国内の不動産売買に関して少子高齢化で不動産の需要は低迷しているかと思いきや、中古マンションの市場は意外にも好調ですが、実はマンションを売ったうちの3人に1人は失敗したと感じているデータがあります。
そんな状況で希望価格での売却は難しいと言われるマンション売却ですが、成功するための方法はたくさんあり、事前に知っていることで売却損にならないようにできると期待されます。
マンション売却のよくある失敗事例ワースト5から、賢い売却方法についても紹介しましょう。
目次
事例1.時間に余裕がなくて焦り損してしまった
マンションの売却は大きな金額が動く取引、だから失敗したくありませんよね。
みんなそのように思っていますが、なぜか失敗する人も後を絶ちませんね。その原因と対策を紹介しましょう。
よろしくお願いいたします。ところで先生、失敗の原因にはいろいろあるようですが、時間が足りなくて焦ってしまったというケースが一番多いとか…。
そうですね。なぜ焦ってしまったのかについて検証し、余裕を持った取引を行うためのコツを紹介しましょう。
失敗事例
急いては事を仕損じるとも言うように、マンション売却の失敗談で意外にも一番多いのが時間に余裕がなくて焦ってしまったことです。
まずはその事例を3つ紹介しましょう。
事例1 離婚の財産分与でマンションを売却することになり、精神的に参っていたから早く解決させたかった。結果として相場より500万円近く安い価格で成約、すごく損しました。
事例2 仕事が忙しくその上出張も多いため時間に追われていた中で、管理費の証書などいくつか必要書類が足りなくて困った。証明書類があったら今より少し高く売れたと思うと悔しい。
事例3 早くても3か月かかると聞いてはいたものの、立地や築年数などの条件が良くないためかいつまでたっても決まらなくて焦ってしまった。
離婚や忙しいストレスで精神的に余裕がないのも分かりますが、慎重に行われる不動産取引にある程度時間がかかることは想定していないといけませんよね。
のっぴきならない事情や金銭面で困った場合はどうしても時間にも気持ちにも余裕が持てなくなります。目先のことに囚われないで取引をうまく成立させるために原因と対策を考えてみましょう。
原因
時間が少ない中で行われるマンション売却の多くが失敗する傾向に、その原因は以下の3つの点が考えられます。
- 成約を急いだため大幅な値下げをせざるを得なくなった
- 必要な書類が不足していた
- 心理的な焦りで適切な判断が出来ない
不動産業界ではこの事例のように、値下げして売ってしまうことを売り急ぎ、反対に高値で買ってしまうことを買い進みと言います。
いずれの取引も限られた時間で行われ、時には無理難題のような要望もあるなど、業者としても敬遠したいと思われています。
また2.にあるような書類の不足については、内容によっては売却金額にも関わってきます。
マンション売却の場合は管理規約書が特に重要、マンションは管理を買えと言われるくらい住んだ後にもずっとついてくるものです。
ペットや楽器の可否のルールの他、維持管理される内容次第で毎月かかる管理費が大きく関わってきます。
さらに心理的な要因として人は急かされると的確な判断力を失ってしまいがち、慎重さを要する不動産取引では売主本人はもちろん、不動産会社の担当者にとっても無用なプレッシャーとなってしまいます。
不動産売却には様々な準備が必要なので、急に言われてもどんなに良い会社でも対応できないこともありますよね。
マンション売却には短くとも4ヶ月、それ以上かかることも決して少なくありません。それを見越したスケジュールの作り方を解説しましょう。
対策
マンション売却には査定から始まって成約までに短くても3ヶ月、売買契約の締結から引き渡しの手続きまでにさらに1ヶ月程度要すると見積もられます。
そのため、以下のような計画を立てることが大切です。
売却希望時期を設定し時間を逆算してスケジュールを練る
まずいつまでに売りたいかを設定し、その時期に合わせたスケジューリングをします。
以下に売却の流れについて時系列にまとめてありますが、引き渡しの時期に希望日を合わせましょう。
取引の流れを事前につかむ
マンション売却は主に以下のような手続きを踏んで行われるので、事前に頭に入れましょう。
手順 | 内容 |
---|---|
1.価格査定 | マンションの販売価格の相場を知るために行われます 簡易査定でデータとしての価格、訪問査定でより詳しい判定が出ます |
2.媒介契約 | 不動産会社に、買主との間を仲介する(媒介)ための契約です 1社に任せるのを専任媒介契約、複数社に依頼するのを一般媒介契約といいます |
3.販売活動 | 販売価格を決め、広告やチラシを作った宣伝活動を行います 買取希望者から申し込みがあった場合、現地を内覧します |
4.売買契約の締結 | 購入者が決定したら不動産会社の立ち合いの元、売買契約を結びます |
5.引き渡し | 物件を引き渡します |
6.確定申告 | 売却した翌年に申告します |
成約するまでの時間の他、引き渡しの手続きが完了するのにもさらに1か月程度かかると見込まれています。
不動産会社と関係をしっかり築き、売却準備を念入りに行う
準備期間はとても大切、成約だけを焦るのではなく、具体的にこの金額でいつまでに売るといった、戦略的な販売計画を立てることが大切です。
不動産会社としても、売主から依頼された物件を売れるようにするのは、自社の売上にもつながるので策を練ってくれます。
たとえ安くても、人気エリアにあってもすぐに申し込みがあるとは限らず、また4か月以上時間がかかることもざらにあります。
万が一申し込みが1件も来ないことをシミュレーションしても差し支えありません。
何事も準備が大切って言いますよね。
大きな金額の動く不動産取引は慎重過ぎるくらいがちょうどいいので、少し早いかなと思うくらいから考え始めても大丈夫ですよ。
事例2.売り出し価格が高すぎた
適切な価格設定もまた、早くて成功する売却のためには必要不可欠ですね。
そうですね。マンションが売れない原因のワースト3に入るものには、価格が高すぎたからいうのも多くありますよ。
失敗事例
価格設定の見誤りもマンション売却の心配例にありがち、特に売り出し設定が高すぎるとどんなに良い物件でも買い手が決まらないという問題が発生しやすくなります。
価格が高すぎて苦労した例を挙げてみましょう。
事例1 都心で鉄道の最寄り駅に近く、不動産会社の勧めもあって強気でいた。査定額の高い会社を選んだから信頼していたけど、待てども内覧の申し込みがなくて焦った。今思えば、部屋の向きと間取りがやや難ありだったのが原因だった。
事例2 少し駅から遠かったものの環境はとても良くて最新の設備を持った大型マンションだから、不動産会社からも少し高い金額でおすすめされた。けど成約にはかなり時間がかかった。
事例3 当初設定した金額では高いからということで値下げ交渉があった。さらに仲介手数料や税金などの費用、内覧のためのクリーニング代や引っ越し代なども思った以上にかかった。勉強しておくべきだった。
良い物件でも売り出し価格が高いとそれだけで躊躇してしまいますね。
不動産物件の場合は何千万、何百万という単位なので特にそのような心理的影響はあります。また一つ高い物件を見てしまうとそのエリア全体の相場とも捉えられてしまいます。
原因
価格設定を間違えた原因は、以下の3つの点についてが欠けていたと考えられます。
- 物件に対しての過大評価
- 適切な相場への理解度
- 売却時の費用に対する認識
マンションなど不動産物件には、定価があるようで実はありません。
その理由は、不動産価格に関して市場動向はもちろん、不動産会社の販売実績などから得られたデータも大きな決定要因になるからです。
また戸建住宅とは違い、マンション価格には設備や管理面での要素や、経年による建物の劣化(減価償却)など細かい要素が数多くあるため一筋縄ではいきません。
さたに、ローン残高が多く残っている場合にも高めの設定にならざるを得ない部分もあるので注意が必要です。
物件に対しての評価は自己評価ではないということですね。
周辺の類似物件と比べた平均値が相場、さらにマンションの場合は建物の設備や管理費用など、購入のポイントとなる点が多いのも特徴ですね。
対策
価格を踏まえた上でしっかりと堅実な取引をしたい場合は以下の3つの点を心得る必要があります。
査定額だけで不動産会社を決めない
不動産売却は査定から始まります。
査定とは販売価格の概算、つまり相場に近い意味合いを持っています。
マンションの価格は不動産会社によって金額が異なるため、必ず複数の会社で査定を行い、平均値を出しましょう。
その時、査定額の一番高い会社と手続きしたくなる心理が働きますが、少し慎重になりましょう。
なぜ査定額が高いのか、反対に低いのか、その理由と根拠をしっかり質問し、的確で分かりやすく答えてくれる会社こそが良い不動産会社です。
売却費用やローン残高を把握すること
入ってくるお金だけでなく出ていくお金についての知識も重要、マンションを売却した金額の他、売主が出費するものには以下の項目があります。
項目名 | 平均金額または計算式 | 備考 |
---|---|---|
仲介手数料(400万円超の場合) | (売却額×3%)+ 6万円 + 消費税 | 上限金額、値引き交渉の余地あり |
印紙税 | 販売価格に応じて1,000円~6万円で変化 | |
登記費用 | 抵当権抹消費用 所有権移転登記 いずれも土地一筆につき1,000円程度 | 司法書士に依頼する場合は別途報酬が必要 |
譲渡所得税 住民税 復興特別所得税 | 譲渡所得に応じる | 売却したことによって費用を上回った場合(売却益が出た場合)、翌年の確定申告にて支払い |
この他にも必要に応じて、管理費用未納分、ローン一括返済に関する諸費用、ハウスクリーニング費用、引っ越し費用などがかかります。
出典:国土交通省 不動産流通について
出典:国税庁:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
安すぎてもダメ、最低価格は譲らないこと
一方、設定価格は安すぎても禁物、その理由は取引の際に買い手から値下げ交渉が入る場合がほとんどだからです。
不動産会社ではそれを見越したうえでローン残高も加味した金額を設定しています。
その目安は査定価格の1割ほど上乗せされると見積もられます。
さらにこれは少し信じがたい話ですが、マンションの価格の付け方も、あえて端数を出すようにしているケースもよくあります。
4000万円前後の査定が出た場合、4050万と3980万だと後者にした方が売れやすくなるのです。
スーパーでの値付けに使われる手法ですが、不動産物件にも活用されていたとは驚きですね。
どんなに条件が良くても売れなければ意味がない、極端に言えばそう考えてしまいますよね。
それはそうです、このマンションにお金を払って買いたいと思わせる人がいなければ売却は成り立ちません。
そういう点も踏まえたうえで査定、価格相談を念入りにしていけば、価格設定の判断ミスは減らせますね。
事例3.タイミングの判断ミス
マンション売却のタイミングって、いつがベストなのでしょうか。
マンションの売却は市場動向の他、年間の季節も大きく関係していきます。この他、築年数が5年程度の浅い物件に対する注意点も一つありますよ。
失敗事例
マンションの売り時を見誤ってしまった、そんな失敗談も中にはあります。
事例1 バブル期に購入したマンションは今では築年数30年以上、当時の購入金額を考えるとかなりの大損だった。
事例2 12月に向けて売却する考えでいたが、不動産会社から待ったをかけられ、少し後ろ倒しで2月にずらされた。
事例3 築年数が5年以内で高く売れると読んでいたものの、所得税が思った以上にかかってしまった。
不動産も適切な時期に売らないと長い間心配することになりますね。
家電製品やファッションアイテムなどと同じく、不動産物件にもトレンドがあります。また一般製品を購入する場合は消費税くらいしか税金はつきませんが、不動産物件の場合は他にも注意すべき税金があります。
原因
不動産売買は土地価格の推移による市場の動きの他、1年間の中で売れやすい時期と売れにくい時期がそれぞれあります。
売れにくいタイミングで売却してしまうと、百戦錬磨の営業マンでも苦戦するくらいなので、よほどの事情がない限りはその時期は敬遠されるケースさえあります。
上記で挙げた具体例で考えられる原因は以下の通りです。
- 不動産価格が高い時に購入し下がった時に売ってしまった
- 売却の季節に適していなかった
- 所得税の支払い時期に対して勉強不足だった
でもタイミングを見計らうって難しくないですか?個人個人で売却する事情も違いますし。
マンションを売る理由の中には、金銭問題や財産、相続関連の他にライフスタイルによる住み替えというのがあります。こうした前向きな理由の場合は急がず、適切な時期を見計らう余裕があります。
確かに。もし今はベストな時ではなければ、少し待ってみてもいいですね。
対策
まずは中古マンション売却に適した時期について知りましょう。
市場動向では土地価格が上がっている時が売り時
市場動向の中で地価が上昇しやすい要因は以下の5つです。
- 鉄道駅の新設、地下鉄の相互乗り入れや延伸が期待できる
- 低金利の時は低い利子でお金が借りられるので不動産需要が高まる
- 駅ビルやショッピングモールの建設など再開発が見込まれる
- 外国人観光客が増加する
- インフラ整備に期待できる
これらの要因から判断すると、景気指数が上昇傾向であると不動産需要も増え、価値も高まって売れやすくなると考えられます。
ただし上記については必ずしも全てうまくいくとは限らないこともあると心得ましょう。
その例として挙げられるのが2020年、この年は東京オリンピックも開催されるとして地価が上昇すると見込まれていました。
しかし同年の初め頃に新型コロナウイルスが爆発的に流行しオリンピックは延期となり、経済にも甚大な打撃を与えました。
その他にも日本は大地震や自然災害も多いため、地価が大きく変動するリスク要因も十分にあるので注意しましょう。
1年の中で成約件数が多いのは3月、少ないのは8月
市場という大きな視点のみならず、1年間の中でも成約件数が多い月とそうでない月があります。
- 年度末を迎える2月、3月は最も売れやすい
- 会社員の異動が多くなる9月~11月も成約件数は高い
- お盆や夏休みなど長期休暇のある8月や5月は苦戦する
- 年末年始である12月、1月は成約件数が最も少ない
所有期間5年を軸に所得税率が変わる
マンション売却にもう一つ重要なのが税金について、マンションを売却して利益(売却益)が出た場合、所得税と住民税がかかります。
その時の計算式は以下の通りです。
- 譲渡所得=譲渡価格(売買価格)-取得費(購入時にかかった費用)-譲渡費用(売却時にかかった費用)
- 所得税額=譲渡所得×所得税率
この所得税率は所有期間5年を軸に税率が大きく変わります。
- 所有期間が5年以内の場合 譲渡所得×39.63%
- 所有期間が5年以上の場合 譲渡所得×20.315%
このように物件の所有期間が5年を超えると税率は約半分くらいまで安くなるので、築浅で5年程度の場合は注意しましょう。
そして居住用に使われたマンションの場合のみ、3000万円特別控除という制度が使える可能性があります。
これは譲渡所得からさらに3000万円差し引くという意味なので、事実上税金がゼロになるチャンスもあります。
ただしこの制度を利用するには過去に何らかの特例を受けていないこと、居住用の場合のみ(事業用や投資用は適用外)、その他条件があります。
また確定申告で必ず申告を忘れないこと、申請がない場合に自動適用になるわけではないのでくれぐれも注意しましょう。
出典:国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
出典:国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
高く売れたら確かに嬉しいですが、その分税金などもかかってしまうから少し注意がいりますね。
税金の計算はもちろんですが、3000万円特別控除が使えたら大変大きいですね。住み替えをする場合には適用できるか詳細な条件を不動産会社と相談してみましょう。
事例4.内覧対応を疎かにしてしまった
買主が物件を観にくる内覧は、売り出しの絶好のチャンスですよね。
そうです、この内覧対応を疎かにしてしまうと残念なことになりますよ!
マンションの販売活動が行われると、購入希望者が実際に物件を観にきます。
購入希望者としてはこの時が物件を実際に見られるまたとないチャンスということで、売主が想像しているよりもくまなく見ています。
買取希望者は一体どのような部分を見ているのか、この事例においてはあえて買う側からの生の声を拾ってみました。
購入希望者の声1 立地条件は申し分なく、間取りも気に入ったのですが実際に見ると狭くて日当たりも落ちるように感じたので見送りました。
購入希望者の声2 中古マンションということで新築のような期待はしていないものの、水回りが今一つきれいでなかったりするとちょっと購買意欲が薄れますね。
購入希望者の声3 予算面で少し妥協して最後に見に行ったところ、不動産会社の説明通りでしたが売主さんがとても感じがいい人だった。時間も限られていたのでここに決めました。
確かに、内覧は実際の商品を見ていることと同じですよね。
購入希望者はあらかじめ立地や間取りについては頭に入れたうえで、事前の話では見えなかった部分についてじっくりと見ます。また売主の人柄で決めているという声も少なくないのは結構意外ですね。
原因
内覧で購入を見送る意見として多いのが以下の3点、いずれも今後住むことに直結してくる問題というのが共通のポイントです。
- 部屋が狭く見られた
- 水周りのクリーニングが今一つだった
- 設備が古くて交換の必要がありそうだった
高いお金を払ってこれから毎日ここで暮らすことを考えたら、住みやすさ、快適さは妥協できませんね。
2.の水回りに至っては、これから毎日手入れしていく場所だから清潔にはこだわりたい、さらに3.になると古いものでは買主が居住後に買い替える必要も出てくるから見逃せないんだ。
対策
内覧対応では以下の3つのことを心掛けるだけで、成約への距離が縮まります。
- 物を減らしてスッキリと明るく広く見せる
- ハウスクリーニングで楽に綺麗に
- 住んだことがあるからこそ分かる良さを伝える
さらに、買主はどんなところをチェックしているのかについて、具体的な項目をまとめました。
売却をする前の事前チェックとして使い、修繕箇所などがあれば直しておきましょう。
入った時の印象 | 明るさ、におい、開放感があるかなど 居心地が良いと感じられるかどうか |
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眺め | 窓から見える景色や建物 |
日当たりや風通しの良さ | 日当たりや風通しの良し悪し エアコンの使用にも関わってきて光熱費にも大きな違いが出る |
トイレ、浴室などの水回り | 黒カビなどはないか 配管からにおいが上がってこないかなど |
キッチンについて | キッチンの使い勝手は良さそうか 水回りとの位置関係など |
天井、壁 | 水漏れの跡、カビ、クロスのゆがみ、ひび割れなどはないか 臨家からの音の聞こえなど |
床 | きしみ、ゆがみなど、歩いて変な音はしないか 傾いている箇所はないか 床の厚みはどれぐらいか |
バルコニー | 室外機を置く洗濯物を干すスペースは十分か |
ドア、窓枠 | 開閉はスムーズにできるか サッシはゆがんでいないか |
給湯器 | レンタル給湯器の場合いつ更新したか 平均寿命は12~15年程度、取替え費用は20~30万円程度かかる |
この他には周辺環境について実体験を元にした一言があると、購入希望者は大きな参考になります。
立地条件や周辺環境についてはある程度情報をつかんでいるものの、住んでみないと分からない情報があることで、購入の是非の決め手になることもあります。
子供連れの家族であれば学校や公園についての情報、高齢者がいる家庭には病院や施設などへの利便性、まさに生活したからこそ提供できる情報は貴重です。
内覧では細かい部分をチェックできる滅多にない機会なので、購入希望者も真剣になりますね。
それだけでなく、前に住んでいた人の人柄も判断材料になっている点も意外ですが、実際に住んでみた人の情報は不動産会社の担当者でもさすがに提供できませんね。
事例5.不動産業者の選定を間違えた
マンション売却は細かくて専門的、不動産会社の力がなければ絶対できませんね。
確かに、金額の大きさもさることながら細かい法律や販売技術など、不動産会社がいなければ一般の人には無理です。しかしこの不動産会社選びこそが、売却の成否を分けるポイントにもなります。
失敗事例
マンション売却を個人で行う人は、一般の人には実質ほとんどいないので不動産会社の存在が必須です。
しかし相性の悪い不動産会社を選んでしまったがために、こんな失敗をしてしまったという経験談もあります。
事例1 ネットの一括査定サービスを利用し、その中で一番査定額の高いところに。不正なことをやったり特に問題はなさそうな業者でしたが対応がイマイチな会社だったために成約が遅れてしまい、結局は査定額より値引きし他の会社と変わらない価格になってしまいました。
事例2 駅前でいつも看板を見かけていて覚えていたので入ってみました。マンション売却も行っているとのことで、担当者も感じが良かったのですぐに媒介契約をしました。しかし成約に大幅に時間がかかってしまいました。後で聞いたらこの不動産会社は賃貸の仲介には強いけど売買の方は今ひとつとのことで、こちらの勉強不足も悪かったと思いました。
事例3 親族が代々お世話になってきた老舗の不動産屋があり、他の選択肢を考えず何となく決めてしまいました。信頼のおける会社なのですがもっと高く査定してくれる会社の存在を知り、もう少し考えればよかったと後悔しています。
不動産会社の特徴って、確かに一般の人から見ると分かりにくいですね。
それは言えますね。しかしマンション売却におすすめな不動産屋には実は共通した特徴があります。
原因
日本国内にある不動産会社の数は、実は蕎麦屋を上回ると言われているくらいです。
それだけ数が多いので、会社によって個性や得意分野も様々です。
その他に考えられるのは、売却のことばかりに気が回ってしまい価格のことを深く考えなかったという理由も考えられます。
- 査定額の一番高いところにしてしまった
- マンション売却に強くない会社に依頼した
- 他に頼めばもっと高く売れた
確かに査定額を高くつけてくれたところに決めたくなる心理はありますよね。
しかし大手の人気不動産になると反対に査定額に慎重なところが意外とあります。堅実な取引という部分では、コンプライアンス意識の強い会社ほどその傾向も強まります。
対策
良い不動産会社選びとは、一概に口コミで人気があるからとは限りません。
口コミ評価が高くても、マンション売却にそれほど強くなければ満足いく確率は少ないでしょう。
そのため不動産会社選択には以下3つの心がけがあると良いでしょう。
簡易査定は当てにならないと心得る
インターネットで行われる一括査定サービスは、忙しい人でも好きな時に短時間でできるので大変おすすめです。
ただしネットで行う査定の目的は不動産会社の比較検討と相場を知るため、必ずしも契約する必要はありません。
また一括査定で価格の大きいところに決めるのは危険、後から値引きするはめにもなりかねないからです。
会社の強みや実績までチェックする
複数の会社を比較していく中で必ずチェックしたいのが得意分野と販売実績です。
マンションに強い、中古マンションの販売実績が多いところほど期待が持てると考えられます。
必ず訪問査定を受けること
ネットの一括サービスのような査定方法のことを簡易(机上)査定といい、過去のデータからシンプルに分析して出された価格が出されます。
しかしその金額でそのまま販売されることはまずないと心得、不動産会社に直接物件を見て査定してもらわなければなりません。これを訪問(詳細)査定と言います。
訪問査定の時に合わせて、担当者の態度や対応力などを観察し、信頼が持てそうなところと取引しましょう。
インターネットで情報を得て、対面でより詳しくといったところですね。
どこの会社と取引するかは事前に調べることに時間をかけること。大きな金額が動くので、慎重に見極めましょう。
まとめ
マンションの売却は一筋縄では行かない難しい取引、経験者のうち3人に1人が失敗したと感じるくらいです。
失敗の原因として考えられるトップ5は余裕のなさ、高すぎる価格設定、不利なタイミング、内覧をおろそかにした、そして不動産選びの誤りです。
成功させるためには時間に余裕を持つこと、適切なタイミングと価格、内覧対応を丁寧にすること、売却費用や税金の知識をつけること、そして優良な不動産会社に出会うことです。
これさえ守れば、マンションの価値はさらに高まり、満足いく取引に期待ができますね。