人生で一度あるかないかの大きな出来事である不動産売却。
不動産の価格はとても高額ですから、それに係る費用も大きくなります。
その中でも、買主から受け取る手付金と不動産会社に支払う仲介手数料には注意が必要です。
どちらもある程度決まった相場というものがあり、それから大きく外れている場合は売主が大きな損を被るかもしれません。
また、それぞれにルールが定められていますので、それらについても十分理解しておく必要があるでしょう。
この記事では、不動産売却における手付金と仲介手数料について徹底解説していきます。
手付金って何?いつどのくらい受け取れるの?などといった内容や、不動産売買における手付金のルールについてもご紹介します。
仲介手数料を簡単に求められる計算式や一目で費用が分かる早見表、高額になる理由と値下げのコツについてもお伝えしてまいります。
売ったらいくら手に入れられるのか?どのくらいの費用がかかるのか?という疑問をお持ちの方も、お金が動くタイミングを把握できますので、是非参考にして下さい。
売却費用がかかるということは、売却価格がそのまま自分のお金になるわけではないということですね。
諸経費や手数料を差し引いた額が実際の手残りになります。
入金や出金の金額、タイミングを把握しておくと、売却後のライフプランや資金計画を立てるのにも役立ちます。
まずは不動産売却の流れとお金が動くタイミングからみていきましょう。
目次
不動産売却の流れ お金が動くタイミングは売買契約後から
不動産売却で発生する費用には売主が入金するものと買主から売主へと支払われる費用があり、その支払い時期はおおよそ決まっています。
入金と支払いのタイミングを把握するため、まずは不動産売却の大まかな流れとお金が動くタイミングについてみてみましょう。
不動産売却の大まかな流れは以下の通りです。
- 査定
- 不動産会社との媒介契約
- 売却活動
- 内覧
- 買主との売買契約
- 決済・引き渡し
- 確定申告
このうち、お金が動くタイミングは5~7です。
入金と支払いの内訳について、以下の表をご覧ください。
流れ | 買主からの入金 |
---|---|
5. 売買契約 | 手付金(売買代金の10~20%) |
6. 決済・引き渡し | 残金(売買代金-手付金) |
7. 確定申告 | — |
- 売主の支払い
- 仲介手数料の半金/売買契約書に貼る印紙税
- 仲介手数料の半金/抵当権抹消費用や司法書士への報酬
- 税金(譲渡所得がある場合)
この記事では、手付金と仲介手数料に関して詳しくご紹介します。
買主から入金される手付金と売主が不動産会社に支払う仲介手数料は、売買契約と引き渡しのときに支払われるのが一般的です。
なぜ2段階で支払うのか?いくらずつ払うのか?などについて、それぞれ詳しく解説します。
不動産の売買契約時の手付金の種類と相場など徹底解説
まずは手付金についての解説です。
そもそも手付金とは、不動産の売買契約が結ばれたとき、相手の債務不履行を問わず解約権を認める目的のため、または相手に債務不履行があった場合に損害賠償もしくは違約金として売主へと支払われる違約金です。
不動産の売買では売買契約から一定期間後に決済引き渡しを行うことが多く、その間の法律関係を安定させる意味合いも持ちます。
そのため、法令上、手付金を支払うのは絶対ではありませんが、不動産の売買においては慣例となっています。
手付金は、売主と買主間で契約が成立したことを表すものといえるでしょう。
手付金を支払っても売買代金を支払ったことになりませんが、契約書において手付金は残代金支払い時に売買代金の一部に充当するなどと定められるのが通常のため、手付金は売買代金の一部として扱われます。
意味合いの異なる3種類の手付金について
手付金は契約の際に前金として支払われるものというイメージをお持ちの方も多いでしょうが、実は手付金には種類があり、それぞれ意味合いが異なります。
手付金の種類と不動産売買における手付金の意味をご紹介します。
不動産取引に関わらず、一般的な話として手付金には以下3つの種類があります。
①解約手付
②違約手付
③証約手付
①解約手付とは手付金の授受によって当事者に解約権を保留するものです。
これによって相手に承諾を得ることなく、当事者(売主または買主本人)だけの意思によって契約解除ができるというものです。
売主からは手付金の倍額を返還すること、買主は手付金を放棄することによって、契約後でも損害賠償を負うことなく契約を解除することができます。
例えば不動産の売買契約が成立し、買主から売主へと100万円の手付金が支払われたとしましょう。
しかし何らかの事由により売主が契約解除を申し出た場合は、手付金の倍額を返還、すなわち200万円を買主に支払うことで解除ができます。
これを手付倍返しといいます。
一方、買主側から契約解除を申し出た場合は、既に支払っている100万円の手付金を放棄することで解除できます。
これを手付流しといいます。
②違約手付とは、債務不履行があった場合、買主側の違約に関しては手付金が違約金として没収され、売主側の違約に関しては手付金を返還するとともに、手付金と同額を支払わなければならないというものです。
先ほどと同じく、買主から売主へ100万円の手付金が支払われたとしましょう。
違約手付の場合、買主側から契約解除を申し出たら、その100万円は売主が没収します。
売主側から契約解除を申し出たら、買主へ100万円を返還し、さらに違約金としての100万円を支払わなければなりません。
解約手付のときと失う金額、支払う金額は同じですが、放棄と没収、手付金の返還と違約金など、言葉の意味が異なります。
③証約手付とは、不動産の売買が成立した証とするものです。
買主が購入するという意思を明確に証明するために授受が行われます。
不動産売買における手付金は?
手付金には、売買契約が成立していることを明確にする役割があります。
しかし種類によって性質が大きく異なるため、どのように解釈したらよいか悩むところです。
不動産の売買における手付金は、解約手付であると解されています。
そのため、買主側から契約解除を申し出た場合は手付金を放棄しなければならず、売主側からの場合は手付金の倍額を返還することになります。
しかしながら、これはあくまでも慣例であり、明確に決められているものではありません。
違約手付としての手付金を設定している場合もありますので、契約内容を十分に確認することが大切です。
手付金の相場は売買代金の10~20%
手付金の額には法的な決まりがないため、売主と買主の合意があればいくらに設定しても構いません。
手付金が安いと、契約解除をした場合のリスクが低くなる買主が有利になります。
高ければ買主が解除しにくくなるため、売主が有利になるでしょう。
そのため、売主は手付金の額をできるだけ高く設定したいと考えます。
しかし、手付金が高すぎると売買契約そのものの成立が難しくなり、手付金の意味をなさなくなってしまいます。
ですから、手付金の額は契約解除のリスクを減らせるギリギリのラインに設定することが重要です。
不動産売却における手付金の相場は、売買代金の10~20%程度となっています。
上限が20%なのは、不動産会社が売主の場合の手付金上限額として決められているからだと考えられます。
多くのケースで10%程度が相場です。
また近年は、誰が決めたわけでもありませんが100万円を手付金額と設定しているところも多いようです。
一般的には売買契約時に仲介する不動産会社から手付金額についての提案がありますので、売主がその額に納得すれば問題ありません。
稀に手付金額の値引き交渉を求めてくる買主もいますので、その場合は不動産会社の担当者と相談した上で不利な条件にならない様に慎重に対処しましょう。
手付解除期日は売主と買主で話し合い明確に!
手付解除期日とは、売買契約を解除できる期限のことです。
手付金を授受した場合の手付解除期日は、契約の履行に着手するまでと民法で定められています。
相手の承諾なしに当事者の意思のみで契約解除できる期間が定められていなければ、いつ契約を解除されるか分からないという不安定な状況に置かれてしまうからです。
しかし、契約の履行に着手するまで=売買を成立させるために必要な行為をした日ではありますが、それがどんな行為であるかははっきりと決められていません。
手付金を授受するにあたっては、売主と買主が話し合い、手付解除期日を明確に決めておく必要があります。
売買を成立させるために必要な行為をした日は、売却不動産の所有権移転登記をした日や買主が残代金を支払った日が該当すると考えるのが一般的です。
つまり、不動産売却の流れでいう、決済・引き渡し日です。
一般的に売買契約日から引き渡し日までは約一か月程度空くケースがほとんどであり、これくらいの期間であれば売主にも買主にも不都合が生じにくいと考えられます。
そのため、この日を手付解除期日に設定するのが一般的です。
仮に契約日から引き渡し日までの期間が長い場合でも、売買契約から一か月程度が期日となるでしょう。
手付解除期日も売買契約書に書いた方が良いですか?
もちろんです!
双方のみの口約束ですとトラブルになる可能性もありますので、合意を得られた内容に関しては契約書へ記載することが大切ですよ。
住宅ローン特約による手付金の返還に注意
お伝えしてきたとおり、買主側の都合により売買契約を解除する場合は、買主は手付金を放棄し、売主はそのまま受け取ることができます。
しかし、買主側の事由で契約解除しても、売主が返還しなければならないケースもあります。
それは、買主が住宅ローンの審査に通らなかった場合です。
不動産を購入する買主の多くは金融機関等で住宅ローンを組みますが、その審査を行うのは売買契約をした後、つまり売主に手付金を支払った後となります。
もし審査が通らなかったら売買契約の履行を進めることができなくなりますが、このケースに関しては買主都合による契約解除とはなりません。
なぜなら住宅ローン特約により、買主が審査に通らなかった場合は契約内容を白紙にでき、売主は買主に手付金を返還しなければならないと定められているのです。
買主が住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、このような買主事由による契約解除であっても手付金返還の義務が生じますので注意しましょう。
手付金や頭金・内金との違い
金銭のやり取りにおいては、手付金の他に頭金や内金という言葉も用いられます。
これらはとても似ている言葉ですが、意味は全く異なります。
言葉を混同して使用すると後でトラブルになる可能性もありますので、用語の定義を理解しておきましょう。
金銭授受で用いられる言葉は以下の通りです。
- 頭金
- 中間金(内金)
- 申し込み証拠金
頭金とは住宅ローンを借りて不動産を購入する買主が、ローンを借りずに支払うお金のことです。
売買価格から住宅ローンの借入金を引いた分、つまり手出しする自己資金のことをいいます。
頭金には手付金がもつ契約に対する証約の効力はありません。
中間金とは、売買契約後に売買価格の一部として契約履行前までに買主から支払われるお金のことです。
つまり、手付金→中間金→残代金という流れになります。
一般的な不動産の売買では中間金の授受はなく、売買契約時に手付金を、決済時に残代金を支払うのが一般的です。
申し込み証拠金とは、不動産購入の際に買主の意思を確認し、その証拠として売主へと預託されるお金のことです。
買主が不動産を仲介する不動産会社に対して申し込み証拠金を支払うと、他の顧客は案内されず買主が優先的に購入できる権利を持つことが可能となります。
預り金のため手付金のような効力は持っていません。
相場は不動産の種類に関係なく5~10万円程で、売買契約が締結すれば売買代金の一部として充当されます。
ちなみに、手付金の残金が支払われる決済・引き渡し日には、固定資産税の清算金も一緒に支払われます。
マンションの場合は日割り計算した管理費や修繕積立費の清算金も支払われることになるでしょう。
清算は金銭的な負担を公平にするためのものですが、売買契約書に記載されていない場合は後から買主へ請求できない可能性があります。
こちらについても割合等の取り決めが行われたら売買契約書に記載しておくことが大切ですよ。
決済が行われる前に決めておかなければなりませんね。
仲介手数料はいくらかかる?算出方法や根拠を解説
不動産の売却で売主は下記のような費用を支払う必要があります。
- 仲介手数料
- 売買契約書に貼る印紙税
- 抵当権抹消登記費用(登録免許税)
- 司法書士への報酬
- 譲渡所得に課税される税金
これら様々な費用のうち、仲介手数料は最も高額な費用となります。
仲介手数料は、不動産会社と媒介契約を結んている売主が、売買契約成立時に不動産会社に支払うものです。
そのため、買い手との契約が結ばれなければ、媒介契約の有効契約が終了したとしても支払う必要はありません。
売買契約が締結した時点で仲介手数料の支払い義務が生じることを覚えておきましょう。
仲介手数料の金額は売買金額に応じて高くなります。
支払いは売買契約時と決済・引き渡し日に半金ずつです。
半金とはいえ高額になる可能性もありますので、金額を把握して準備しておくことが大切です。
仲介手数料はいくらかかる?仲介手数料の早見表で確認
ここでは仲介手数料のルールと計算方法について詳しくみていきしょう。
仲介手数料のルールとは、宅地建物取引業法に基づいて定められている上限のことです。
仲介手数料は売買価格に応じて高くなるのですが、このルールによって法外な金額を請求されることはありません。
ルールの詳細については以下の表をご確認ください。
※宅建業法の一部改定により、売買価格400万円以下の仲介手数料上限は18万円となりました。
上図の計算式を見ると、+6万円とあります。
この数字に対して疑問に思う方も多いでしょう。
実はご紹介した計算式は、仲介手数料を簡単に計算するための速算式で、実際の計算式はもっと複雑です。
単純に○%をかけるだけでは正しい額が算出できないため、+6万円の調整額を含めているのです。
では例として、税抜き1,000万円の不動産を売却する場合の仲介手数料を計算してみます。
1,000万円×3%+6万円=36万円
仲介手数料には消費税の課税対象となりますので、この計算式で求められた仲介手数料に消費税率をかけます。
36万円×消費税10%=3万6000円
36万円+3万6000円=39万6000円
計算の結果、消費税込みの仲介手数料は最大で39万6000円になることが分かりました。
仲介手数料早見表
法律で決められている仲介手数料の上限額を知れば、自身の不動産売却する際にかかる仲介手数料を把握できます。
なぜなら、多くの不動産会社は仲介手数料を上限いっぱいに設定しているからです。
正式な売却価格は決まっていないけど仲介手数料がいくらかかるのか知りたいという方に向けて、仲介手数料の額が一目でわかる早見表をご用意しました。
こちらは消費税込みの価格となりますので、是非参考にして下さい。
売却価格 | 仲介手数料(税込み) |
---|---|
400万円 | 19万8000円 |
500万円 | 23万1000円 |
600万円 | 26万4000円 |
700万円 | 29万7000円 |
800万円 | 33万0000円 |
900万円 | 36万3000円 |
1000万円 | 39万6000円 |
1200万円 | 46万2000円 |
1400万円 | 52万8000円 |
1600万円 | 59万4000円 |
1800万円 | 66万0000円 |
2000万円 | 72万6000円 |
2200万円 | 79万2000円 |
2400万円 | 85万8000円 |
2600万円 | 92万4000円 |
2800万円 | 99万0000円 |
3000万円 | 105万6000円 |
3200万円 | 112万2000円 |
3400万円 | 118万8000円 |
3600万円 | 125万4000円 |
3800万円 | 132万0000円 |
4000万円 | 138万6000円 |
4200万円 | 145万2000円 |
4400万円 | 151万8000円 |
4600万円 | 158万4000円 |
4800万円 | 165万0000円 |
5000万円 | 171万6000円 |
仲介手数料は税抜きの売却価格で算出する
不動産売買における価格表示は、税込み価格です。
これは、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則によって定められており、消費税がかかる場合は税込み価格で表示することとされています。
例えば1000万円で不動産を売却するとしたら、この価格には既に10%の消費税が含まれていることになるのです。
このときの仲介手数料の計算式は(1000万円×90%)×3%+6万円=33万3000円となっています。
これに消費税分を加えた110%をかけて戻す計算を行う必要があります。
33万3000円×1.1=36万6300円
物件の税抜き価格から算出した仲介手数料は、36万6300円となりました。
税込み表示されている不動産価格のまま仲介手数料の消費税をかけてしまうと二重課税となってしまいますので気を付けましょう。
仲介手数料は仲介してくれた方への成功報酬
仲介手数料が発生するのには、以下のような根拠が挙げられます。
- 不動産を売るための販売活動に対する報酬
- 顧客に対して不動産を紹介してくれたことへの報酬
- 広告によって売却不動産を周知してくれたことへの報酬
- 販売価格に対する計算をしてくれたことへの報酬
- 通常の販売活動にかかる諸経費の補填
売主個人が単独で販売活動を行うよりも広く世間に周知でき、取引上のトラブルを防ぐことができるなどといった仲介のメリットに対して報酬を支払うことになります。
仲介手数料に含まれない費用は別途請求される
不動産会社の販売活動は、指定流通機構への登録や広告媒体への掲載、オープンハウスの開催などが一般的です。
つまり、仲介手数料の範囲で依頼できるのはこれらの活動に限定されるということです。
そのため、買主が遠方にいる場合に交渉してもらうための出張費や通常の販売活動以上の広告宣伝などには別途費用が発生します。
他にも、売却のための測量費、解体費、ゴミの処分費用、管理費用についても、仲介手数料とは別に費用が発生することを留意しておきましょう。
仲介手数料の値引き交渉は可能?両手仲介の場合の値引き交渉は?
仲介手数料は売却価格によっては100万円を超えるほど高額になりますから、なるべく安く抑える方法はないものかと考える方も多いでしょう。
そこで費用を抑える方法として思いつくのが、値引き交渉。
これは仲介手数料の費用に関しても行うことが可能です。
不動産会社によっては、交渉に応じてくれるところもあるでしょう。
ただし、仲介手数料の値引き交渉は売却活動におけるリスクを高めることになるかもしれません。
先述した通り、仲介手数料というのは仲介してもらうことで得られるメリットに対する報酬です。
不動産会社へ売却の仲介を依頼すると、個人間取引よりも良い条件で売却できる可能性は高く、トラブル防止にも役立ちます。
広告の掲載や作成を一手に引き受けてくれるのはもちろん、買い手との間に立って交渉を行ってくれたり、各種書類の手配や作成も行ってくれるのです。
高い手数料は積極的な営業活動と手厚いサービスに対する対価といえます。
値下げ交渉をして相場よりも安い仲介手数料で媒介契約を結んだとしたら、それは販売活動の熱量低下に繋がるかもしれません。
不動産情報サイトへの掲載や広告作成には当然費用がかかります。
仲介手数料を支払えば当然のようにしてもらうことができるそのような販売活動も、十分にしてもらえなくなる可能性があるのです。
それは結果的に、買主が見つからない、値下げしなければ売れないという状況を招く可能性が高く、売主にとって大きなリスクとなるでしょう。
売却費用を安く押さえたい場合でも、不動産会社へ手数料の値下げを要求するのは避けた方が無難です。
近頃は仲介手数料0円や半額などと謳っている不動産会社もあります。
そのような会社に仲介を依頼する場合は、どのような販売活動をしてくれるのか?なぜ手数料が安いのか?の根拠を聞いて納得してから媒介契約を結ぶことが大切です。
早期に高く売れた場合は値下げ交渉の余地あり
販売活動をする前に値下げするとモチベーションが下がる恐れがあるため、媒介契約時に仲介手数料の値引きするのはおすすめしません。
ただし、不動産が早く・高く売れることが決まっている売買契約時なら値下げ交渉の余地はあります。
不動産が当初の予定よりも高く売れた場合、それに比例して仲介手数料も高くなります。
不動産会社にとっても得られる利益が大きくなりますので、値下げ交渉してもらえるかもしれません。
不動産会社は売却先が決まるまで広告等を出し続けますので、早く売れた場合は販売活動費が想定よりも安く押さえられている可能性があります。
この場合も得られる利益が大きくなると考えられますので、値引き交渉に応じてもらえる可能性が高くなるでしょう。
両手仲介を行っている場合も、値引き交渉ができるかもしれません。
両手仲介とは、売主と買主が同じ不動産会社と媒介契約を結んでいることをいいます。
この場合、売主と買主の双方から仲介手数料を得ることができます。
一つの不動産に対して不動産会社が得られる利益はより大変大きくなりますので、値引き交渉に応じてもらえる可能性が高くなるでしょう。
仲介手数料を支払うタイミングは?手付金で支払いはNG!
仲介手数料の支払い義務は、買主との売買契約が成立した時点で生じます。
支払うタイミングは売買契約時と決済時に半金ずつ2段階に分けるのが一般的となっています。
なぜに2回に分けて支払うのかというと、売買契約を結んだとしても、契約の履行にまでは着手しておらず、契約が解除される可能性が残っているためです。
仮に契約解除となると仲介手数料も返還されることになるのですが、全額支払い済みとなると不動産会社側の返還手続きが複雑になってしまうのです。
売買契約成立時に全額払いたいという場合、それを拒否されることはありませんが、契約解除の可能性も念頭に分割で支払うことをおすすめします。
手付金で仲介手数料を支払ってはいけない
売却費用で最も高額になる仲介手数料ですから、例え半金であっても用意するのが難しいという方もいらっしゃるでしょう。
中には、売買契約時に買主から支払ってもらった手付金を仲介手数料の半金として使ってしまう方も少なくありません。
しかし、このような形で仲介手数料を支払うのは絶対に避けましょう。
売買契約締結から引き渡しまでの間に、何らかの都合によって売主が契約解除を行った場合は、手付金を返還しなければなりません。
手付金の解説でもお伝えしましたが、買主が住宅ローン審査に通らなかった場合の契約解除でも、売主は買主へ手付金を返還しなければなりません。
手付金を返還しなければならなくなる可能性は低いとも言えず、もしそれを使ってしまったとしたら買主へ返還できなくなり、トラブルへと発展してしまいます。
受け取った現金と同じ現金を返す必要はありませんが、同額を即時準備できない状況であれば、決済・引き渡し時までそのままとっておきましょう。
仲介手数料の支払い方法は選べますか?
振り込み可としているところも多いですが、振り込み手数料がかかってしまうため、現金でのやり取りになるケースが多いようです。
意外に見落としがちなのが、ATMの引き出し制限。
1日の引き出し上限金額はコンビニATMが20万円、銀行ATMが50万円となっていますので、当日にお金がおろせない!とならない様に、前もって準備しておくことも大切ですよ。
ここまで、不動産売却における手付金の入金の流れと売主が支払うべき仲介手数料について解説してまいりました。
不動産の売却でお金が動くのは売買契約時と決済・引き渡し時。
売主は売買契約時に手付金を買主から受け取り、仲介手数料の半金を不動産会社へと支払います。
決済・引き渡し時には残金を受け取り、仲介手数料の半金を支払うという流れが一般的です。
手付金には種類がありますが、不動産売却における手付金とは解約手付です。
買主都合で契約解除となった場合は手付金をそのまま受け取ることができますが、売主都合の場合は倍額を返還しなければなりません。
また、買主都合といえる審査落ちであっても、住宅ローン特約により手付金は同額を返還しなければなりませんので、決済・引き渡し日までそのままとっておきましょう。
いくつかある売却費用の中でも最も高額となる仲介手数料ですが、多くの不動産会社は上限額を手数料として請求します。
売買契約を結んだ時点で支払い義務が生じますので、ご紹介した仲介手数料の速算式や早見表を参考に、必要な額を準備しておきましょう。
不動産売買は個人間で行うことも可能ですが、不動産会社に仲介を依頼すると情報の拡散力による早期売却が期待でき、契約トラブル防止にも役立ちます。
仲介手数料は買い手を探す為の時間とコスト、専門知識によるリスク回避を担う不動産会社への対価とも言えるでしょう。
媒介契約時の値引き交渉はできるだけ避け、早期高値売却ができた時点で交渉の相談をすることをおすすめします。