家を売ることはとても大変だとわかっていても、なかなか売れないと焦ってしまいますよね。
しかも一戸建ては時間が経つにつれて価値が下がってきます。ですから、売却を決めたらできるだけ早く売りたいものです。
そこで今回の記事では、一戸建てが売れない原因について解説し、その対処法も紹介します。
参考にします!
売れない原因が分かり、万全の対策ができたらきっとその後はスムーズに進むはずです。
目次
家が売れない理由は次の5つ
家が売れないのには売れないなりの原因があります。まずはその原因を探りましょう。
家が売れない原因は大きく分けると、「価格」「タイミング」「売り出し方」「不動産会社」「物件の条件」の5つが考えられます。
それぞれの原因について見てみましょう。
販売価格が適正ではない
一戸建てを売る場合、不動産会社に査定をしてもらい、その査定価格によって販売価格を決め、売り出すのが一般的です。
しかし査定価格は、査定を行った不動産会社あるいは担当者が物件の状態や市場価値、直近の取引状況などから割り出した金額です。つまり「これくらいの価格なら買ってくれる人がいるはず」という感覚的なもので、不動産会社の経験値によって差が出てくるものです。
複数の不動産会社に査定を依頼した場合、その価格に差が出るのはそのためです。物件によっては1000万円くらいの差が出てしまうこともあります。
中古の一戸建てを市場に売り出しても買い手がつかない場合は、一戸建ての購入を予定している人が購入したいと思える金額とこの販売金額に差があると考えるのが普通です。
少しでも高く売りたいのは売主としては当然ですが、実際の市場よりも高い販売価格であれば物件や立地条件によほどの魅力がなければ売買は成立しないものです。
適正な販売価格に設定されているか、今一度検討してみましょう。
ただし不動産を売却する方法には、あらかじめ販売価格を高めに設定する手法があります。
株式の売買とは違って不動産の売買には値下げ交渉が常態化しているためです。
相場よりも高めの価格設定から徐々に値段を下げていくことで、少しでも高く売却することができるのです。
こうした売り方の場合は、値段を下げていく時期や価格を不動産会社に判断してもらい、売却しやすい価格に設定し直すようにしましょう。
売り出しているタイミングがよくない
不動産の売買は買い手がいなければ成り立ちません。つまり買い手が主導権を握ることが多いのです。
そのひとつがタイミングです。
買い手が買いたいと思う時期があり、そのタイミングに合っていないと、いくら条件に合った物件でも売れないという状況に陥ってしまうのです。
そのタイミングにはふたつあり、ひとつめは季節的なタイミングです。
それは転居にはベストな時期があるからです。例えば、「引っ越しするのであれば、子どもの通う学校を変えたくないので、4月から新しい家でスタートしたい。3月には引っ越しておきたい」と考える方は多いものです。
そう考えると、1月から3月くらいまでで家を購入したいと考えるのが普通です。
つまりその期間に売り出すと、買い手がつきやすいということなのです。
また、新年度がはじまる4月の次に会社の異動時期として多いのが、年度の半分に当たる9月末から10月初旬です。また子供が夏休み期間である8月にということもあります。
この場合は、6月から8月にかけて物件が動きやすくなります。
反対に、不動産売買の成立が少ない時期もあります。それは年末にかけてです。
物件の動きは、11月くらいから少なくなり、12月にはほとんど動かないというのが通常です。
それは年末年始はゆっくりしたいという思惑があるからでしょう。
ですから「一戸建てを売りたい」と思っても、急いでいなければ、年末を避けて1月中旬くらいから、または夏から秋にかけて売り出しをかけることが望ましいのです。
一方、こうした季節的なタイミングの他に、景気のタイミングもあります。
一戸建ての売買には高い金額が動きますので、やはり景気がよくない時期は成立しにくくなります。
一戸建ての購入を考えていても、景気の先行きが見通せない状況なら「今はガマンしておこう」と考えても不思議ではありませんよね。
反対に好景気なら、少々価格が高くても「これからもっと景気が良くなるはず」と購入意欲も高くなります。新築の分譲マンションの動向と同じですね。
ですから、季節的なタイミングと景気的なタイミングを見ながら、売り出し時期を見極めることも一戸建てを早く売るためには重要なのです。
売り方に問題がある
不動産売買の仕方は不動産会社との契約形態によって違います。大きく分けると「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあります。
契約形態が違えば、販売活動の仕方も違います。つまり、一戸建てがなかなか売れないという状況は、この販売の仕方に問題があると考えることもできるのです。
契約による違いを下記の表にまとめましたので、見てください。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
同時に契約できる不動産会社の数 | 何社とでも契約できる | 1社のみ | 1社のみ |
販売活動について | 積極的な販売活動 | 積極的な販売活動と不動産流通機構(レインズ)への7日以内の情報登録 | 積極的な販売活動と不動産流通機構(レインズ)への5日以内の情報登録 |
状況報告 | 定めなし | 14日に1回以上の頻度で状況報告 | 7日に1回以上の頻度で状況報告 |
依頼者が発見した購入希望者に売却する場合 | 不動産会社を仲介しなくてもいい | 不動産会社を仲介しなくてもいい | 不動産会社を仲介しないといけない |
それぞれの契約形態にはメリットとデメリットがあるのですが、注目するのは同時に契約できる不動産会社の数です。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は一社のみです。
そのため、担当者は積極的に売却活動をしてくれます。なぜなら物件の売買が成立すると、仲介手数料がもらえるからです。
不動産売買ではこの仲介手数料が売り上げとなりますので、売買が成立しないと何もいただくことができません。
そのため販売活動は積極的になるのです。
一方、一般媒介契約では何社もの不動産会社が売買を取り扱うことができます。
つまり、売買が成立すればどこの不動産会社でも構わないという契約形態なのです。
この一般媒介契約では、物件を数多くの不動産会社が取り扱ってくれるため、多くの人の目に触れるというメリットがあります。
そのため売却期間が短くなることもありますが、反対にデメリットもあります。
それは不動産会社が積極的に販売活動をしないこともあるからです。
他に売れる可能性の高い物件があればそちら優先しますし、専任媒介契約や専属専任媒介契約をしている物件があればそちらを早く売りたいからです。
物件によって、売却情報がたくさんの人の目に触れた方がいいのか、それともターゲットをピンポイントで絞った方がいいのか、という判断はプロでも難しいところです。
やってみないと実は分からないところでもあるのです。
不動産会社が適切に販売活動をしていない
悪徳不動産会社と言わないまでも、中には適切に販売活動をしてない不動産会社もあります。
前述したように、販売活動の違いによるものもありますが、仲介手数料の違いでもあり得ます。
不動産売買は仲介手数料の割合が法律で決まっているからです。つまり販売した物件が高額であればあるほど、不動産会社が手にする手数料は大きくなります。
例えば2000万円の物件であれば、仲介手数料は726,000円ですが、1億円の物件であれば3,366,000円ということになります。
売却価格によってこれほど仲介手数料に差が出てしまうので、やはり大きな金額を手にできる物件に力を入れてしまうのです。
物件の条件が合わない
住宅は買主にとって高い買い物であると同時に、その後の人生のやすらぎの場にもなります。
人によってそれぞれですが、やはり住みやすい住宅を希望するはずです。
この住みやすさを構成するのが、「立地」や「間取り」「外観や内観」などとなります。
これらすべてが自分の求めるものと合致して、はじめて買い手は「購入したい」と思うのです。
例えば、買い手側が「最寄り駅から徒歩10分以内」を希望しているのであれば、駅から徒歩10分以上かかる物件を「購入したい」とは思わないのです。「LDKの他に3部屋ほしい」というのであれば、やはり3LDKの物件が優先されるのです。
こうした立地や物件の築年数、建物や敷地の広さなどの条件に合致しない物件であれば、売買が成立することは難しいのです。
ただし不動産売買の面白いところは、ひとりが気に入って「買いたい」と申し出れば、売買は成立するということです。
そのために、どのように対策を取ればいいのか、次の項目で見ていきましょう。
一戸建てが売れない時の対処法
一戸建てが売れない原因が分かったとところで、いよいよ本題の対処法です。
勉強になります
具体的な方法として9つ挙げています。
もちろん一戸建てが売れない原因はひとつでないこともあります。
そのため対処法もひとつだけでいい場合もあれば、複数取り入れないと難しい場合もあります。
どの対処法が導入しやすいか、どれを取り入れると売却につなげられそうか、ご自身の一戸建てに合うか考えながらじっくりと検討してください。
販売価格を下げる
一戸建てが売れない原因はひとつだけということはあまりありませんが、売りたい際の対処法として最も有効なのが販売価格を下げることです。
実際に「不動産の日アンケート」では、住宅を購入する際に重視するポイントとして「購入価格」が1位になっています。
購入金額 | 周辺・生活環境が良い | 交通の利便性が良い | 間取り(プラン・部屋数) | 日当たり・住宅の向き | |
全体 | 53.5 | 43.3 | 37.1 | 27.0 | 26.2 |
男性 | 51.6 | 41.3 | 34.4 | 27.0 | 24.7 |
女性 | 57.3 | 47.1 | 42.0 | 27.3 | 29.1 |
引用元:住宅を選ぶ際のポイント(複数回答可)、( 公社 )全国宅地建物取引業協会連合会( 公社 )全国宅地建物取引業保証協会「不動産の日アンケート」2020年度より
もちろん物件の状態や立地といった条件が揃っていることが前提になりますが、それほど状態の悪いものでなければ販売価格を下げることで買い手は見つかりやすくなります。
例えば、最寄り駅との距離や物件の間取り、物件の状態といったすべてが希望と合致していなくても、販売価格が下がることで「その価格なら検討してみようかな」と思う人が増えるからです。
ただし安易な値下げは逆効果になることもあります。それは売れ残り感が出てしまうからです。
実は不動産の売却には鮮度が必要で、何ヵ月も売れないままだと「売れ残った=何か原因がある」というイメージがついてしまいます。
そのため売りに出してから2カ月くらい経つと、さらに買い手がつきにくくなります。
それは買い手側もインターネットなどで売り出し物件の物色をしているからです。
何度も見たことがある物件よりも、やはり新着物件のほうに興味が湧いてくるものです。
そうした売れ残り感を出さないように、市場の状況や、近隣の売買実績などから相場をしっかり判断してもらい、改めて販売価格を決めるようにしましょう。
売却時期を変更する
なるべく早く売りたいというのは分かりますが、「どうしても早く売却したい」という場合でなければ、売り出す期間を見直してみましょう。
特に物件の動きが鈍い年末、引っ越しシーズンのピークが過ぎた5月などでしたら、いったん売りに出すのを延期するのも手です。
買い手にとって買いやすい時期やイベントがありますので、その時期にぶつけることもできます。
例えば、減税制度の開始が間近に控えていたり、金利がさらに下がりそうという状況もあります。
また、近隣に大型スーパーが開業するといったことでも、物件の利便性が上がり、売却しやすくなることもあります。そうしたタイミングを見極めるのです。
物件のイメージを変える
内覧の問い合わせが少ないというケースでは、物件広告に載っている情報のほかに写真がネックになっているケースもあります。
写真が暗かったりすると、その一枚だけで物件の印象が悪くなるからです。
もちろん写真写りが悪い場合もありますが、実際に外観に問題があることもあります。
日々暮らしていると気づかないことがあるのですが、外から見ると目についてしまうのです。
ですから、まずは外回りの清掃をすることで物件のイメージを変えましょう。
雑草を抜いたり、玄関まわりのゴミを拾ったり、整理整頓をします。
売主が家に対して愛情を持っていることが伝わるのも重要です。
また目に付く傷やヒビなどは、物件を見る際のマイナスポイントになります。
ご自分で修繕できるものから直していきます。
もちろん部屋の中についても、暗いイメージがあれば、買主候補へのアピールはできません。
広告用の写真を撮る際は適切に清掃をして、綺麗な状態を見てもらいましょう。
また、もし内覧の希望があった場合は、部屋の中のニオイにも気をつけます。
ご自分の家は住み慣れた場所ですから、意外とニオイに慣れてしまっています。
しかしはじめて訪れた人にしてみると、特有のニオイがすると悪い印象が残ってしまいます。
特にタバコ臭やペット臭、トイレ臭などは気になります。
消臭スプレーで一時的に消臭するのはもちろんですが、気になる箇所はクリーニング業者などにお願いしてプロの手で清掃してもらうこともおすすめします。
室内を整理する
また買主候補は、一戸建てを購入してからどのような生活をはじめるのかイメージしてから購入するものです。
そのため、一戸建ての売却を決めたら、なるべく家の中はスッキリさせておくようにしましょう。
分かりました!
どのみち買い手がつけば引っ越すことになるのですから、早めに引越し作業をするつもりで荷物はどんどん整理していきます。
普段使っていないものを収納してしまうことで、部屋の中を広く見せることもできます。
もし収納スペースが少なくて整理がつかない場合は、レンタル収納などを活用するのもおすすめです。
月額5000円くらいですが、そのくらいの費用で一戸建ての売却を早められるのであれば、使わない手はありません。
それでも買い手がつかない場合は、専門のハウスクリーニング業者に頼んでさらに家の中を綺麗にすることも検討しましょう。
また和室を洋室に変更する、バリアフリーにする、壁紙を張り替えるといったように簡単にできるリフォームをするのもいいでしょう。
インスペクションを実施する
インスペクションとは建物の状況調査のことを言います。
具体的には、基礎、柱、壁、屋根などの構造耐力上の主要な部分、また雨水の侵入を防止する外壁や開口部といった部分について、専門家に調査を行ってもらうことです。
こうした住宅の基礎となる部分をしっかり調べてもらうことで、買主候補に安心してもらうことができるのです。
買主候補にして見ると、安心して住める物件なのかがとても気になるところです。それに対してインスペクションされた物件であれば、買主候補の不安を消すことができるのです。
また、プロの目で診断してもらうことにより、適正な販売価格に近づけることができるのもメリットのひとつです。
インスペクションの費用はおおむね5~6万円です。このくらいの費用であれば、早く一戸建てを売却できれば、大きな出費とはならないのではないでしょうか。
単位(%) | 知っている | 聞いたことはあるが内容は知らない | 聞いたことはないが興味がある | 聞いたことはない |
全体 | 7.1 | 12.2 | 10.3 | 79.3 |
男性 | 9.0 | 13.7 | 9.9 | 67.4 |
女性 | 5.2 | 10.7 | 10.7 | 73.4 |
そのほか | 11.2 | 15.3 | 11.7 | 61.7 |
引用元:インスペクションの認知度調査、( 公社 )全国宅地建物取引業協会連合会( 公社 )全国宅地建物取引業保証協会「不動産の日アンケート」2019年度より
表を見てもわかる通り、インスペクションはあまり知られていません。ですが、一戸建てを早く売却するのに役立つ手法です。ぜひ検討してください。
住宅瑕疵担保保険を付保する
瑕疵とは、想定される品質や性能を損ねていることを言います。
住宅の場合は、柱や基礎など構造の主要部分に欠陥があったり、雨水が漏れるような欠陥があることです。
新築住宅では、住宅を供給するハウスメーカーなどの事業者が、住宅に瑕疵があった場合、引き渡し後10年間は補修したり、損害賠償をする義務があります。
これを瑕疵担保責任と言います。
しかし、中古住宅を個人の売主から個人の買主に売却する場合、買主が瑕疵を見逃した場合は自分で補修を行わなければなりません。買主の自己責任という考え方になります。
これでは買主が、住みはじめてから重大な欠陥を見つけても、泣き寝入りするしかないのです。そうしたことのないように設けられているのが「住宅瑕疵担保保険」制度です。
こちらのあまり知られていませんが、一戸建てを売却するのにとても有効な手段です。
単位(%) | 知っている | 聞いたことはあるが内容は知らない | 聞いたことはないが興味がある | 聞いたことはない |
全体 | 15.0 | 22.3 | 11.5 | 51.2 |
男性 | 16.6 | 24.7 | 13.1 | 45.6 |
女性 | 12.2 | 18.5 | 8.9 | 60.4 |
そのほか | 12.7 | 17.5 | 14.7 | 55.2 |
引用元:瑕疵保険認知度調査、( 公社 )全国宅地建物取引業協会連合会( 公社 )全国宅地建物取引業保証協会「不動産の日アンケート」2020年度より
例えば「一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会」が取り扱う「既存住宅売買かし保険(個人間売買タイプ)」では、個人間で住宅を売買する際に柱や基礎といった構造体力上主要な部分などの保証をしています。
売却後にもし瑕疵があった場合、補修したり、補修費用の補充を行ってくれます。
つまり、売却する物件にこの「住宅瑕疵担保保険」がついていれば、買主は安心して購入することができるのです。
ただし、瑕疵担保保険は、住宅に瑕疵がないことを保証する制度ですから、保険がかけられるかどうかは厳しい調査が行われます。この場合、有効なのがインスペクションです。
インスペクションを受けて調査してもらった物件は瑕疵担保保険をかけやすくなるのです。
ですから、インスペクションと瑕疵担保保険を合わせると、さらに早期の売却が実現しやすくなることも合わせて覚えておきましょう。
物件広告を見直してみる
そもそも問い合わせが少ないという場合は、物件自体に魅力がないことだけではなく、広告が機能していないと考えることもできます。
不動産会社がどのような物件広告を出しているのか、どのような手法で宣伝しているのか確認し、見直しをしてもらえないか、という旨を伝えましょう。
もし可能であれば、ご自身で意見を伝えるのもおすすめです。
チェックするのは、売主として物件の良い点や住みやすさなどが広告に反映されているかどうかです。また「買主だったら、どう思うか」ということも考えてみましょう。
近隣にある物件や、同じ価格帯の物件、似たような条件の物件の広告と比べてみることも大切です。それらと比べて広告が劣っていないか、物件のイメージが伝わるような写真が使われているか、なども確認します。
物件広告には見る人を惹きつけるセンスも必要です。
もちろん広告の力で問い合わせの件数も変わってくるものです。
ですから魅力のある物件広告を制作できる不動産会社とお付き合いするのも、早く一戸建てを売却するひとつの戦略です。
ただし、広告が上手でも営業活動が苦手であれば本末転倒です。
また広告と実際の物件がかけ離れていても成約には結びつきません。
適切な広告活動をしてもらうようにしましょう。
売り方を変える
前項の一戸建てが売れない原因のところで「売り方に問題がある」の項目で紹介しましたが、一戸建てを売却するために不動産会社と交わす契約の形態は複数あります。
ただし、どの方法で行うと売却につながるかは、やってみなければ分からないものです。
ご自身の一戸建ても、一般媒介契約で販売した方がいいのか、専任媒介契約で販売した方がいいのか、というのは判断はつきづらいものです。
ですから、実際にやってみて物件が売れないという状態であれば、一般媒介だったのを専任媒介契約や専属専任媒介契約に切り替えることもできます。
またその反対に、専任媒介契約だったのを、一般媒介契約に変えてみるということもできます。
どのような契約形態を結ぶかは、売主に決定権があります。
まずは気になる方法で挑戦し、それでうまくいかないようであれば、別の契約形態で試すという方法があることを覚えておきましょう。
一般媒介だったのを専任に変えた途端に買主が見つかった。
専任だったのを一般に変えた途端に問い合わせが増えた。
こういう事例はいくつもありますよ。
不動産会社を変える
一戸建ての売却は一生のうちに何度もあるわけではないので、不動産会社のお世話になることが一般的です。
ですが、不動産売買のプロだから不動産会社に任せておけば安心という考え方はやめましょう。
契約形態によって、不動産会社は売主に対して販売活動についての報告が義務付けられていますが、前述したように積極的な販売活動をしていないケースもあるからです。
前述した一般媒介契約の場合ではなく、専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合でも、不動産会社が積極的な販売活動を行っていない場合があります。
それは契約しているのは一社のみだからこそです。
これは業界では「囲い込み」と言われ、手法のひとつでもあります。
売主と買主を見つけた場合、両方から仲介手数料をもらえるためで、他の業者からの問い合わせがあっても仲介手数料を独り占めするためにその問い合わせに応じないということもあるのです。
つまり「早く売りたい」という売主の希望をないがしろにして、自分たちの都合のいいような販売活動を行っているのです。
そのため内覧の申し込みが少ないといったケースでは、不動産会社に販売活動の状況を随時伺うようにしましょう。売主の希望に合わないような販売活動を続けている場合は、別の不動産会社に切り替えることも可能です。
不動産会社との売買契約は通常3ヵ月程度となっており、その期間内に売買が成立するよう活動するのが本来の姿です。しかし期待通りの結果が得られない場合は、継続的な契約を結ぶことなく、他の不動産会社と契約することで早期の売却につながるかも知れません。
売れない場合にしてはいけないこと
一戸建てが売れないとついつい「何かしなければ」と思うものです。
それが効果的なものもありますが、反対に絶対してはいけないこともあるものです。
この項目では一戸建てが売れないときにしてはいけないことを3つ紹介します。
空き家のまま放置する
一戸建てが売れないときに、空き家にするほうが早期の売却につながることがあります。
ですので、引っ越し先が決まっているケースや、売却できなくても引っ越しできる場合は、空き家にすることをおすすめします。
ただし絶対にしてはいけないのが、そのまま放置することです。
「どうせ売れないんだし」と空き家にしたままにしておくと、家が傷み、修繕などの費用がかさんでしまうことがあります。
最悪の場合は倒壊して近隣に迷惑をかけることにもなります。
空き家にするのはいいのですが、できればしっかりメンテナンスを入れるようにしましょう。
もちろんご自分でできる範囲で構いません。
二週間に一度や、一カ月に一度程度、空き家を訪れて室内を清掃してください。
資産価値が下がってしまうと、希望の価格で売却するのも難しくなります。
引き渡しが済むまでは、住んでいなくても持ち主であることは変わりありません。
できるだけ価値を下げないように、手を入れるようにしてください。
それが早期の売却にもつながるはずです。
フルリフォームをする
一戸建てを売却するためにリフォームする戦略がありますが、フルリフォームまではする必要はないでしょう。
マンションの場合はフルリフォームでもいいのですが、一戸建てではリフォーム費用は高額になってしまいます。資産価値を上げる目的もありますが、費用をかけた分すべてが売却価格に反映されるとは言えません。
また買主候補にして見ると、ご自分で住みやすい間取りや家の雰囲気などもあるはずです。フルリフォームによって、まったく違う雰囲気になってしまうこともあり得るのです。
ですから、リフォームをするのであれば悪いところを直す、見た目が悪いのを直すといった程度に留めておきましょう。
そちらの方が、買い手もつきやすいはずです。
更地にしてしまう
一戸建てがなかなか売れない場合、買主が新しい家を建てやすいようにと「更地にしたほうがいいのでは?」と考えることもあります。しかし実は、この方法は最終手段のひとつです。
なぜなら更地にしてしまうと、固定資産税が6倍になってしまうからです。
一戸建ての物件情報には「更地渡し」という条件が付帯されていることがあります。これも更地にすると税金が高くなるためで、売主へ引き渡すまで古い家をそのままにしておくことで税金を抑えるという節税対策のひとつなのです。
反対に言うと、一戸建てがあるために固定資産税は1/6に設定されています。それは固定資産税の特例措置を受けられているからです。
この特例措置は、住宅用地として使われている土地の課税標準(固定資産税評価額)を、固定資産税なら1/6、都市計画税なら1/3まで調整してもいいという特例です。
例えば、固定資産税の税率は課税標準の1.4%ですから、2000万円の評価額の土地であれば、計算式が2000万円×1.4×1/6となり、固定資産税は年間46,666円となります。しかし更地であれば、固定資産税は年間28万円となり、約23万円も増えるのです。
すぐに売却できそうな好立地の土地であれば構いませんが、じっくり時間をかけないと売れないような立地であれば更地にすることで費用がかさんでしまうのです。
ちなみに、平成26年に「空家対策特別措置法」という法律ができています。この法律では、倒壊の恐れのある空き家や、周囲の景観を損なう空き家などは特定空き家とみなし、固定資産税の特例措置が受けられないようになっています。
ですから空き家として維持する場合でも、メンテナンスなどを適度に行う必要があることも覚えておきましょう。
まとめ
記事をご覧になった方の中には、「家が売れないと何もはじめられない」という方も多いでしょう。
しかし、買ってくれる人がいないと、どんなに一戸建てを売りたくても売買は成立しません。
それが不動産の売買の基本です。
今回の記事では、一戸建てが売れない5つの原因と、9つの対処法を中心に解説しました。
家を購入することは、自分のこれからの人生に関わる非常に重要なことです。
その住宅を購入してもらうために何が必要かを、買主の立場になってしっかり確認しましょう。
それによって早期の売却が実現するかもしれません。