家や土地などの不動産を売ろうと思っても、まず始めに何をしたらいいのか分からない方は多いのではないでしょうか。
不動産売却したいけど手続きが面倒で先延ばしにしてしまっている方もいると思います。
不動産を売却では大きなお金が動きますし、大変な労力を必要とします。
人生に一度あるかないかですし、手際よくスムーズに売却手続きをするのは誰しも簡単なことではありません。
一般的に不動産を売却するときは不動産会社等に仲介を依頼しますので、ほとんどの手続きでサポートを受けられます。
しかし大切な不動産を高く、スピーディーに売却するためには任せっきりではいけません。
不動産売却には7段階のステップがあり、それぞれに高く売るポイントが隠されています。
売り主自身が流れを把握し、ポイントを押さえておくことが売却成功への近道となるのです。
そこで今回は、不動産売却の査定から引き渡しまでの7段階を徹底解説します。
それぞれの段階で重要になるポイントや押さえておくべき要点をご紹介しながら、全体の流れを順を追ってご説明していきます。
不動産を売るにはまず何をしたらいいの?売却の全体の流れは?などの疑問をお持ちの方は是非参考にして下さい。
不動産を売るなら、まずは不動産会社に行けばいいですよね?
いえいえ、不動産を売るなら査定を依頼する不動産会社を探すことから始めましょう。
良い不動産会社を選ぶためには、売主自身も知識を備えておくことが大切です。
詳しくみていきましょう。
不動産売却 全体の流れ
不動産売却の内容をお伝えする前に、まずは全体のおおまかな流れを把握しておきましょう。
売却には以下の7つの段階があります。
- 売却準備
- 査定
- 媒介契約
- 販売活動
- 売買契約
- 引き渡し
- 確定申告
では次に、ステップ毎にかかる期間についてみていきます。
売却スケジュールと期間
売却スケジュールとそれにかかる期間については以下の表をご覧ください。
売却スケジュール | かかる期間 |
---|---|
売却準備 | 1ヶ月 |
査定 | 2週間~1ヶ月 |
媒介契約 | 2週間 |
販売活動 | 3~6ヶ月 |
売買契約 | 2週間 |
引き渡し | 1ヶ月 |
確定申告 | 翌年の2~3月に行う |
上記に記載された期間は大まかなものとなります。
一般的には売却を検討してから引き渡しが完了するまで半年程度かかります。
少なくとも4ヶ月以上、長いと1年以上かかることもあります。
売却準備
売却するならまずは査定をしてもらおうと思ってしまいがちですが、実は査定前の売却準備は大変重要なステップです。
売却準備で大切なのは、何故売却するのか、その理由を明確にすることです。
売却理由が不明確なまま手続きを進めてしまうと、売却条件がブレてしまうため、販売活動や交渉時に折り合いが付かず不利になる可能性があります。
高く売るのを優先するか、それともできるだけ早く売ることを目的としているのか。
交渉の指標となる妥協点を見つけておくと、納得できる条件で売却しやすくなります。
査定相場を把握しておく
この後査定へと進む上で、売却予定の不動産がどの程度の市場価値を持つのか調べておきましょう。
不動産会社から提示される査定額は、これくらいの値段で売れると思いますよという指標でしかありません。
会社の特性によってそれぞれ査定額は異なり、提示される査定額に数百万円もの差が付くこともあります。
自身で相場を把握していなかった場合、相場よりも低い査定額の不動産会社で売却すれば、本来売れるはずの値段よりも安く買いたたかれてしまうかもしれません。
相場よりも高い査定額であれば、売出しても買い手が付きにくく、そのまま販売期限が切れたり、ギリギリになって大幅な値下げを強いられる可能性があります。
売主自身が不動産の価値を把握し、適正な査定額を提示してくれた不動産会社を選ぶことは、売却をスムーズに行う上でも重要なのです。
不動産相場を把握するにはレインズマーケットインフォメーションや土地総合情報システムを利用しましょう。
レインズマーケットインフォメーションは不動産の成約情報や売出し情報等が集約された不動産総合サイトです。
間取りや築年数、駅からの距離など細かい条件を指定できるため、所有する不動産と似た不動産の価格を簡単に調べられます。
土地総合情報システムでは物件を特定できませんが、地域やその他条件に該当する物件価格を調べられます。
これらで取得できる情報はあくまでも予測でしかありませんが、資金計画を立てるのにも役立ちますので査定を依頼する前に調べておきましょう。
売却に必要な書類を準備しておく
不動産売却には様々な書類が必要です。
どれもすぐに手に入れられるものではなく、不足していれば売却上不利に働く可能性があります。
書類の有無で査定額が大きく変わることも考えられるため、この段階で準備しておきましょう。
売却を依頼する際に必要になる書類を以下にまとめました。
○は必須書類、△はあると有利な書類、×は必要ではない書類です。
書類 | 戸建て | マンション | 土地 |
---|---|---|---|
登記簿謄本または登記事項証明書 | ○ | ○ | ○ |
不動産購入時の売買契約書 | ○ | ○ | ○ |
不動産購入時の重要事項証明書 | ○ | ○ | ○ |
登記済み権利書または登記識別情報 | ○ | ○ | ○ |
固定資産税納税通知書と固定資産税評価証明書 | ○ | ○ | ○ |
土地測量図・境界確認証書 | ○ | × | 〇 |
建築確認済書と検査済証 | ○ | × | × |
建築設計図書・工事記録書 | × | △ | △ |
物件の図面 | ○ | ○ | × |
設備の仕様書 | ○ | ○ | × |
アスベスト使用調査報告書 | △ | △ | × |
耐震診断報告書 | △ | △ | × |
マンション管理規約 | × | ○ | × |
マンションの維持管理費関係の書類 | × | ○ | × |
不動産の情報を把握できる資料が豊富ですと買主に与える印象もよくなりますので、できる限り準備しておきましょう。
ここまで、最初のステップである売却準備についてお伝えしました。
売却準備でのポイントは以下の通りです。
- 売却理由を明確にし、譲れない条件や妥協できる点を見つけること
- 適正な価格での売却を目指すため、不動産相場を調べて把握しておくこと
- 査定申し込み時に提出できるよう、詳細な物件情報が分かる書類を準備しておくこと
不動産売却は準備が肝心です。
より高く、スピーディーな売却を目指すため、以上のポイントを押さえておきましょう。
査定
査定は、売却手続きのスタート地点となる重要なステップです。
ここでは売却活動を成功させるための不動産会社選びに重点を置きましょう。
不動産会社は全国に12万社以上あると言われ、それぞれの会社によって特徴や強みが異なります。
大手だから良いという単純なものではありません。
売却する不動産を最も良い条件で売るために尽力してくれるパートナーを選ぶことが大切です。
そのような会社を選ぶため、次のポイントを押さえておきましょう。
一括査定で複数社に査定を依頼する
査定で最も重要なのは複数社に査定を依頼することです。
インターネット上では無料で利用出来る一括査定サイトがありますので、そちらを利用しましょう。
一括査定サイトでは売却する不動産の情報を入力すると対応できる不動産会社が自動的に選択されますので、その中から最低でも3社以上を選んで査定を申し込みましょう。
複数社に依頼すると、以下のようなメリットを得られます。
- 正しい売り出し価格を設定できる
- 信頼できる業者に出会える
先ほども申し上げたように、不動産会社が提示する査定額は、うちの会社ならこれくらいの価格で売れると思いますよという値段です。
そのため、各社の結果に大きな差が出ることも少なくありません。
複数社に依頼することによって、相場の中央値を知ることができます。
また、売却準備で自信が把握した相場価格と比較もできます。
その結果、正しい売り出し価格で販売でき、不動産本来の適正な価格で売却できるのです。
比較できるのは価格だけではありません。
会社そのものを比較できるため、会社の良し悪しがわかったり、自身と相性の良い会社を見つけるのにも役立ちます。
良い不動産会社を選ぶポイント3つ
複数の会社が同じような査定額を提示することは多いです。
査定額では決められない、どの会社が自分に合うのか分からないという場合は、以下のポイントで判断しましょう。
- 査定額の根拠を明確に話せるか
- 売却予定と似た不動産の売却実績があるか
- 提供しているサービス内容
査定額の根拠を明確に話せるか
売却準備の時点で不動産相場を把握していれば売主自身が査定額の根拠を問うことができますから、それに対して明確に説明できる不動産会社を選びましょう。
事例となった不動産の情報や査定額の計算方法などといった根拠を提示してもらった上で納得できる説明をしてくれた会社を選びましょう。
売却予定と似た不動産の売却実績があるか
会社の強みや特徴というのは、過去の売却実績を見ればわかります。
成約物件や売出し中の物件をみると、都心のマンションに特化している、戸建ての物件を多く扱っているなどといった特徴を把握できるでしょう。
そもそも、売却に強い不動産会社であるかも大切です。
一口に不動産会社といても、物件の仲介を得意としているところ、管理を得意としているところ、売買を得意といているところなど様々です。
売却に関しては専門性が高いため、営業マンの売却実績も重要となります。
売却を専門的に行っているとこですとより強力なサポートを得られるでしょう。
提供しているサービス内容
不動産会社によって異なる特徴の一つとして、提供するサービスの違いがあります。
提供するサービスとは、買い手が付かず売却できなかった不動産を不動産会社が買い取る買取保証、内覧を良い状態で行うために荷物を一時預けられる荷物預かりサービス、広告媒体用の宣伝写真をプロに撮ってもらうプロカメラマン撮影などです。
これらは会社の規模に関わらず、会社ごとに多種多様なサービスが提供されています。
これを参考に、自身のニーズに合ったサービスを提供してくれる不動産会社を選ぶというのも、おすすめの判断方法です。
ここまで、査定についてお伝えしました。
査定でのポイントは以下の通りです。
- 査定は良い不動産会社を得ぶためのステップである
- 一括査定サイトを利用して複数社に査定を申し込む
- 査定の根拠・過去の売却実績・サービス内容を確認して自身にある不動産会社を選ぶ
不動産会社を選んだら仲介を依頼する媒介契約を結びましょう。
媒介契約
正式に売買の仲介を依頼するため、不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。
ここで重要となるのが、どのような契約を結ぶかです。
まずは媒介契約について種類と内容を見てみましょう。
契約内容 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専任専属媒介契約 |
---|---|---|---|
複数社との契約 | ○ | × | × |
売主個人が見つけた買主との取引 | ○ | ○ | × |
有効期間 | なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
レインズへの登録 | 任意 | 契約日から7日以内に登録 | 契約日から5日以内に登録 |
活動状況の報告義務 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
このように、一般媒介契約、専任媒介契約、専任専属媒介契約で契約内容が異なります。
- 一般媒介契約:複数社に依頼するため積極的な売却活動は期待できないが、公開間口が広がるため購入希望者の目に止まりやすくなる可能性がある
- 専任媒介契約:1社のみとの契約になるので広報活動も積極的に行ってくれるが、会社や担当者によって結果が左右されやすい
- 専任専属媒介契約:1社のみとの契約になるので積極的な広報活動が期待できるが、完全に依頼する形になるので契約時の見極めが必要になる
例えば売却期限が決まっている場合、ギリギリまで買い手が付かない場合は大幅な値下げをして売り切ることも考えられます。
しかし期限が無い場合でも、買い手が付かないままですと値下げせざるを得なくなるでしょう。
どの契約内容もメリットデメリットがありますので、一概にどれがおすすめとは言い切れません。
いつまでに売却したいのか、どの程度までの値下げに対応できるのかなどによって、見合う契約内容は変わります。
不動産の現況や市場の動向によっても売却活動は左右されますので、その時の状況と売却する不動産に合った契約を結ぶことが大切です。
ここまで媒介契約についてお伝えしてきました。
媒介契約でのポイントは以下の通りです。
- 媒介契約は一般媒介契約・専任媒介契約・専任専属媒介契約の3種類がある
- 自由度が高いのは一般媒介契約だが、専任専属媒介契約の方が積極的な広報活動が期待できる場合もある
- 不動産の状況や市場動向を見極めて、状況に合った契約を結ぶことが大切
どの契約内容にするべきか、迷いますね。
見比べると判断に迷うかと思います。
決めかねる場合は、一般媒介契約を複数社と結びましょう。
期限がありませんので売却の目途が付きにくくなりますが、複数社に依頼することでそれぞれが競って販売活動をしてくれます。
売買契約を結んだ会社が仲介手数料を受け取ることが出来るため、他社と競合する形となるのです。
結果的に早い段階で売却できるかもしれません。
複数社とというのがポイントとなりますので、覚えておいてくださいね。
販売活動
媒介契約によって売却活動の方針が決まったら、いよいよ販売活動へと入ります。
まずは売り出し価格の設定から始まります。
売り出し価格は売主が決められる!価格設定のポイントとは?
売り出し価格の決定権は売主にあります。
ですから、不動産会社に提示された査定額よりも高く売りだしても問題ありません。
しかしながら、査定額は様々な根拠に基づいたものですから、それと大きくかけ離れた価格で売り出すのは現実的ではありません。
不動産会社の意見を聞きながら、目的に合わせた価格設定を行いましょう。
ポイント①値下げを想定した価格設定で高値売却を目指す
不動産の売買において、値段交渉は基本的に行われるものと考えておきましょう。
そのため、最低限この価格で売りたいと考える価格に値下げ分を上乗せした価格を売出し価格と設定すると安心です。
値下げ交渉に応じれば買い手も割安感を感じられる分交渉がスムーズに進み、相場よりも高い価格で売れる可能性が高まります。
ポイント②早く売りたいなら最初から割安感を出そう
購入希望者たちは普段から不動産情報をチェックし、相場を把握していると考えられます。
そのため、買い手の目につきやすくするため、相場よりも少しだけ値段を下げて割安感を出し、目に留まるようにするのも効果的です。
割安物件は買い手がすぐに見つかるという焦りから購入希望者たちからのアプローチも早いと考えられます。
相場より少し安くてもいいから早く売りたい場合に有効な方法となるでしょう。
内覧時、印象アップのために売主ができることとは?
売主と買主双方にとって重要なのが内覧です。
ここまで来たら買い手が見つかるまであと少し。
ここで重要なのは買い手側に立って考えること、購入意欲を高めるアプローチをすることです。
整理整頓をしておく、チェックされやすい水回りを掃除しておくなどといったことはもちろんですが、次のポイントについても押さえておきましょう。
物件購入時のパンフレットやリフォーム・修繕履歴が分かる資料を用意する
購入希望者にとって物件情報の資料が多いほど具体的なイメージがしやすくなります。
特に物件購入時のパンフレットは物件の魅力が分かりやすく掲載されていますので、それと合わせて内覧することで現況の劣化具合や設備のスペックなども把握でき、より正確な不動産情報を伝えることができます。
リフォームや修繕履歴はアピールポイントになりますので是非提示しましょう。
ネガティブな物件情報も伝え、実際の暮らしをイメージしてもらう
内覧に来る人に実際の暮らしのイメージを持ってもらうことはとても大切です。
しかし良い面だけをアピールしていると隠し事があるのでは?と疑う人も少なくありません。
それにネガティブな情報を一切伝えないままですと、契約直前にそれが分かった時破談になってしまう可能性もあります。
そのため、ネガティブな情報も含め、具体的な暮らしをイメージする上で必要な情報を伝えましょう。
例えば日当たりの悪い部屋がある、窓を開けると音が響くなど。
自身の対策法も伝えるなどポジティブな情報も合わせて伝えることで、より良い印象を与えることができるでしょう。
ここまで、販売活動についてお伝えしました。
販売活動で重要なポイントは以下の通りです。
- 売り出し価格の設定は不動産会社が提示した査定額を基準に、売却条件と合わせて柔軟に決める
- 購入意欲をアップさせるには買い手側に立った対応が必要
- 実際の暮らしをイメージしてもらえるような情報を提供する
売買契約
販売していた不動産の購入者が決まったら売買契約へと進みます。
売買契約当日は売主、買主、不動産会社の三者で話し合いを行います。
契約日当日に確認する内容について、以下をご覧ください。
確認事項 | 内容 |
---|---|
売買物件の表示 | 物件の面積や間取り、権利者等の詳細情報 |
売買金額と支払い方法 | 売買代金/手付金の額/支払方法と時期 |
所有権の移転と引き渡し | 物件の所有権移転、引き渡しの時期/抵当権抹消について |
公租公課 | 固定資産税等、物件に関わる費用の負担割合(引渡し日を起点に日割り計算) |
瑕疵担保責任 | 契約後に瑕疵が見つかった場合の対応 |
危険負担 | 引渡し前の物件の損害について |
付帯設備の引渡し | 付帯設備の取り扱いと故障の有無の確認 |
特約事項 | 法的順守義務のある項目以外に売買者間で任意に定めた規定 |
契約違反による解除 | 契約違反となる場合の条件と解除方法 |
不動産売買契約書は標準契約書が使用されるのが一般的ですが、原則自由となっているため不動産会社によって異なる場合もあります。
以上の確認内容は契約上必須事項となりますので、全ての項目が記載されているかチェックしましょう。
また各事項のスケジュールに関しても確認し、無理のない内容かを確認しましょう。
売買契約日に必要になる書類とは?
売却準備で用意した物とは別に、売買契約日に必要になる書類があります。
そちらについても確認しておきましょう。
- 本人確認書類
- 住民票
- 実印と印鑑証明
- 銀行口座の通帳(銀行振り込みの場合)
- ローン残高証明書又はローン返済予定表(ローン残債がある場合)
売買契約日に仲介手数料の半金を支払う
仲介手数料とは仲介を依頼した不動産会社に払う仲介料で、成功報酬のようなものです。
仲介手数料は、(売買価格×3%+6万円)×消費税で求められます。(売買価格が400万円を超える場合)
1000万円の物件を売却する際の仲介手数料はおよそ40万円、5000万円の場合はおよそ170万円と、売買価格に比例して仲介手数料も高くなります。
大きな金額となりますので、資金計画に含めるなどして予め準備しておきましょう。
手付金はどのくらい?
売買契約日には手付金として売買代金の1~2割程度を受領します。
売買代金の一部ですが、手付金に関しては原則として現金での受け渡しとなります。
引渡しが完了するまでは契約解除によって返却しなければならない可能性がありますので、手を付けずに残しておきましょう。
瑕疵担保責任による契約解除に注意!
売買契約を結んだからといって安心はできません。
引き渡しまでの間に瑕疵が見つかれば、瑕疵担保責任によって契約解除される可能性もあります。
雨漏りやシロアリなどの物理的欠陥や室内での死亡事故など心理的欠陥を明確に提示しなまま契約を結び、その後欠陥が見つかった場合は買主側が無条件で解除できるため、売主側のダメージは大きなものとなるでしょう。
もし引き渡し後に見つかった場合は賠償金を請求されることもあります。
瑕疵による契約解除を防ぐためには自身が把握している瑕疵を全て明示すること、検査や保証がしっかりしている不動産会社を選ぶこと、瑕疵担保責任が及ぶ期間の設定を変更することが大切です。
ここまで、売買契約についてでした。
売買契約で重要なポイントは以下の通りです。
- 売買契約書に契約上必須の項目が記載されているかを確認すること
- 詳細内容までも確認し、スケジュールを把握しておくこと
- 仲介手数料の半金を支払う必要があるため、あらかじめ準備しておく
引き渡し
売買契約書に記載された引き渡し日に基づいて引き渡しが行われます。
一般的には売買契約日からおよそ1ヶ月後になります。
引渡し日に行われるのは、物件そのものの引き渡しだけではありません。
具体的な内容を把握するため、引渡し日の当日スケジュールについて詳しくみてみましょう。
- 司法書士によって本人と書類の確認を行う
- 売買代金の決済
- 領収証の授受
- 書類と物件の鍵の引き渡し
- 不動産会社への仲介手数料と司法書士への報酬の支払
このような流れで引き渡しが行われます。
司法書士が書類の確認をして問題が無ければ引き渡しが行われるのですが、書類の不備が見つかって引き渡しが延期するケースがよくあります。
不動産の決済では、売主と買主、不動産会社、金融機関など多くの機関が関与しているため、改めて引き渡し日を設定するのは容易ではありません。
場合によっては違約金を支払わなければならなくなりますので、事前に不動産会社と連絡を取り確認しておくことが大切です。
引き渡し日に必要になるものとは?
引き渡し日当日に必要となる書等を以下にまとめました。
- 実印と印鑑証明書
- 本人確認書類
- 不動産の権利証
- 評価証明書または公課証明書
- 物件の鍵
- 不動産会社への仲介手数料の残り半金
- 司法書士への報酬
- 抵当権抹消書類(ローンがある場合)
これら以外にも、不動産によって個別に必要な書類がありますので、不動産会社へ確認し、忘れずに準備しましょう。
引き渡しのどのくらい前に引っ越しすればよい?
物件の引き渡し義務が発生するのは、引き渡し日に残代金が支払われたタイミングです。
そのため、遅くとも引渡し日前日までには引っ越しを完了させる必要があります。
とは言っても、引っ越し手続きや準備には時間がかかりますし、新居を探す必要もあるでしょう。
そのため、売買契約を結んだら早い段階で引っ越しの準備を始めましょう。
新居を購入するとなると、売買契約日から引き渡しの間のタイミングに合わせて購入するのは難しいですよね。
仮住まいの賃料が勿体なく感じてしまいます。
そのような場合には、先行引き渡しや引き渡し猶予を行って仮住まいの期間を短くする方法もあります。
先行引き渡しとは新居の引き渡し後に購入後の決済を行うこと、引き渡し猶予は旧居の購入代金を買主から受け取った後も引き渡しを待ってもらうことです。
これらの方法を利用すると二重ローンや仮住まいの賃料の負担を軽減することが可能です。
但し、猶予期間は2週間までとなっており、売主買主双方と不動産会社が同意の上でなければ成り立ちません。
また権利関係や費用面で複雑となってしまいますので、その点を留意しておきましょう。
ここまで、引き渡しについてお伝えしました。
引き渡しで重要なポイントは以下の通りです。
- 引渡し日前に不動産会社と一緒に書類の不備がないかを確認しておく
- 必要な書類や持ち物は前日までに確認する
- 引っ越しの手続きは余裕を持って 引渡し日前までに必ず行うこと
確定申告
不動産を売却したら、翌年の2~3月に確定申告を行いましょう。
確定申告の必要性は不動産売却の譲渡所得額によって決まります。
譲渡所得の計算式は以下の通りです。
売買代金-取得費-譲渡費用-特別控除=課税譲渡所得
計算の結果、譲渡所得がプラスであれば所得税や住民税等の納税義務が生じます。
確定申告に必要な書類とは?
不動産の売却で得た譲渡所得は分離課税となります。
従って次のような書類を用意し、申告を行う必要があります。
- 確定申告B様式
- 分離課税用の申告書
- 譲渡所得の内訳書
- 不動産購入時と売却時の売買契約書
- 仲介手数料等諸費用の領収証
- 不動産の登記簿証明書
最低限これらの書類が必要となります。
不動産のによってはその他の書類が必要になる場合もありますので、税務署や税理士に確認しましょう。
不動産売却 節税のポイントとは?
課される税金を安く抑えるには、取得費や売却にかかった諸経費の費用を明確にすることが最も効果的です。
売却時の書類はもちろん、購入時の資料や領収書についてもできる限り用意し、提出しましょう。
不動産の売却タイミングによって課税額が大きく変わることがあります。
例えば所有期間5年以下の短期譲渡所得と5年超の長期譲渡所得では、長期譲渡所得の方が約20%も税率が低くなります。
節税タイミングを見計らって売却するのも有効な節税方法といえるでしょう。
不動産の売却ではマイホーム3000万円の特別控除などといった特例が設けられています。
ある一定の条件に該当すれば特別控除が適用され、大幅な節税効果が期待できるものです。
確定申告の前に自身の不動産が該当する特例があるか確認しましょう。
損益が出た場合でも、損益通算で節税効果を得られるかもしれません。
損益通算とは何でしょうか?
損益通算とは譲渡損失が出た場合に売却した年の他の所得と相殺して所得税の減税を減らすことです。
損失が大きい場合はさらに翌年以降も繰越控除を受けられます。
買替や住宅ローンの特例控除等が利用できる場合もありますので、損益が出た場合でも確定申告することをおすすめします。
ここまで、確定申告についてお伝えしてきました。
確定申告のポイントは以下の通りです。
- 不動産を売却した翌年の2~3月に確定申告を行うこと
- 売却益が出た場合は申告必須 ポイントを押さえることで大幅な節税効果が期待できる
- 損益が出た場合も損益通算の申告によって節税できる可能性がある
ここまで、不動産売却、査定から引き渡しまでの7段階について解説してきました。
不動産の売却は、売却準備→査定→媒介契約→販売活動→売買契約→引き渡し→確定申告の流れで進みます。
多くの場合不動産会社に仲介を依頼するため、たとえこの内容を把握していなかったとしても売却することは可能でしょう。
しかし、合わない不動産会社を選んでしまったら、成功する可能性が格段に下がります。
不動産会社は売却成功の成否を左右する存在となるため、売主自身が十分な知識を持って慎重に選択することが大切です。
各段階で複雑な取り決めや確認事項があるとはいえ、要点は絞られます。
ポイントを押さえてさえいれば不動産会社のサポートを受けながらスムーズに手続きを進められるでしょう。
手続きを進める上で重要なのは、自身がどのような条件での売却を希望しているのかです。
いくらで売りたいか、いつまでに売りたいかなどといった条件は、交渉や契約の度に基準となります。
より高く、スピーディーな売却を目指すうえでも、これらの指標は大変重要な要素ですから、手続きへと進む前にそれらを明確にしておきましょう。
より良い条件で売却が出来るよう、各段階でご紹介したポイントを参考にしてみてください。