不動産会社による査定書は、不動産売却時の必須アイテムです。
売却価格を決める際に役立ちますし、不動産会社選びの判断材料にもなるからです。
通常、このように売却相場を知る目的の場合には、査定の依頼先は不動産会社になります。
しかしながら特殊なケースですと、不動産鑑定士への依頼が必要となることもあります。
つまり見積り査定の依頼先は2か所あるため、それぞれの特徴を理解し目的に合う方を利用することが大事です。
またどちらに依頼した際にも、いくつか注意点が存在します。
査定の段階から既に売却活動はスタートしていると言っても過言ではありません。
査定時の注意点を押さえておくことは、納得のいく売却ができるかどうかにも繋がるでしょう。
目次
不動産の見積り査定は2つある!それぞれの特徴を知ろう
不動産売却相場を知るのに欠かせない見積り査定ですが、2種類あります。
不動産鑑定士に依頼する方法と、不動産会社に依頼して取得する方法です。
この2種類は単に依頼先が異なるだけではありません。
それぞれの査定方法にメリットとデメリットがある他、必要とする人も異なります。
つまり目的に応じて選ぶべき査定方法は変わってきます。
そのためまずはどちらの見積もり査定を受けるべきか、それぞれの特徴を把握して判断しましょう。
不動産鑑定士による見積り査定は有料
法律で定められた基準に則って不動産の評価をおこなうのが、不動産鑑定士です。
不動産鑑定士がおこなう査定は、厳密に定められた基準で評価したものになるため、非常に信憑性の高いものになります。
よって不動産鑑定士に依頼して作成してもらった書類は、公的な場へ提出することが可能です。
不動産査定士に見積り依頼した際の正式な書類名は、不動産鑑定評価書になります。
不動産鑑定は不動産鑑定士の独占業務になるため、不動産鑑定士は見積り査定をおこなう際に報酬を得ることができます。
そのため不動産鑑定士に依頼する際には有料です。
有料査定のメリットとは?
わざわざお金を払って、不動産鑑定士による見積り査定を受けるメリットは、信頼性の高い書類が得られることです。
不動産鑑定士が作成した不動産鑑定評価書は、例えば裁判の際など公的なシーンで用いることができる資料です。
きちんと国が定めた評価基準に基づくものになるため、説得力の高さこそがメリットでしょう。
有資格者に作成してもらった書類ですから、法的な効力を発するものになります。
しかしながら有料査定のメリットは、信頼性の高さのみです。
不動産売却相場を知るにあたって、信頼性のおける書類が必ずしも必要かと問われるとそうではありません。
そのため不動産鑑定士による見積り査定は、多くの人にとっては意味をなさないものになります。
有料査定のデメリットとは?
不動産鑑定士による有料査定のデメリットは、お金がかかることです。
金額に関しては後ほど詳しく紹介しますが、有資格者に依頼する書類になるため決して安い金額ではありません。
無料で見積り査定をする方法があるのに、わざわざ有料査定を受けるメリットはほとんどの人にとって皆無です。
また不動産鑑定評価書はさまざまな観点から判定する書類のため、作成までの時間も長いです。
数週間は時間を有するものと考えておく必要があるため、急ぎで売却したい際などは不便でしょう。
もう一つ有料査定のデメリットとして、実際の市場価格とはズレが生じることが多い点です。
国の基準で作成した書類のため、不動産の取引価格とは着目する点が異なります。
よって不動産鑑定評価書の査定金額は、不動産の売却価格の参考にする際にそこまで役立つ書類という訳ではありません。
有料査定が必要なのはこんな人
不動産鑑定士による有料査定は、公的な証拠書類として役立つものです。
とはいえ個人が不動産売却をおこなうにあたって、このような効力のある書類が必要かと問われるとその限りではありません。
つまり、一般の人にとってはわざわざ時間とお金をかけて不動産鑑定士に依頼する理由はないのです。
ただ売却価格の相場を知りたいだけであれば、不動産会社が発行してくれる査定書で十分でしょう。
ではそもそもどのような人が有料査定を利用するのかと言いますと、法人が多いです。
特に倒産した会社の建物を売却する際などは、客観的な証拠を残すために不動産鑑定評価書を依頼します。
一方で個人の場合に利用するケースはほぼなく、特殊な事情を持つ一部の人のみになります。
個人が有料査定を必要とする時って、どんなケースですか?
例えば離婚の際に財産分与をおこなう場合などですね。他には親族間で不動産を売買する際や相続の場面でも、必要になることがあります
不動産鑑定士への依頼手順
不動産鑑定士へ依頼する場合には、鑑定士が所在する事務所などに問い合わせをするのが一般的です。
ホームページを構えておりそちらから依頼できるようでしたら、問い合わせフォームよりお伺いするのが良いでしょう。
事務所によっては無料相談を受け付けている場合もあります。
とはいえこのような不動産鑑定事務所は、サイトコンテンツが充実していない場合も多いです。
きちんとした問い合わせフォームが用意されていないようでしたら、メールか電話で尋ねてみることになります。
料金などの詳細も、問い合わせた際に一緒に聞くことになる可能性が高いです。
質問事項が多くなるため、メールアドレスが分かるようなら、電話よりもメールがおすすめです。
コンタクトを取ることができたら、後は相手方の指示に従って話を進めていきましょう。
依頼するにあたって特に複雑な点はないのですが、何よりも情報量が少ないのが難点です。
まずは情報収集から始めましょう。
鑑定士選びが重要
不動産鑑定士へ依頼する際には、鑑定士選びが重要です。
鑑定士によって力量はさまざまで、査定額が異なるのは珍しいことではありません。
評価基準に関しては国が定めているものの、あくまでも不動産鑑定評価書は不動産鑑定士による客観的な判断を述べる書類です。
つまり不動産鑑定士の判断力に委ねる部分も大きいため、やはり鑑定士選びが大切なのです。
とはいえ現実問題として、不動産鑑定士に依頼した経験がある人などほぼいません。
そのためどのようにして選んだらよいか分からないのが本音でしょう。
もし知り合いのツテがあるようでしたら、そちらから頼むのが一つの方法です。
例えば弁護士や公認会計士ですとツテを持っている可能性があるので、当たってみるとよいでしょう。
また鑑定士選びのポイントとして、なるべく地域情勢を理解している人にお願いするのが望ましいです。
そういった意味では遠方の鑑定士に依頼するよりも、近場の不動産鑑定士を探してみるのが良いかもしれません。
不動産会社の見積り査定は無料
不動産鑑定士に依頼する方法以外に、不動産会社に見積り査定を依頼する方法もあります。
そもそも不動産の鑑定評価は不動産鑑定士の独占業務のため、不動産鑑定士以外がこれを生業とすることはできません。
よって不動産会社がおこなう査定というのは、単に査定価格に関する一意見を述べているものという位置づけです。
要はだいたいの売却価格がどの程度になりそうか、アドバイスしているにすぎません。
そのため不動産会社による見積り査定は、無料でおこなって貰えます。
無料査定のメリットとは?
無料査定のメリットは、何といっても無料であることです。
基本的に、通常の物件売却においては無料査定による評価で十分です。
きちんと国が定めた基準に則って評価している訳ではないですが、遜色変わらない程度のクオリティのものを用意して貰えます。
物件の売却価格を決定するために用いるのであれば、不動産会社のもので問題ありません。
むしろ実際の取引事例に基づいて評価している分、不動産鑑定士による査定よりも市場価格に近い金額を知ることができるでしょう。
しかも不動産会社による査定書は、出来上がるのが早いです。
机上査定であれば翌日には査定金額を知ることもできるため、急ぎで売却したい時などにも活用できます。
無料査定のデメリットとは?
不動産会社による無料査定のデメリットは、不動産の市場価格を知るという目的でしか役に立たないことです。
無料査定で評価してもらった査定金額は、あくまでも不動産会社独自の見解です。
よって平等な観点から見た客観性のある金額ではありません。
それゆえに売却価格の妥当性を裏付ける証拠力はないです。
とはいえ再三申し上げている通り、ほとんどの人にとっては国の基準によって定めた評価を受ける必要性はありません。
不動産売却においては市場価格のみ知っていればOKです。
つまりこのデメリットは、多くの人にとっては関係ない問題と言えるでしょう。
無料査定が必要なのはこんな人
無料査定は、一般的な不動産売却を考えている人に適している査定方法です。
不動産鑑定士による見積り査定が必要なのは特殊なパターンのため、通常は不動産査定書と言うと不動産会社のものの方を指すことが多いです。
つまり無料査定がおすすめなのは、特別な事情により有料査定を受けなければならない人以外の全てになります。
不動産鑑定士による査定書が必要な場合は、税理士や弁護士などから指示されます。
そのような事情がなければ、不動産会社に依頼しておけば問題ないです。
またそもそも売却価格を自分で決められる場合には、不動産会社に無料見積りを依頼する必要すらありません。
不動産売却において見積りを使う理由は、売却価格の判断材料にするためです。
よって相場が分かっている人であれば、見積り自体利用する必要がないでしょう。
とはいえ見積り査定を受けることで、不動産会社の考え方や対応を知ることができます。
不動産会社選びの判断材料ともなるため、よほど業界に精通している人以外は見積り査定を受けておくのがおすすめです。
不動産会社による査定方法は2種類ある
不動産会社による無料査定も、実は2種類の方法があります。
それぞれ利用する目的及びメリット・デメリットが異なります。
2種類の無料査定の特徴を見ていきましょう。
机上査定と訪問査定の違い
机上査定と訪問査定はどちらも不動産会社に依頼する査定という点は一緒ですが、特徴は大きく異なります。
まず机上査定は、顧客がネットなどから入力したデータを基にして、査定金額を出す方法です。
データ上の数値と、過去の近隣物件の取引事例から、おおよその価格を導き出します。
一方で訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に現地まで赴いて物件を確かめた上で査定額を出す方法になります。
机上査定で提出したデータにプラスして、現地状況も確認して算出した金額のため正確性が高まります。
不動産の売却価格を知るにあたっては、現物を確かめてみないと分からない情報も多いです。
訪問査定は机上査定よりも判断材料が多くありますので、より精度の高い査定金額を算出できます。
どちらの査定を選べばよいのでしょうか?
簡単に概要だけを知りたい際には机上査定で十分です。一方で売却における本気度が高いのであれば、訪問査定を受けて具体的な金額を提示してもらうとよいですよ
なるほど。目的に応じて使い分けるといいのですね
机上査定のメリット・デメリット
机上査定のメリットは何といっても手軽に依頼できることです。
基本的にはネットで申し込みをおこなえば、またネットで査定見積りを返信してもらえるため手間がありません
正直、興味本位で知りたい場合に、訪問査定のようにわざわざ査定員が自宅まで来てしまうのは気が重いです。
ネット上だけでやり取りを完結できるのが机上査定におけるメリットでしょう。
また机上査定の場合には、査定結果が出るのが早いのも魅力です。
不動産会社によっては即日で金額を算出してくれるため、すぐにでもおおよその金額を知ることができます。
一方でデメリットとしては、正確性にやや欠ける点です。
もちろん単純なデータのみではなく、類似している物件の取引事例も加味したうえで査定金額を出してくれます。
とはいえ現物の状況は無視した金額となるため、実際の売却相場からズレが生じてしまう可能性は否めないでしょう。
訪問査定のメリット・デメリット
訪問査定は現地の状況を確認したうえで金額を算出するため、精度の高い金額を知れるのが一番のメリットです。
とくに実際に売却を検討しているのであれば、市場価格に見合う売却金額を設定する必要があります。
市場価格から大きくズレた金額となりますと、買主探しが難航してしまったり、想像以上に安い金額での売却となる可能性もあります。
訪問査定で付けてもらった査定金額は、大事な売却金額を決定する際の、重要な判断材料です。
一方で訪問査定は机上査定と比較すると負担が大きいです。
査定材料となるさまざまな書類の用意も求められるため、事前準備にも時間を費やさなければなりません。
また自宅まで査定員が来られるとなると、それなりの対応を求められることになるでしょう。
とはいえ面倒ではありますが、不動産会社の査定員の人となりを知るチャンスでもあります。
不動産会社選びをする際に、スタッフの質は大事な要素の一つです。
きちんとした会社かどうかを知る良い機会にもなります。
不動産会社へ見積り査定を依頼する際に準備すべき書類
基本的にネットからの机上査定の場合には、提出書類を準備する必要はありません。
物件に関する概要が分かれば、そちらから査定フォームを埋めていくことができます。
一方で訪問査定ですと、より詳しいデータを知るために不動産会社から書類提出を求められます。
用意しておきたい提出書類としては、以下の表のとおりです。
必ず用意したい書類 | 出来れば用意したい書類 |
---|---|
本人確認書類 | 土地測量図 |
公図 | 固定資産税評価確認書 |
登記権利証あるいは登記識別情報 | マンションの場合は管理規約など |
登記簿謄本 | リフォームなどを実施した際には概要が分かる書類 |
耐震診断報告書 | |
アスベスト使用調査報告書 |
本人確認ができる書類
本人確認ができる以下の書類は、提示や提出を求められるのが通常です。
- 印鑑
- 免許証など身分証明書
- 住民票
- 印鑑証明書
気を付けなければならない点として、不動産が共有名義の場合には、名義人全員の書類が必要になります。
また書類は最新のものを準備しなければならないため、発行からの月日が3か月以内のものを用意しましょう。
公図
公図は正確に言いますと、地図あるいは地図に準ずる図面のことを指します。
かつての日本では土地の場所や形状を記録した図面を公図と呼んでいたため、その名残で使われることが多いです。
現在では公図から地図への書き換えがおこなわれていますが、まだ完了していない土地も存在します。
いずれにしろ法務局にて公図の申請をおこなえば、地図もしくは地図に準ずる図面を取得することが可能です。
登記権利証あるいは登記識別情報
登記権利証は、現在では法改正により登記識別情報と呼ばれるものになっています。
きちんと不動産の所有権が自分にあることを記載している書類です。
住宅を購入した際などに受け取っているはずですから、きちんと所有しているか確かめておきましょう。
基本的に再発行ができない書類のため、万一紛失してしまった場合には別途手続きが必要になります。
登記簿謄本
登記簿謄本は、登記に関する全事項が記載されている書類です。
例えば以下の事柄が記載されており、こちらの書類を読むことで登記記録が明らかになります。
- 土地や建物の坪数
- 所在地
- 所有者名
- 抵当権に関する情報
登記簿謄本も法務局で取得可能です。
その他、評価に影響を与える可能性がある書類
不動産会社からの指定書類以外にも、不動産の評価に影響を与える可能性がある書類は用意しましょう。
例えば過去にリフォームをおこなったことがある場合には、その内容が分かる書類などです。
このように外部からは調べられない情報がある際には、余計なトラブルを生まないためにも最初に伝えておくことが大事です。
押さえておきたい!査定時の注意点はどんなこと?
ただ何となく見積り査定を依頼し、後は全てお任せというのはNGです。
見積り査定依頼時にも注意点があるため、対応しておくことが査定を成功させるために大切です。
査定時の注意点を見ていきましょう。
あらかじめ自分でも売却相場を調べておこう
不動産鑑定士あるいは不動産会社に査定依頼をする際には、あらかじめ自分でも売却相場を確かめておきましょう。
自分自身がある程度知識を付けていないと、その金額が妥当なものかどうか判断できないからです。
妥当性が分からないまま売却値を決めてしまうのは、不動産売却失敗の元です。
信用できる不動産価格なのか信憑性を見極めるためにも、おおよその売却相場を知っておくことが大事です。
路線価を活用する
土地の価値を知りたい時には、路線価を活用すると良いです。
単に路線価と言っても実は以下の4種類がありますが、一般的に路線価と言う時には相続路線価のことを指します。
- 相続税評価額
- 固定資産税評価額
- 基準地標準価格
- 公示価格
いずれも、国あるいは自治体が発表している公的な価格のため、信頼性のおけるものです。
この路線価は自分でも確かめることができ、ネットを使えるようであれば国税庁のホームページから確かめられます。
国税庁の路線価より、自分の土地が所在する該当地域を選択しましょう。
所在地の道路には数字が書かれていますが、この数字に土地の面積を掛け合わせた金額が、土地の価格です。
ただし特殊な形状の土地などの場合ですと、計算方法がもっと複雑になります。
近隣物件の取引事例を調べる
近隣の類似した物件の取引事例も、相場を知る材料の一つです。
実際に不動産売却をする際の売買価格は、やはり付近の類似した物件の取引事例に引きずられることが多いです。
それだけに取引事例の価格を知っておくことは、自分の正当性を示す根拠となります。
とはいえ取引事例を自分自身で調べるのはハードルが高いです。
そこで活用したいのが、国土交通省が提供している取引情報を調べられるシステムになります。
取引時期やエリアを絞り込んで検索でき、過去におこなわれた取引金額を知ることができます。
国土交通省が実施したアンケート結果を元にしたもののため地域によって情報量に差がありますが、参考材料としてはおすすめです。
不動産会社の見積り査定は目安でしかない
不動産会社の見積り査定は、不動産鑑定士がおこなう査定のようにルールがきちんと設定されている訳ではありません。
不動産会社が独自に判断したもののため、信憑性に関してはやや欠ける部分があるでしょう。
査定時の注意点として、この点をしっかりと覚えておく必要があります。
査定額と実際の売却額は異なる
査定額を参考に売却額を決定しますが、必ずしもこの金額で売れるとは限りません。
買主が現われれば売却できますが、見つからない場合ですと金額を下げるなどの対応が必要となります。
そして実際の取引はさまざま要因に左右されます。
単に土地と建物の価値だけが判断材料なのではなく、売却する時期や売却するに至った経緯なども絡んでくるでしょう。
つまり売買取引は一筋縄ではいかないことが多く、査定額どおりに売れないことも多いです。
不動産以外のものを査定してもらった際の見積りは、通常はその会社が買い取ってくれる金額を指すのが一般的です。
しかしながら不動産会社に売却依頼した時の査定額は、不動産会社が買い取ってくれる金額ではありません。
あくまでもこのくらいの金額で売却できるだろうという、予想値を示してくれるものです。
この点を勘違いしないように気を付ける必要があります。
ただし不動産売却をおこなう際には、不動産会社による仲介ではなく買取で売却することも可能です。
買取での査定に出した場合ですと、実際に不動産会社が買い取ってくれる金額になります。
複数の不動産会社の査定を基に考えるべき
不動産会社による査定は、不動産会社の思惑が入る場合もあります。
不動産鑑定士と異なり、ある程度自由に価格を決められるのが不動産会社の査定です。
よって仲介先に選んで欲しいがために、わざと査定金額を高めに提示する会社も存在します。
このように、不動産会社が好きなように決められる金額ですから、一社だけの金額を参考にするのは危険です。
査定額が高くても、本当にその金額で売れるとは限りません。
複数社の査定結果を基にして、さまざまな観点から冷静に売却価格を決める必要があるでしょう。
よって不動産会社に査定依頼をする際は、一社だけでなく複数社に依頼することを前提にしましょう。
さまざまな不動産会社に査定依頼をするのって手間じゃないですか?
そんな時の一括査定サイトです。概要を入力すれば、簡単に複数社に見積り依頼を出せます
査定金額を見比べるのに役立ちますね
提示された査定書を見ることで、その会社の考え方なども何となく分かりますよ
複数社に依頼する際には提出書類を同一にしよう
複数の不動産会社に見積り依頼する際の注意点として、提出する書類は同じものを揃えるようにしましょう。
そもそも前提条件が違えば、異なる査定金額が出てしまうのはある意味当然です。
これでは不動産会社の判断が妥当かどうかを比較することができません。
そうならないためにも書類提出を求められたら、同じ内容のものを出しましょう。
例えばA社にはアスベスト調査報告書を提出したけどB社には提出していない、などと言うことがあってはいけません。
また不動産査定において揃えることが推奨される書類は非常に多いですが、出来るだけ沢山書類を準備できた方が信憑性は高まります。
提出書類の中には、法務局や役所に赴いて取得するものもあるでしょう。
何回も足を運ぶのは大変ですから、一回でまとめていくつか手に入れておくのがおすすめです。
査定額の高い会社が良い会社ではない
査定額が高ければ嬉しい気持ちになり、その会社に依頼したい気持ちが沸いてきます。
しかし査定額が高い会社が良い会社ではありません。
高い金額が提示されれば、その分実力のある会社という印象を持ちますが、決してそうではないと言うことです。
何回もお話している通り、不動産会社による査定は独自で金額を付けることができます。
不動産鑑定士は不当な査定をしたら資格はく奪になりますが、不動産会社はペナルティを負うことはありません。
それは不動産会社がおこなう査定は、ただの無料のサービスだからです。
もちろんほとんどの会社は、信頼を得るためにきちんとした判断材料に基づいて金額を算出します。
未来の顧客のためにしっかりと仕事をしてくれるはずです。
ただ中には契約を取ることを優先するがために、査定金額を高く見せる会社も少なからず存在します。
よって査定金額の高さと不動産会社の実力は、全く比例しません。
極端に安いもしくは高い金額が提示された際には、なぜその金額になったのかきちんと根拠を説明してもらうことが大事でしょう。
不動産鑑定士に依頼する際の注意点は?
不動産会社による査定に注意点があるのと同様に、不動産鑑定士へ査定依頼する際にも注意点があります。
大抵の人は不動産鑑定士の査定を利用することはないですが、知識として覚えておくとよいでしょう。
注意点を紹介します。
報酬額は一律ではない
不動産鑑定士は国家資格のため、依頼する際には決まった報酬を払うイメージがあるかもしれません。
しかしながら報酬基準は特に設定されていないため、不動産鑑定士が独自で料金を考えることができます。
よって不動産鑑定士に依頼した際の報酬額にはばらつきがあります。
高いところもあれば安いところもありますが、難しいのは安ければ良いという訳でもないところです。
報酬額にはおおよその相場があるため、多くの不動産鑑定士は相場程度の金額を付けます。
相場から大きくズレた報酬を請求する場合には、訳アリの可能性もあるでしょう。
もちろん依頼内容が複雑なケースなどは、作業内容が増えるため金額は当然高くなります。
通常の依頼内容なのに極端に値段が高かったり、逆に安すぎる場合には要注意です。
安いということは、十分な時間をかけずに作成をおこなっているという可能性が少ならずあります。
まずは報酬額の目安を知っておくとよいでしょう。
下記の表を参考にして下さい。
不動産の種類 | 土地のみ | 建物のみ | 土地と建物 | マンション |
---|---|---|---|---|
不動産鑑定評価の費用相場 | 20万円~40万円 | 20万円~40万円 | 25万円~65万円 | 30万円~85万円 |
簡易査定で代用できないか考える
上述のように不動産鑑定士に不動産評価をしてもらうのは、非常に高額です。
どんなに安いケースでも20万円は見積もっておく必要があるため、大きな出費となるのは間違いないです。
そこで実際に不動産鑑定評価書を依頼する前に、そもそも本当に手に入れるべきなのか考えることをおすすめします。
不動産鑑定士による不動産鑑定書が必要となるのは非常に特殊なケースです。
まずは不動産会社による無料査定で代用できないか検討してみましょう。
また不動産鑑定士に依頼する場合でも、不動産鑑定評価書以外の書類が用意されています。
簡易鑑定評価書や意見書であれば、不動産鑑定評価書ほど高額ではありません。
費用として簡易鑑定評価書であれば、通常の不動産鑑定評価書の半分以下の金額で作成してもらえるケースが多いです。
意見書の場合には数万円の出費で済むため、大幅な費用削減に繋げられます。
簡易鑑定評価書や意見書と、不動産鑑定評価書の違いは何ですか?
いろいろあるのですが、一番は証拠能力が低くなることでしょう。簡易鑑定評価書や意見書の場合には、裁判所や税務署への提出資料としてやや弱いです
ではどんな場合に用いるとよいのでしょうか?
親族内や企業内で使う場合ですね。納得できる資料という位置づけで用いることが多いです
まとめ
不動産売却時の見積り査定依頼先は、不動産会社と不動産鑑定士という2種類です。
どちらが良い悪いということではなく、売却の目的や所有する物件により使い分けることになります。
通常の売却であれば不動産会社の無料査定で事は足りますので、まずは不動産会社での査定を検討しましょう。
不動産会社の見積り査定を受けることで、おおよその売却相場の理解や不動産会社の対応を知ることができます。
とはいえ売却を成功させるためには、客観的な比較が大切です。
一社だけではなく複数社の査定を受けることで、データの信憑性が高まります。
注意点を踏まえたうえで、積極的に査定を依頼するとよいでしょう。
一方で不動産鑑定士への依頼は有料となるため、査定を受ける際には慎重に決める必要があります。
報酬額も鑑定士によりけりですし、実力も鑑定士次第です。
まずは情報収集をおこない、信頼できる鑑定士を選ぶことが重要になるでしょう。