会社員の人は突然上司から転勤や単身赴任を命じられることもあります。
独身なら身軽に引っ越しできますが、家族がいたり持ち家の人は、家をどうするのか悩ましい問題に直面します。
転勤したら持ち家は売る?貸す?それとも空き家?様々な悩みがありますが、5つの選択肢と各メリット・デメリットをまとめました。
特に不動産を売却するか賃貸にするかで迷いがちなので、両者の比較と売却のポイントを記載したので参考にしてみましょう。
目次
転勤したら持ち家は売却?賃貸?・・・状況から選択肢を考えてみよう
転勤したら持ち家はどうすれば良いのか、考えられる選択肢は5つです。
- 単身赴任
- 売却する
- 賃貸に出す
- 親族に貸す
- 空き家のまま
本人の年収や会社からの住宅補助の有無、またローンの残債などがあるためベストな選択肢は人によって異なります。
選択肢のポイントはすぐに戻れる転勤なのか、そうでないのか期間によって選び方が変わることです。
そこで状況から選ぶ選択肢を考えてみましょう。

先生、どうしましょう、上司から3か月後に転勤が決まったと言われました。持ち家をどうするべきか悩んでいます。
まずは落ち着いて、家族や住宅に関わる金銭的なこと、会社の事などあらゆる面を考慮して決めるべきですが、どんな選択肢があるのかを説明しますね。



転勤が短期間であることが明確な状況
転勤が短い期間だと決まっている場合や、確実に1年以内に戻ってこられるなら売却よりも家を保有することを考えても良いでしょう。
賃貸についても1年未満と限られた物件を借りたい、という借り手を見つけるのは至難の業です。
そのため、選ぶとすれば以下がおすすめです。
- 単身赴任
- 親族に貸す
- 空き家のままにする
持ち家を持っており、家族がいる人が真っ先に考えなければならない問題点は、家族を連れていくかどうかです。
単身赴任は家族を今の家に残したまま、自分だけが赴任先で賃貸物件を借りて生活することになります。
単身赴任先の賃貸物件の賃料と、住宅ローンの返済を2重で行わなければなりません。
そのため、この選択肢が向いている人は1年など短い時間で戻ってこられる人になります。
他にも会社の規定で住宅手当が支給される状況の人は、単身赴任でも問題ないでしょう。
また短い期間でも親族であれば、貸して暮らしてもらうという選択肢を取ることもできます。
誰も住まない空き家でも、短い期間であれば負担は少ないでしょう。
転勤で3年以内に戻ってこれる状況
3年以内に確実に戻れる状況の場合は、選択肢が広がります。
ただし売却するかどうかで最も悩む状況でもあります。
選択肢が広がる分、悩みが大きくなることもあるでしょう。
- 単身赴任
- 親族に貸す
- 売却
- 賃貸
今の家をあまり気に入っていないのであれば、売却という選択肢を選ぶ人も多くなるでしょう。
そうでない場合は上記の中でも賃貸が有力な候補になります。
ただし期間限定で貸す場合は需要が少なくなるため、相場よりも賃料を安めに設定する必要があります。
また融通が利く親族がいれば、親族に住んでもらう選択肢もあります。
単身赴任も継続できないことはありませんが、2重の賃料など金銭面や家族と離れる精神面の負担が大きくなります。
転勤でいつ戻ってこれるか分からない状況
転勤でいつ戻ってこれるか分からない状況の選択肢は以下があります。
- 売却する
- 賃貸する
賃貸は家賃収入が得られるので、3年以上戻ってくる予定の無い人も選択肢に入ります。
しかし賃貸の場合は管理を任せる業者への手数料や、劣化による修繕や空き家問題など維持管理が問題点になってくるでしょう。
戻ってくる予定がないことが最初から明確であれば、売却することが最善策です。
先述したように3年程度で戻ってこれる場合であっても、賃貸に需要のない家であれば、思い切って売却を考える手もあります。
持ち家は放っておいても住宅ローンはもちろん、都市計画税や固定資産税がかかります。
住宅ローンの残債がある場合は売却で一括返済をしなければなりませんが、住み替えであれば住み替えローンを利用できます。
複数の業者に査定を依頼して、できるだけ高値で家を売却することを考えましょう。
転勤対応策は5つ!それぞれのメリット・デメリット
転勤の対応策である5つの選択肢については、転勤の期間やその人の状況によってどれが良いか変わります。
そのため各選択肢についてメリットとデメリットや注意点をまとめたので、参考にしてみてください。
単身赴任のメリット・デメリット
単身赴任とは家族を連れて行かずに、自分だけが赴任先にもうひとつ住まいを構えることを言います。
単身赴任のメリットとデメリットをまとめると次の通りです。
- メリット
- 家族の生活環境を変えなくて良い
- 家の管理を気にしなくて良い
- 住宅ローン控除はそのまま継続できる
- デメリット
- 家族と離れ離れになり寂しい
- 賃料・生活費などがかさむ
- 精神的なストレスを感じる人もいる
単身赴任は家族が家の管理を行うため、持ち家の心配をする必要がありません。
他人に家を貸すわけではないので気楽なのがメリットです。
状況が変わるのは自分だけなので家族の負担はありませんが、それ故に家族と離れ離れになったり新しい環境がストレスになる人もいます。
単身赴任でお互いひとりが気楽と思えれば良いですが、そうでない場合は苦痛です。
また二重生活になるため経済的負担が大きくなります。
注意点として、持ち家の住宅ローン控除に関しては、単身赴任の場合は引き続き住宅ローン控除の適用ができます。
しかし家族で単身赴任先に後からついていくなどで引っ越しをしてしまったら、控除が受けられないので注意しましょう。
住宅ローン控除の再適用はできますが、控除期間は延長されず控除の残期間がある場合のみに限ります。
住んでいなかった時期については控除されないので注意が必要です。
持ち家を売却のメリット・デメリット
いつ戻れるか分からない、今の家よりも新しい家に住みたい場合は売却を考えても良いでしょう。
持ち家を売却するメリットとデメリットをまとめました。
- メリット
- 持ち家の事を考えなくて済む
- まとまったお金が入る
- 転勤期間が延びても対応できる
- 維持費がかからない
- デメリット
- オーバーローンの場合売却に手間がかかる
- 売却や次の購入に諸費用がかかる
売却は持ち家の事を考えなくて済むので、不安やストレスが軽減されます。
また賃貸と比較すると、賃貸物件の維持管理についても考えなくて済むので不安がなくなります。
新しい新居を構える必要はありますが、売却でまとまった費用を得ることができるため、その費用で対策することができます。
また当初1年の期間だった転勤が延びるなど、転勤期間の急な変更にも対応することができます。
一方で売却をする場合、住宅ローンを全て返済しなければならないので、オーバーローンの場合は自己資金を用意しなければなりません。
次の家の購入にも諸費用がかかるので、ある程度の出費が起きるでしょう。
売却を行う上での注意点やポイントの詳細については後述しますが、焦って売却しないということです。
できるだけ綺麗な状態にし、査定を複数社依頼してから、引っ越した後に売却することができます。


売却は引っ越してからしても良いのですね。
そうです、でも訪問査定のたびに帰らないといけなくなるので、査定を行うのは引っ越し前が望ましいです。住宅ローンの残債の有無も考えないといけないので、資金計画を遂行するために複数の業者の査定額を比較する必要があります。


持ち家を賃貸するメリット・デメリット
家を賃貸物件として人に貸す場合は不動産業者に依頼を行い、管理等を行ってもらうのが一般的です。
賃貸のメリットとデメリットは以下の通りです。
- メリット
- 家賃収入が入る
- 維持管理を行うため家の劣化が防げる
- 管理は不動産会社に依頼できる
- デメリット
- 戻りたいタイミングで戻れない場合もある
- 入居者とのトラブルの可能性もある
- 途中で売却をすると収益物件になってしまう
家は空き家のまま放置すると傷むので、賃貸で誰かが住んでくれれば維持管理がなされ、家の劣化を防ぐことができます。
さらに家賃収入も入り不動産業者に管理を行ってもらえるため、手間もかかりません。
ただし5年の予定の転勤が、3年など短縮となった場合、誰かが住んでいると自分が家に帰れなくなります。
また入居者が必ず良い人とは限らず、ルールを守らない入居者だとトラブルが起きる可能性もあります。
途中で売却に変更すると、その物件は収益物件になり買主が投資家になるため、需要が低くなってしまい売れにくくなります。
賃貸の注意点は、入居者との契約を普通借家契約ではなく定期借家契約と呼ばれる賃貸借契約を結ぶことです。
定期借家契約とは最初から契約期間が決められており、契約終了で入居者が退去しなければならない決まりの契約方法です。
ただ長く住むことができない契約のため、賃料が相場よりも安くなります。
安心して賃貸経営を任せられる管理会社を選ぶためには、複数の管理会社を比較することがポイントになります。
親族に持ち家を貸すメリット・デメリット
少しの間であれば、親族の中に家を借りたいという人がいるかもしれません。
他人に家を貸すのは嫌だという人は、親族に貸す方法もあります。
親族に貸すメリットとデメリットを見てみましょう。
- メリット
- 他人に使われないので安心
- 転勤期間の変更で柔軟な対応ができる
- コスト面での融通が利く
- デメリット
- 頼める親族がいない
- 家賃収入が低いまたは賃料を取らないと負担が増える
他人に家を貸すのに不安がある人は、親や兄弟など身近な親族に頼むことで気を遣わなくて済みます。
また転勤期間の変更にも、柔軟な対応をしてもらうことも可能です。
賃貸料は空き家管理を行う業者に委託するよりも、安く済みます。
しかし頼れる親族がいない、また家賃収入が見込めずローン返済の負担が増えることもデメリットとしてあるでしょう。
親族に貸す注意点として、親族はその家に住んでいたわけではないので、家の管理方法や決まりを知りません。
マンションの管理規約については規約書を渡し、読んでもらっておきましょう。
分譲マンションの場合は専有部分と共有部分の境界や、定期的な消防設備点検や清掃に関するルールも把握する必要があります。
また戸建てでも、庭の手入れや台風や災害の備えについて、住人がしっかりと管理について説明をしておきましょう。
転勤中持ち家を空き家にするメリット・デメリット
転勤が短期間だと最初から確実な場合は、家をそのまま空き家にするという選択肢もあります。
その場合のメリットとデメリットは以下になります。
- メリット
- 他人に貸さないので安心
- いつでも戻ってこれる
- デメリット
- 家が傷む
- 空き巣に狙われる可能性がある
- ローン返済と家賃の二重負担
空き家のままは、大切な家を人に貸さなくて済むので、汚されたり不安材料がありません。
また誰も住んでいないので、好きなタイミングで家に戻ってこれるというメリットがあります。
しかし誰も住んでいない家は傷むのが早くなるため、誰かに数か月に1度程度は空気の入れ替えや掃除を頼む必要があります。
また放火や空き巣など不審者のリスクを考えると、定期的な見回りが必要になるでしょう。
売却や賃貸とは違い、収入がないのでローンの返済と赴任先の賃貸料金の二重の負担がデメリットです。
空き家の注意点は、記述のように定期的な管理をしなければならない部分です。
空き家にしたままが良いという場合は、空き家管理を行う業者に委託することができます。
空き家管理委託とは、空き家を有料で定期巡回してくれるサービスのことです。
プロに管理を任せるので安心感がありますが、その分コストがかかります。
資金に余裕がある人は、検討しても良いでしょう。
持ち家を売却vs賃貸を比較してみよう
転勤をする人が心配なのは、住宅ローンの返済と赴任先の賃貸料金、金銭面での二重の負担ではないでしょうか。
そこで収入が見込める売却をするか賃貸を依頼するかの二択で迷うという人も多いでしょう。
家を売却しようかと考えた時に、貸すことも検討することが多いので、ここでは売却と賃貸の比較を行っていきましょう。

金銭面の違いは売却でまとまったお金か賃貸で家賃収入か
家を売却すれば大きな額の費用を手にすることができます。
住宅ローンが残っていたとしても、その費用でローンを返済したり、次の家の購入の足しにすることもできます。
一方で賃貸物件として人に貸せば家賃収入が得られるので、それで月々のローンの返済を行うことができます。
同じ収入でも金銭面の違いはまとまったお金を得るのか、家賃収入を得るかという部分になります。
そこで次に具体的な例を挙げて、賃貸と売却を比較してみましょう。
具体的な例を挙げて持ち家の売却と賃貸を比較
売却と賃貸にかかる費用を具体的に挙げて、比較を行ってみましょう。
売却した時は売却代金が入ってくるものの、仲介手数料などの支出もあります。
譲渡益が出た場合は税金が発生しますが、これに関しては3000万円の特例などを利用すれば税金を支払わなくて良いケースが多いでしょう。
具体的にかかる費用は以下になります。
仲介手数料(上限) | 売却価格の3%+6万円(400万円超えの場合) |
---|---|
印紙代金 | 1万円(1千万円を超え5千万円以下の場合) |
抵当権抹消登記費用 | 1万2千円 |
不用品の処分費用 | 10万円~40万円 |
引っ越し費用 | 10万円~20万円 |
例えば売却価格が3000万円の場合の仲介手数料は最大で96万円になります。
そこに上記の表の経費がかかり、不用品処分引っ越し費用共に20万ずつかかるとなると、合計で138万2千円がかかります。
残りは2861万8千円ですが、ローン残債がある場合は一括返済を行わなければ売却できません。
出典:国土交通省 不動産流通について
出典:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置


ローンが残っていると売却はできないのですか?
ローンが残っていても売却はできますが、その場合一括で残りの残債を支払わなければなりません。売却で得たお金で足りない場合は自己資金を用意する必要がありますよ。


次に賃貸を行った場合は、家賃収入が得られますが支出も多いのが特徴です。
賃料がそのまま収入になる訳ではないので、注意しておきましょう。
また、初年度にはリフォーム費用がかさみ、仕事をしながら家賃収入を得ると税率も上がります。
どんな費用が必要なのかは以下を参考にしましょう。
初期費用(リフォーム費用) | 250万円 |
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固定資産税・都市計画税 | 年間18万円 |
修繕費用・管理費用 | 年間12万円 |
入居者管理などの管理委託業 | 家賃の5%程度 |
例えば家賃10万円と設定した物件の場合は単純計算すると120万円入りますが、上記のように支出もあります。
維持のための管理費と固定資産税を差し引いて、例えば年間に50万円~60万円の収入があったとしても、それをローンの返済にあてなければなりません。
また仕事を持ちながら不動産所得がある場合は、給与所得に不動産の収入を合わせるので、税率が上がってしまいます。
敷金や礼金を無しにすると、入居者のハードルは低くなりますが、更新時に退去する率も上がってしまいます。
持ち家を賃貸の方が収入があるが注意点も多い
賃貸は借りる人がいる以上、ずっと家賃収入を得られるので、どこかのタイミングで賃貸の方が得をすることになります。
しかしずっと満室の状態であれば良いですが、空き室になる期間も当然想定しなければなりません。
また維持管理のための費用は、もしもの場合に修繕が発生すると差し引かなければならなくなります。
さらにずっと保有したままのマンションは、10年後さらに資産価値が減っています。
資産価値は経済状況もそうですが、近所に新しいマンションが建築され日当たりが悪くなると一気に下がることもあります。
資産価値が落ち、入居者が減った不動産を売却しても、あまり収入は見込めない可能性があります。
持ち家を売却するか賃貸するかは総合的に判断することが大事
数字的な面を単純計算しても、売却と賃貸どちらがお得なのかを判断するには難しいことが分かります。
そのため持ち家を売却するのか、賃貸として出すかメリットとデメリットを総合的に判断する必要があります。
自宅を売却した場合のメリットとデメリットをまとめると以下になります。
- ローン返済を行う資金や次の新居の購入資金がまとまって入る
- 譲渡所得税がかかる場合もある
- 次の住まいを探さなければならない
自宅を賃貸に出した場合のメリットとデメリットは以下になります。
- 売却するより収入が多い可能性がある
- 初年度にリフォームなどの費用がかかる
- 10年後、20年後の不動産の資産価値を考えておく必要がある
- 管理会社への手数料がかかる
これらを総合的に判断した上で検討すると良いでしょう。
転勤で持ち家を売却するポイント
いつ戻ってこれるか分からない状況で転勤をする場合、先の住まいの事を考えるなら、売却がバランスの取れた選択肢と言えます。
そこで転勤で家を売却する時のポイントについて紹介します。
持ち家の売却は引っ越してから
家を売却する場合、転勤前に売却を行うか、引っ越してからが良いのかで迷う所です。
結論から言うと売却は引っ越し後に行う方が良いでしょう。
考えられる理由は以下があります。
- 売却を焦らなくて済む
- 生活感あふれる部屋を内覧させなくて済む
- 内覧を業者に任せることができる
転勤に合わせて売却を行うと、転勤の準備も重なり結果急いで売ってしまうことに繋がります。
タイミングよく買い手が見つかれば良いでしょうが、不動産は大きな額のお金が動き、間違えれば百万単位での損をすることもあります。
焦らずに売るためにも、引っ越した後に売却活動をした方が納得して売却ができるでしょう。
また住んでいる状態の家を売却するとなると、生活感あふれた部屋に内覧に来てもらわないといけなくなります。
そうなると部屋を良く見せるための掃除や整理整頓が必要なので、引っ越し後の部屋を見せた方が売る側も手間がありません。
生活感が出すぎた部屋で買い手の印象を下げる、ということもなくなります。
さらに内覧は住みながらだと売主も対応をしなければなりませんが、引っ越ししてからであれば不動産会社に鍵を預けて内覧を任せられます。
売る側の売却活動が非常に楽になるので、引っ越し後に売却活動をしましょう。
引っ越し後の持ち家売却で立ち会う回数は3回
引っ越し後に売却活動を行う場合、元の家に手続きを行うため、何回か行かなければなりません。
どのタイミングで立ち合いが必要なのか把握しておきましょう。
売却が完了するまで最低で以下の3つの立ち合いが必要です。
- 売買契約を締結するタイミング
- 設備等の動作の確認
- 引渡し日
売買契約は売主も立ち会うのが原則として決められています。
買主との契約になりますが、どうしても行けない場合は代理人を立てることも可能です。
次に売買契約後、引き渡し日までは通常ひと月ほど期間を設けます。
その間に売主は買主と共に家の設備の動作確認を行い、付帯設備表と呼ばれる書類でのやり取りを行います。
ここでは売主側も分からなかった設備の不具合が判明することもあるため、できるだけ早めに動作確認を行いましょう。
売買契約が終われば次は引渡し日にもう一度立ち合いが必要になります。
引渡し日は買主から、手付金や頭金以外の残りの残金の入金があり、権利証や登記識別情報通知書などの書類を引渡しを行います。
無駄な往復が増えないよう、必ず準備すべき書類は持っていきましょう。
引っ越し後に売却を行うと、最低でもこれらのタイミングで戻ってくる必要があることを覚えておいてください。
持ち家の査定は引っ越し前に行う
売却活動は引っ越し後に行いますが、家の査定は引っ越す前に行っておく方が効率的です。
通常家の売却を行う時、査定は一社の不動産のみで決めることはしません。
複数の業者に査定依頼をして、実際に訪問査定に来てもらい査定額を決めてもらいます。
複数業者と査定依頼のアポイントを取って、その度に立ち合いとなると非常に面倒なことになります。
査定時に、売却活動や内覧は引っ越した後に依頼をし、了解してくれる不動産業者を選びましょう。

複数の不動産業者を比較する事
価格面もそうですが、自分の要望をしっかりと聞いてくれる不動産業者を見つけるためには、複数業者を比較しなければなりません。
そのためには家の査定を複数社に依頼し、比較して選ぶことが大切です。
複数の不動産業者に査定を依頼するには、一括査定サイトが便利で効率的に利用できます。
一括査定サイトとは、サイトに登録をして物件情報と個人情報を入力します。
するとウェブ上で査定依頼が可能な不動産業者を見つけることができるサイトの事です。

査定をしたい業者が見つかったら、机上査定もしくは訪問査定を依頼しましょう。
もしいくつか不動産会社をピックアップしているのであれば、その業者が参画する査定サイトを選ぶと他社との比較ができます。
また大手企業はどこか安心感がありますが、大手企業だけを選ばず中小企業の不動産業者にも査定を依頼するのがコツです。
というのも、不動産という業界はエリアによって縄張りがあったり、地元だからそのエリアに強みがある、という特殊な業界です。
中小企業なら両手仲介ではなく片手仲介になりやすいので、自分が希望する価格での売却もしやすくなるでしょう。
一軒ずつ回って査定を依頼するのは時間も手間もかかるので、効率よく売却を行うことがポイントです。
不動産業者と密に連絡を取り合う
引っ越し後に売却活動を依頼すると、内覧などを任せられる反面自分の目が届かなくなります。
できるだけ業者の担当者と、密に連絡を取って進捗状況を聞くと良いでしょう。
不動産業者との契約は3種類あり、契約の種類によって状況を伝える義務があるものとないものがあります。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
他社との契約 | 〇 | × | × |
自分で買い手を見つける | 〇 | 〇 | × |
不動産会社からの状況の報告 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録 | 任意 | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
契約期間 | 制限なし | 3か月以内 | 3か月以内 |
上記を見ると状況を伝えてくれる専任媒介、もしくは専属専任媒介契約が良いと考えます。
ただ一社のみに依頼をするため、両手仲介になりやすいリスクもあるでしょう。
一般媒介契約は他社との契約もできるので、業者同士が競争しあって販売してくれるメリットもあります。
自分で買い手を見つければ仲介手数料はかからないので、総合的にメリットとデメリットを判断して媒介契約を決めましょう。
このように媒介契約によって状況を伝える義務があるかないかに違いがあります。
しかしどの媒介契約を選んでも、こちらから進捗状況を聞き、担当者に緊張感をもってもらうことが大切です。
まめに連絡を取れば担当者にプレッシャーを与えることもできるので、この対策で頑張って売却活動してもらいましょう。

スケジュール優先なら不動産買取の選択肢もある
例えば転勤先が海外で中々帰ってこれないなど、スケジュールを優先しなければならない状況もあります。
スケジュールの都合で転勤までに絶対に家を売らないといけない、という場合は買取を選択することもできます。
家を売却する際は、不動産会社が買主を探す仲介と、不動産会社が家を買い取ってくれる買取があります。
買取にはすぐに買取をしてもらう即時買取と、仲介で期限までに売れなかったら不動産業者が買い取る買取保証の2パターンがあります。
即時買取は仲介よりも相場が安くなりがちですが、不動産業者と合意をすればすぐ売却が可能です。
早ければ家を引渡し、代金を受け取るまで1か月以内で済むケースもあります。
買取保証の場合は、通常3か月程度の期間を設け、その期間内に売れなければ買い取ってもらえるというものです。
即時買取よりも時間はかかりますが、期間を決めての売却ができるので、予定が合う人はこちらでも良いでしょう。
買取の注意点は以下になります。
- 買取保証や即時買取を行っていない会社もある
- 急いでいる事情を良いことに価格が下がる可能性もある
不動産業者の中には買取保証や即時買取を行っていない所もあります。
また転勤という事情を良いことに足元を見られる可能性があるので、査定だけは複数の業者に依頼しておいた方が安心です。


まとめると、転勤する前に複数業者に査定依頼を行い、売却活動は引っ越し後にお願いすれば良いのですね。
そうですね!査定依頼をして信頼できる業者が見つかれば専任媒介契約でも良いですが、どの媒介契約にせよ業者と密に連絡を取り合うことが大切ですね。


まとめ
転勤したら持ち家は売る?それとも貸すのか空き家か、様々な選択肢の中で迷うのは当然のことです。
まずは自分の転勤期間の状態を確認し、すぐ戻ってこれそうなら空き家や単身赴任でも構わないでしょう。
いつ戻れるか分からない状況や、人事に対して変更がよくある会社なら思い切って売却を選んでも良いでしょう。
住宅ローンが残ったままの売却は、売ったお金でローンの返済を行うので少し手間がかかります。
しかし、登記手続き等は司法書士に依頼することで手間が省けます。
突然転勤を言い渡されれば、新しい家の準備にも労力を使い、売却を焦りがちです。
しかし売却自体は引っ越し後に行うことができるので、査定を依頼して不動産業者が見つかればあとはお任せしましょう。
信頼できる業者を見つけることが、スムーズな売却を実現するカギになるでしょう。