、取引価格(成約価格)は3%から6.83%ほど低くなるという意味です。
ですから中古マンションの値下げ交渉は、10%くらいまで可能と言われています。
10%の値下げ交渉以外には、中古マンション価格の端数を値下げするようにしている売主も多く見られます。
これは仲介する不動産会社からのアドバイスである事がほとんどです。
例えば、2,980万円の販売価格であれば、80万円の部分が端数になるので、取引金額は2,900万円になるという意味です。
こうした数字はあくまで参考であるため、値下げ交渉は実際に行ってみない限り、最終的な値下げ幅は特定できません。
値下げ交渉の方法や売主の状況によっては、値下げ幅を大きくできる可能性は残っています。
中古マンションは値下げ交渉がしやすい傾向があるんですね
値下げ交渉は可能ではあるものの、交渉する時には注意しなければならない事もあるんですよ
これから値下げ交渉の8か条を紹介するので、しっかり勉強してくださいね!
わかりました!
それでは引き続き、中古マンションの値下げ交渉をする際に必要な8か条を紹介していきます。
成功する値引き交渉の8か条とは?
中古マンションの値引き交渉は可能であるものの、これから紹介する8か条を意識していないなら交渉に成功できる確率は低くなります。
- 売主の状況や気持ちをよく理解する
- 物件の状態を把握する
- 相場を正しく把握する
- 購入時期を見誤らない
- 売主への印象を考える
- 値引き希望の理由を明確にする
- 売主の物件を悪く言ってはならない
- 住宅ローンの事前審査を済ませておく
ではこれから値引き交渉を成功させる8か条をみていきましょう。
成功する値引き交渉1:売主の状況や気持ちをよく理解する
中古マンションで値引き交渉をする時に意識しなければならないのは、売主についての情報です。
購入を検討している中古マンションの売主は、個人か法人なのかを最初に確認しておきましょう。
中古マンションの売主の多くは個人ですが、稀に売主が法人である事もあり、その場合は値引き交渉が難しくなります。
法人が設定している販売価格は、中古マンションの仕入価格やリフォーム代金、税金などの諸費用から算出されている金額であるためです。
しかし売主が個人である場合、値下げ交渉の余地は十分にあるので、まずは売主が誰かを見極めましょう。
仮に売主が個人であった場合、売主の状況や気持ちを理解することが重要です。
売主が以下の状況にある時は、売却を焦っている可能性があるため、値下げ交渉がまとまりやすくなります。
- 販売開始から時間が経過している
- 住み替えのためにマンションを売却
- 売主が転勤予定
- 売主が離婚する
- マンションにローンが残っている
売主が上記のような状況にある場合、売主は少しでも早く中古マンションの売却を望んでいる可能性が高く、買主からの値下げ交渉に応じる可能性が高くなります。
逆に言えば、上記のような状況にない売主は、値下げ交渉にもなかなか応じにくい状況にあると言えるでしょう。
販売当初は時間に余裕があるため、販売価格から値下げする可能性は低いものの、時間が経過すると「売却できるのだろうか」という不安から売主が値下げに応じる可能性が出てきます。
また住み替えのためにマンションを手放すという事は、新しい物件への支払いが生じるため、早期売却を検討している可能性もあります。
売主が転勤する事が決まっている場合、会社が定めた日時までに移動しなければならないため、価格よりも時期を優先するかもしれません。
マンション売却の理由が離婚による財産分与である場合も、時間をかけずに売却する必要があるため、値下げ交渉に成功できる可能性が出てきます。
同じように売却予定マンションにローンが残っている場合も、売却できないとマンションのローンを無駄に支払う事になるため、売主は少しでも早い売却を希望するものです。
このように売主の気持ちや状況を理解することが、交渉を成功させる1つ目の方法です。
成功する値引き交渉2:物件の状態を把握する
交渉前に物件の状態を把握しておくことも、値下げ交渉を成功させる重要な要素です。
これは中古マンションを購入する前に、物件の瑕疵を見抜く事とも関係しているので大切です。
物件の状態については、以下のポイントをしっかり確認してください。
- 水まわりの状態
- 床と天井の状態
- バルコニーと窓の状態
- 壁の状態
- マンションの部屋の日当たりと方角
上記のポイントに問題のある中古マンションは、購入後に修理やメンテナンス費用が必要になるため、値下げ交渉できる材料となります。
例えば、給排水管など水まわりの状態がひどい場合、リフォームを行う必要性が出てくるため、数十万から数百万円の費用が必要になる事もあります。
これまで一度も水まわりのリフォームを行っていないのであれば、リフォーム代金分を値下げ交渉できるでしょう。
注意しなければならないのは、部屋の天井や床がコンクリートであり、直接床材やクロスが貼られているタイプです。
給排水管に不具合が生じるとコンクリートを砕く作業が加わる大工事となり、当然リフォーム費用は高額になります。
バルコニーや窓の位置を確認し、部屋の日当たりや風通しの良さを確認しましょう。
新築マンションでは、方角や窓の位置による日当たりによって価格が変わってくるため、中古マンションでも確認は必須です。
日当たりが悪い、風通しが悪い物件であれば、値下げ交渉の材料となります。
また壁紙の趣味が売主と異なるため、リフォームする予定であれば、壁紙のリフォーム代のみ値下げ交渉する事もできます。
マンションの壁の厚さは10cmあれば良いとされていますが、防音のために理想的には15cmから20cmは欲しいところです。
騒音の問題が懸念されるため、薄い壁は値下げ交渉の材料になります。
マンションの状態を確認する事で、値下げ交渉がしやすくなりますが、物件のマイナスポイントを過度に強調するのは避けなければなりません。
マンションを非難している印象になってしまうと、売主との関係が悪化する可能性があるので注意しましょう。
これは交渉術の部分でも紹介しています。
成功する値引き交渉3:相場を正しく把握する
中古マンションの価格は、付近の相場を参考に決められます。
しかし売主の中には、周囲の中古マンションの相場とは関係なく販売価格を設定する方もいます。
実際の取引価格は、通常であれば周囲のマンションの相場と同じようになるため、相場を把握しておく事は重要です。
仮に相場を把握していないと、売主が設定した販売価格が高かったとしても気付けず、損をしてしまう可能性もあるでしょう。
逆に相場を把握しておくと、どこまで値下げ交渉ができるのか決めることができ、交渉がしやすくなります。
中古マンションの相場は、以下のような方法で調査する事ができます。
- 国土交通省売買価格情報
- 公益社団法人の不動産価格情報
- 大手不動産会社で同じマンション、もしくは付近のマンションの価格を検索
上記の方法は非常に簡単ですが、中古マンションの相場を把握するのに十分な資料です。
中古マンションの相場を自分で調べるのは大切なんですね
相場を調べる方法はいろいろあるので、自分で正確な情報を得ることが価格交渉の鍵になります
自分で調査した情報を使うと、より自信を持って交渉ができるようになりますよ
成功する値引き交渉4:購入時期を見極める
中古マンションの価格はいつでも同じというわけではありません。
まずは販売価格が高くなる時期を把握しておきましょう。
- 春や秋など人が多く移動する時期
- 販売開始から1ヶ月未満
春(3月4月)や秋(9月10月)の時期は、不動産物件を探している買主が多くなるため、中古マンションを売却できるチャンスが高くなります。
そのため売主は、値段交渉に応じることなく売却できる可能性が高いため、買主の値下げ交渉が上手くいかないことがあります。
ですから値下げ交渉がしやすい時期は、中古マンションが売れ残った6月や新年を迎える前の12月です。
特別な事情がない限り、中古マンションを販売してから1ヶ月以内の物件は、値下げをする事なく買主を待つ期間です。
そのため販売が始まったばかりの中古マンションで値下げ交渉をしても上手くいかない事が多くなります。
しかし1ヶ月経過してもマンションへの問い合わせや内覧がない場合、売主の心境としては「価格が高いのでは?」という気持ちに変化します。
ですから1ヶ月が経過した中古マンションであれば、値下げ交渉ができる時期と言えるでしょう。
中古マンションの購入で、最も値下げ交渉ができるタイミングは、販売から3ヶ月が経過した物件です。
売主が中古マンションを売却する場合、不動産会社と媒介契約を結びます。
契約期間は通常3ヶ月や6ヶ月であり、3ヶ月経過しても買主が見つからない場合、不動産会社から売主に対し価格調整の打診があることも多く、売主が値下げ交渉に応じる可能性が出てきます。
販売から時間が経過している中古マンションほど、値下げ交渉に応じる可能性が高い事は、次の首都圏の中古マンションの価格乖離率の表からも分かります。
販売からの期間 | 価格乖離率 |
---|---|
1ヶ月 | -3.00% |
2ヶ月 | -5.15% |
3ヶ月 | -6.83% |
4ヶ月 | -8.67% |
5ヶ月 | -10.27% |
6ヶ月 | -11.72% |
7ヶ月 | -13.06% |
8ヶ月 | -14.34% |
9ヶ月 | -15.62% |
10ヶ月 | -15.55% |
11ヶ月 | -16.82% |
12ヶ月 | -15.01% |
首都圏の中古マンションの価格乖離率のデータでは、11ヶ月目の価格乖離率(販売価格と実際の取引価格の差)が高い事が分かります。
つまり販売開始から時間が経っている物件ほど、販売価格からの値下げ幅が大きくなるという事です。
中古マンションの値下げ交渉を成功させるためには、交渉がしやすい時期を逃さないようにしましょう。
成功する値引き交渉5:売主への印象を考える
中古マンションを購入する際、必ず内覧をします。
内見時に売主が同席していることはほとんどありませんが、不動産会社を通じて買主の情報は売主に通知されます。
内覧時や不動産会社と話し合う時に、横柄な態度を取っていると、買主に伝えられる印象が悪くなってしまい、値下げ交渉もできずに断られてしまう事があります。
不動産の売買では価格も重要ですが売主はトラブルを嫌がるため買主の人柄や態度も重視しています。
特に売主が居住している物件の内覧をする場合は、普通以上の注意を払う必要があります。
「この人だったら多少の値段交渉に応じても良い」と思ってもらえるような行動を取ることが大切です。
成功する値引き交渉1でも強調していますが、中古マンションの売買価格の変動は、最終的に売主の気持ちが大きな要素となります。
成功する値引き交渉6:値引き希望の理由を明確にする
値引き交渉できる金額は販売価格の10%ほどと紹介しましたが、いきなり10%の値下げ要求しないようにしましょう。
売主にも感情があるため、10%くらい値下げできるでしょうという態度で交渉されると、気持ちの良いものではありません。
中古マンションの値下げ交渉をする時は、なぜ値下げしてほしいのか明確に理由を説明すると印象が大きく変わります。
例えば、「内装をリフォームするのに50万円必要なので値下げしてもらえるでしょうか」というような交渉方法です。
他にも、「トイレのリフォームをしたいと考えているので、その価格だけでも値下げできるでしょうか」という交渉方法もあります。
どのような理由であっても明確な理由があれば、売主としても検討に値すると感じてくれる可能性が出てきます。
決して「販売価格の10%値下げしてください」という曖昧な理由による値下げ交渉を行わないようにしましょう。
成功する値引き交渉7:売主の物件を悪く言ってはならない
成功する値引き交渉2では、物件の状態を把握して交渉すると良いと紹介しました。
しかし中古マンションの悪いところばかりに注目して、売主と交渉するのは逆効果になります。
売主は、これまで所有していたマンションに愛着を感じているものです。
少しでも大切に使ってくれる人に、マンションを売却したいと感じる売主の方も少なくありません。
悪い箇所ばかりを指摘するような交渉になってしまうと、売主が大切に使ってきたマンションを否定する事になります。
売主によっては自分を否定されたと感じる方もいるため、マンションの良いポイントと交渉に使えるマイナスポイントを合わせて交渉するようにしましょう。
成功する値引き交渉8:住宅ローンの事前審査を済ませておく
住宅ローンを利用して中古マンション購入を検討している場合、審査に通っていない状態では、値下げ交渉はできないと思ってください。
住宅ローンの事前審査に通っていないと、購入申込みすらできないことも珍しくありません。
売主の目線で考えてみると、住宅ローンの事前審査すら通っていない人は、マンション購入は難しい人となります。
住宅ローン事前審査に通った時は、銀行から事前審査結果が送られてくるので、しっかり保管しておきましょう。
もちろん現金で中古マンションを購入するのであれば、売主への印象は最も良くなり、交渉も有利に進められる可能性が高くなります。
中古マンションを購入できるだけの資金を準備することで、購入の本気度を売主に伝えることができます。
ここまで成功する値引き交渉の8か条を紹介してきましたが、ほとんどが売主の感情や状況に関係していた事に気づかれたでしょう。
売主に与える印象が価格交渉で最も大切であることを覚えておくなら、値下げ交渉を成功させることも可能です。
では引き続き、実際の交渉術について見てみましょう。
中古マンション値引きの交渉術
上記で紹介した交渉の8か条を意識していると、値下げ交渉を成功させる交渉術が分かってきます。
具体的にどのような値下げ交渉ができるのか、以下のような例を見てみましょう。
- 購入時期に余裕を持ち、売主に合わせて交渉
- 購入の意思を明確にして交渉
- マンションの良いところを褒めながら交渉
- 限度を超えた値下げ交渉はしない
- 長過ぎる交渉は失敗する
値下げ交渉を行う時に、どのような言葉を使用できるのか紹介していきます。
購入時期に余裕を持って売主に合わせて交渉
中古マンションの売却では、時間的に切迫している売主もいます。
また確実に売却出来る日にちを確定したいと感じる売主も多いため、購入希望物件の内覧を終えた後は、売買契約をする事を意識して予定を空けておくようにしましょう。
通常の流れであれば、日曜日に購入希望マンションの内覧を行い、気に入ったなら住宅ローン事前審査を月曜日に行います。
審査結果まで数日待った後、木曜日や金曜日に不動産会社を通じて値引き交渉を行うことになるでしょう。
仮に値引き交渉がある程度上手くいった場合、売主は契約のために土曜日か日曜日に買主と会うことを希望するようになります。
売主は少しでも早く契約をまとめたいと感じるため、内覧で気に入った中古マンションがあったなら、翌週の週末は契約のための時間として空けておく方が良いでしょう。
売主の希望通りの日時に契約できるようであれば、中古マンションの値下げ交渉も上手くいく可能性が上がります。
具体的な交渉の言葉としては、「今週末は契約のために時間を取れるように空けているので、売主様にそのようにお伝えください」と仲介業者に伝えておくと良いでしょう。
この言葉だけでも、本当にマンションを購入したいという強い気持ちを伝えることになり、値段交渉に良い影響を与えます。
購入の意思を明確にして交渉
価格交渉8か条の1つ、住宅ローンの事前審査を済ませておく事と関係がありますが、購入できる資金を準備しておくことは売主への強いアピールとなります。
資金が準備できていると、次のような交渉方法を選択する事も可能です。
「すでに住宅ローンの事前審査を済ませていますが、少し予算をオーバーしてしまっているので、販売価格の端数を値引きしていただくことはできますか」
「用意している現金で、マンションを購入してからリフォームを考えています。少しだけ予算をオーバーしてしまうので、水まわりのリフォーム費用だけ値引きできるでしょうか」
住宅ローン・現金が準備できていると、中古マンション購入の意思を明確にすることができ、値下げ交渉がより具体的になります。
単純に「値下げは可能でしょうか」という質問と比べて、売主への印象は良くなるため、資金の準備によって購入の意思を明確に伝えましょう。
マンションの良いところを褒めながら交渉
ほとんどの売主は、自分の所有していたマンションに愛着を感じているものです。
大切にしていたマンションのダメなところを指摘されるよりも、良い部分に注目してくれると嬉しく感じます。
特に売主がこだわっていた場所を目ざとく発見し、適切な褒め言葉を述べてから値下げ交渉を始めるなら、売主の心に響く可能性が出てきます。
「とてもキレイに部屋を使われているので、一瞬でこちらのマンションを気に入りました。壁紙だけリフォームしたいと思っているのですが、リフォーム費用だけ値下げしていただけるでしょうか」
「ベランダから見える景色が本当に素晴らしく、風通しも良いので、とても良いお部屋ですね。1点のみ水まわりだけ少し気になるところがあるので、水まわりのリフォーム費用だけ値下げしていただけるでしょうか」
最初に部屋の良い部分や売主の方の管理の良さなどを褒めてから、値下げ交渉を行うことで、売主への印象は良くなります。
「マンションの壁が汚い、水まわりがボロいので古く見える、日当たりや風通しも悪いので値下げしてください」と言われて、感情を害さない売主はいません。
売主への印象を良くするために、マンションの良いところを最初に探すように心がけましょう。
値下げさせるために、マンションのマイナスポイントを列挙するような交渉は成功しません。
限度を超えた値下げ交渉はしない
商品の値下げ交渉の方法には、最初に大きな値引き額を提示してから、最終的に取引価格をすり合わせていくというものがあります。
例えば、「50,000円の商品を購入する際、30,000円なら購入する」と提示し、最終的に40,000円で取引が成立するという方法です。
この方法は中古マンションの値下げ交渉には向いていないため、使わないようにしましょう。
販売価格が3,000万円の中古マンションに対して、「2,000万円になりませんか」という交渉は、売主への印象を急激に悪くしてしまいます。
すでに紹介したように、中古マンションの値下げ幅は10%ほどが相場です。
3,000万円の販売価格に対して1,000万円の値引きは、33%の値引率であり、まともに交渉と行う態度とは言えず、交渉自体が終わってしまう可能性が高いでしょう。
さらに、あまりにも低い数字を提示するという事は、売主が大切に使っていたマンションの価値が低いと主張しているのと同じです。
自分が売主だったとして、値下げ幅が大きすぎる買主と契約をしたいと思えるでしょうか?
一度、感情がこじれてしまうと、その後どのような条件を出したとしても、売主は交渉の席にすら着いてくれないかもしれません。
値下げ交渉を行う時は、欲を出しすぎないように注意しましょう。
交渉を長く続けすぎない
少しでも安く中古マンションを購入したい気持ちは理解できますが、あまりにも長く交渉を続けていると、他の買主に物件を取られてしまう可能性があります。
不動産業界の慣例として、購入申込書を提出した順に交渉権が発生する事になっているものの、法律で定められているわけではありません。
ですからあまりにも長く値下げ交渉を続けていると、他の購入希望者に交渉権が移ってしまう可能性があります。
特に、交渉中の金額よりも次の購入希望者が高い金額を提示した場合、売主の気持ちは当然他の購入希望者に移ってしまうでしょう。
ですから値下げ交渉は、長く続けないようにしましょう。
中古マンションの売主さんの気持ちになって考えると良いんですね
マンション購入は大きな金額なので、自分のことばかり考えてしまいますが、それだと値下げ交渉は上手くいかないものです
常に売主の目線でいることが、売主の心を動かすポイントになります。
高い買い物であるため、中古マンションを購入する時は、少しでも安く買いたいという気持ちでいっぱいになってしまうかもしれません。
しかし中古マンションを購入する時に、最も重要なのは売主の気持ちや状況を理解する事です。
売主の気持ちや感情を無視したまま値下げ交渉を行ってしまうと、ほぼ間違いなく値下げ交渉は失敗に終わります。
値下げ交渉を成功させる交渉術の基本は、売主の気持ちへの理解であることを覚えておきましょう。
ここで紹介した値引き交渉で覚えておきたい8か条は、すべて売主の状況や気持ちと関係していました。
最後にもう一度、8か条をおさらいしておきましょう。
- 売主の状況や気持ちをよく理解する
- 物件の状態を把握する
- 相場を正しく把握する
- 購入時期を見誤らない
- 売主への印象を考える
- 値引き希望の理由を明確にする
- 売主の物件を悪く言ってはならない
- 住宅ローンの事前審査を済ませておく
交渉の全てを不動産会社にまかせていては、値下げ交渉は上手くいきません。
中古マンション購入を検討されている方は、ここで紹介した8か条を自分で実践することで、値下げ交渉をうまく進めることができるはずです。
値引き交渉は、不動産会社と良く協力して、売主の気持ちを考慮しながら進めるようにしましょう。