不動産の名義変更にかかる費用と必要書類は?売却時の変更のタイミング

不動産の名義変更にかかる費用と必要書類は?売却時の変更のタイミング

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一般に不動産の名義変更と言われている手続きは、正式には所有権移転登記といいます。
家や土地などの不動産はすべて登記簿という形で法務局の管轄の元に管理されています。
登記簿に記されている不動産の持ち主が変わったときに、名義変更の手続きを行います。

不動産売買による名義変更の場合、名義変更は不動産の引き渡しの日に行わなければならないと法律で決められています。

名義変更の手続きは自分で行うこともできますが、不動産を売却した場合の名義変更の手続きは司法書士が行うことが慣例となっています。

不動産を売却するケースとしては、相続や離婚による財産分与など生前贈与などがあげられます。
一般的に不動産の売却に伴う名義変更の手続きは司法書士に依頼することになっています。

引き渡しが行われる場所には司法書士も同席しますので、買主も売主も自分で名義変更の手続きをする必要はありません。

買い手を探すことから売却の手続きまでは、不動産会社と相談しながら話を進めることになるので、売却に実績のある信頼できる不動産会社を選ぶところから不動産の売却は始まります。

目次

相続?贈与?など不動産の名義変更が必要なシーンとは?

相続する不動産の権利証がない場合

不動産の所有者はすべて法務局の登記簿によって管理されています。
相続や贈与、財産分与、売買などによって不動産の持ち主が変わった場合は、登記簿に記載される名義も変更をしなければなりません。

名義変更は法務局への手続きによって、新しい所有者に変更をする作業です。

土地を登記した時には登記識別情報というものが法務局から発行されます。

登記識別情報通知とは所謂土地の権利証とよばれている書類です。

権利証は土地の売買などには欠かせない必要書類です。
具体的な名義変更の手続きは自分ですることもできますが、多くの場合専門家である司法書士に依頼して手続きをします。

土地の名義変更が必要になる場合はおもに下記のケースのいずれかに分かれます。

  • 相続
  • 贈与
  • 財産分与
  • 売買

相続の際、不動産名義を相続人に変更します

相続とは遺産相続のことを指します。
不動産の持ち主が亡くなったときに、亡くなった人である被相続人の名義を相続人の名義に変更する必要があります。

被相続人が遺言書を遺していない場合や遺産の分割が法定相続通りではなかった場合、相続人同士で話し合いを持ち遺産分割協議書という書類を作成する必要が出てきます。
遺産分割協議書に沿って相続の登記をすることになるのです。

相続登記の場合は法的には期限は定められていません。

しかし迅速に名義変更の手続きをしなかったために、希望通りの相続ができなくなり、トラブルが発生するケースもありますので、相続発生後は迅速に名義変更することをおすすめします。

贈与された不動産は贈与を受けた方に名義変更が必要

贈与とは生前贈与のことを指します。
不動産の持ち主が生きている間に自分の財産を受贈者に譲ることを生前贈与といいます。

生前贈与の場合は不動産の名義人変更は必須ですので、なるべく早く手続きをすることをおすすめします。

生前贈与の特徴としては、受贈者が登録免許税や不動産取得税だけでなく贈与税が発生するので、税金に関しては注意が必要です。

財産分与で不動産名義変更の際は専門家に相談がオススメ

財産分与とは離婚の際に財産を分けることを指します。
婚姻中、夫婦の共有財産のひとつである不動産をどのような割合で分けるかを決める必要があります。
そしてその割合通りに財産を分割することになります。

生前贈与と違う点は、贈与税や登録免許税、不動産取得税といった税金がかからないという点です。

もともと婚姻中に得た不動産は夫婦の共有財産と見なされるので、一般の贈与とは異なります。

財産分与の際に問題となる点は、住宅ローンが残っている場合や、土地と建物で名義が異なっている場合です。

権利関係などの手続きが複雑になり、名義変更をする際には専門家の力が必要となるケースがほとんどです。

不動産売買した際は名義変更は必須

名義変更とは?

不動産を売買した際には買主が売主に対して名義変更を請求する権利を持ちます。
不動産売買の結果、買主が第三者に所有権を主張する場合、名義変更は必須の手続きです。

不動産売買の場合は、ほかのケースと違い名義変更は契約締結時に行うことが民法でも定められています。

手付け金を支払った段階で名義変更をされてしまうと、残金を支払わないうちに所有権が買主に移ってしまいます。
売買時のトラブルを避けるために、名義変更は残額を全て支払ったときに行うように契約に特約を設けています。

主に以上の理由のいずれかで名義変更が必要となるので、速やかに手続きを行う必要があります。

こざかな生徒
こざかな生徒

名義変更といっても、いろいろな理由があるんですね

理由によって必要書類や税金が違ってくるので注意が必要ですね

クジラ先生
クジラ先生

不動産売却後、名義変更の手続きを自分でするには?費用や必要書類とは

不動産売却時の名義変更の費用と必要書類の種類

不動産を売却した場合は自分で名義変更をする必要はありませんが、念のため名義変更の手続きの手順についてみてみましょう。

名義変更の手続きを自分でする際にまず確認しなければならないことは、対象の不動産がどこの法務局の管轄下なのか知ることです。

法務局へは何度か足を運ぶことになるので、場所も確認しておくとよいでしょう。

自分で名義変更の手続きをする場合、最も手間がかかるのは各種の必要書類を集めることです。

不動産の名義変更の手続きにかかる時間

名義変更を自分で行う場合、どれくらい時間がかかるかを表にしてみました。

時間の目安です。

法務局へ行って不動産の権利関係を調べる約1ないし2週間
戸籍謄本などの証明書の収集約2ないし6週間
遺産分割協議書や登記関係書類の作成約1週間
3回訪れたと仮定約3ないし4週間
登記申請の受理から完了まで約1ないし2週間
登記識別情報通知の受領と登記簿謄本の取得約1週間

上記の表のように、自分で法務局などへ出向いて手続きを進める場合、早くて約2ないし3ヶ月かかると想定していればよいでしょう。
上記の表では法務局へ訪れる回数を登記相談その他で計5回としていますが、あらかじめ準備をしておけばもっと少ない回数ですむ場合もあります。

平日に仕事を持っている人の場合は、法務局へ出向くことや役所関係の書類を集めるだけでもかなりの時間をとられるでしょう。
平日に時間がとれる人であれば、自分で手続きを完了することも十分できるのではないでしょうか。

迅速に名義変更の手続きをしたい人は、司法書士に依頼することが最も確実な方法です。

こざかな生徒
こざかな生徒

名義変更はいろいろな手続きが必要なんですね

自分でするのは結構大変です。司法書士に依頼する方法もあります

クジラ先生
クジラ先生

不動産の名義変更にかかる費用とは

名義変更の際にかかる費用についてみてみましょう。
手続きには主に下記のような費用がかかります。

  • 司法書士への報酬
  • 登録免許税
  • 登記事項証明書

司法書士への報酬

名義変更の手続きを司法書士に依頼した場合は、司法書士に報酬を払わなければなりません。
報酬の金額は、それぞれの司法書士によって異なります。

相場としては実費5万円ないし6万円、司法書士報酬が6万円ないし8万円程度となっており、合計で10万円ないし15万円程度と考えておくとよいでしょう。

登録免許税

登録免許税は目的によって額が違っており、下記の表のように決められています。
また登録免許税は定められた税金ですので、自分自身で名義変更の手続きを行った場合でも必ず納めなくてはなりません。

相続の場合1000分の4
贈与の場合1000分の20
離婚の場合1000分の20
売買の場合1000分の20

登記事項証明書

登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書とは現在の不動産の状況が記されています。
主に所有者の確認や権利関係の確認、また相続人に変更されたことの確認のために必要となってきます。
料金は土地一筆につき1,500円となっています。

土地も建物も同じ名義の場合は、2筆と計算されるので3,000円の料金になります。

また司法書士事務所によっては、すべての手続きを行う登記パックが準備されており、約7万円からお得な価格で名義変更をしてくれる事務所もあります。

平日は仕事で遠方の役所まで戸籍謄本を取りに行くことが難しい場合など利用してみてはいかがでしょう。

不動産の名義変更で必要書類とは

ここで具体的に名義変更の際にはどのような書類が必要なのかをみてみましょう。

必要書類は名義変更の理由によって異なっており、相続、贈与、離婚、売買の四つのケースに分けられます。

それぞれのケースによってどのような書類が必要となるのかを見てみたいと思います。

相続による名義変更

相続のための名義変更は下記の書類が必要となります。

被相続人

  • 戸籍謄本
  • 除籍謄本
  • 改製原戸籍

出生から死亡まで

  • 住民票の除票

登記簿上の住所および本籍地の記載のあるものは以下です。

相続人

  • 戸籍謄本

法定相続人全員のもの

  • 住民票

新しく名義人になる人のものは以下です。

その他

  • 固定資産評価証明書
    名義変更する年度のもの
  • 相続関係説明図
    鼓笛謄本などの原本を返却するため

贈与による名義変更

贈与とは主に生前贈与のことを指します。
譲り渡す側の贈与者と受け取る側の受贈者の必要書類は下記の表の通りです。

贈与者

  • 登記識別情報通知
  • 印鑑証明書(三ヶ月以内に発行されたもの)

受贈者

  • 住民票(期限は定められていない)

その他

  • 固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの)
  • 贈与契約書、贈与証書

離婚による名義変更

離婚に伴う名義変更とは財産分与のことです。
財産分与の際に必要となる書類は下記の通りです。

元々の名義人

  • 登記識別情報通知
  • 印鑑証明書

三ヶ月以内に発行されたもの

新しい名義人

  • 住民票(期限は特になし)

その他

  • 固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの)
  • 離婚協議書、財産分与契約書(財産分与のあったことがわかる書類)
  • 戸籍謄本(離婚届の提出がわかる書類)

売買による名義変更

不動産売買による必要書類は下記の通りです

売主

  • 登記識別情報通知
  • 印鑑証明書

三ヶ月以内に発行されたもの

買主

  • 住民票(期限は特になし)

その他

  • 固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの)
  • 売買契約書(売買契約があったことを証明する書類)

不動産名義変更の際に必要な主な書類の取得料金

名義変更を行う際には何種類かの書類が必要になります。
各種書類の取得料金を一覧にしてみました。

書類名費用
固定資産評価証明書300円
登記簿謄本 全部事項証明書600円
住民票300円
印鑑証明書300円
戸籍の付票300円

以上の書類は必須となっているので、あらかじめ司法書士に必要枚数を確認して有効期限内に早めにとっておきましょう。

市区町村によって料金が異なる場合もあるので、念のため役所に確認しておきましょう。

こざかな生徒
こざかな生徒

名義変更は理由によって提出書類が違うんですね

そこが名義変更の大変なところですね

クジラ先生
クジラ先生

司法書士に不動産名義変更を依頼する場合のポイントについて

不動産売却時に司法書士へ名義変更を依頼する場合

名義変更が必要となった場合、多くの人は司法書士に手続きを依頼することになるでしょう。
司法書士に名義変更を依頼する場合は、次のことがポイントとなります。

名義変更の相談する司法書士事務所の探し方

司法書士事務所を探す際に最も重視すべき点は過去の実績です。

名義変更に重点をおいている司法書士事務所の場合、料金体系もシンプルなところが多く、わかりやすいシステムになっています。

名義変更に重点を置いている事務所は様々なケースに速やかに対応してくれるので、安心して手続きを任せることができます。

税理士、弁護士と連携しているか?

不動産の売買による名義変更に多くの実績がある事務所の場合、不動産売買に強い税理士や弁護士と連携している司法書士事務所に依頼することも一つの手段です。

特に不動産の売却をして売却益が出た場合などには税金がかかるため、税負担をできるだけ軽くするためにも、税理士と連携している司法書士事務所に依頼するメリットがあります。

名義変更全体を短期間にスムーズにすすめるためにも司法書士だけでなくほかの士業と連携をとっている司法書士事務所に依頼するメリットは大きいのです。

こざかな生徒
こざかな生徒

名義変更を依頼する司法書士事務所は慎重にえらばなければなりませんね

まず、実績をよく確認してから決めましょう

クジラ先生
クジラ先生
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不動産の名義変更のタイミングはいつ?シーン別に解説

名義変更の最適なタイミングとは?

名義変更をするタイミングは、名義変更の理由によって異なります。

名義変更の代表的な4つの理由とは、相続、財産分与、贈与、売買です。

名義変更を行わないことで起きるトラブルは少なくありません。
それぞれのケースについて最も適した名義変更のタイミングをみてみましょう。

相続は被相続人が亡くなった時点で名義変更

遺産相続の場合、名義変更をせずに数代前の名義になっていることがあります。
遺産相続に関わる名義変更を怠っていると、ほかの相続権利がある人の同意を得ないと名義変更ができなくなります。

被相続人が亡くなった時点で名義変更をすることが大切です。

財産分与は所有者決定後、直ちに名義変更

財産分与が行われる理由は離婚などです。
離婚の場合、名義はどちらか一方のものになります。

離婚時の名義変更を怠ると、勝手に売却されてしまうリスクがあるので所有者が決まったら速やかに名義変更をすることをおすすめします。

また固定資産税の支払いが所有者のところに届かなくなるケースなどのデメリットが考えられます。

離婚時の財産分与が行われたときには必ず名義変更をしておきましょう。

贈与された時点で名義変更もしましょう

被相続人が存命中に不動産を親族に譲る場合も名義変更は必要です。
贈与で名義変更する際には、贈与者と受贈者の両者で名義変更を行うことになっています。
贈与された時点で名義変更もしておきましょう。

不動産売買は引き渡し当日に名義変更

不動産売買の際も名義変更は必要になってきます。
売買の際の名義変更は、当該不動産の引き渡しの当日に名義変更を行います。

名義人である高齢の親の代わりに子供が売却活動を行った場合でも、名義変更は所有者である親が行わなければなりません。
ただし、名義人が健康上の理由などで引き渡しに立ち会えない場合は代理人を立てるなどして、手続きを行います。

名義変更の期限

法的には名義変更の期限は定められていません。
望ましい名義変更の期限の目安を下記の表にまとめてみました。

理由望ましい期限
相続所有者が亡くなってから1年以内
離婚離婚してから2年以内
贈与所有者が死亡するまで
売買引き渡し当日

不動産の名義変更した際の税金はどんなものがあるの?

不動産売却し名義変更した時の税金の種類

不動産の名義変更を行った場合は、税金がかかります。
ただし名義変更の理由によっては、非課税になったり一定の割合で控除が適用される場合も多く、名義変更をしたからといって必ずしも高額な税金を支払わなければならないというわけではありません。

名義変更に伴う税金として下記の表にまとめてみました。

税金の種類課税の対象
不動産取得税不動産を取得した人に課税される
登録免許税登記の手続きに課税される
印紙税譲渡・贈与に関する契約書などに課税される
所得税譲渡益などの所得に課税される
贈与税贈与された財産に課税される
相続税相続した財産に課税される

不動産取得税とは?税額控除の特例もあります

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得した人に課せられる税金です。

不動産を取得した人ということは名義変更が終わったあとの不動産の所有者が払うことになります。
不動産を有償で買った場合だけでなく、無償で提供された場合も支払わなければならない税金ですが相続で不動産を取得した場合、不動産取得税は課税されません

課税をするのは各都道府県です。

不動産所得税の税額控除

不動産所得税には条件を満たした場合、税金が控除される特例があります。

条件とは新築住宅や耐震住宅など一定の基準を満たす中古住宅を取得した際には、固定資産税評価額から一定額をマイナスし、マイナスした金額に税率3%をかけた金額が控除されます。

また同じ条件を満たした住宅の土地を取得した場合も、税額が軽減されます。

登記手続きの際に必要な登録免許税

登録免許税は登記の手続きの際に支払う税金です。

不動産は登記をすることによって権利を他者に主張することができるようになります。
公に所有者が権利を主張するためには欠かせない税金です。

印紙税とは?契約書の金額に応じて変わります

印紙税とは不動産売買をした際に作成した契約書に課せられる税金で、印紙を貼ることで支払います。

契約書に収入印紙を貼り消印をすることで契約書は有効となります。

印紙税は売買契約だけでなく贈与契約の際も必須となっています。
贈与の場合は契約書に金額の記載がないため200円の収入印紙を貼ることになっています。

印紙税の金額は次の表のように契約書の金額によって変わります。

契約書に記載された金額印紙税額
1万円以上50万円以下200円
50万円を超え100万円以下500円
100万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1,000万円以下5千円
1,000万円を超え5,000万円以下1万円
5,000万円を超え1億円以下3万円
1億円を超え5億円以下6万円
5億円を超え10億円以下16万円
10億円を超え50億円以下32万円
50億円を超えるもの48万円

出典:国税庁:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

所得税とは?マイホーム譲渡の際は控除も

不動産を譲渡することで利益を得た場合は、利益に対して所得税のひとつである譲渡所得税が課されます。
所得税の中には復興特別所属税や住民税も含まれます。

名義変更の理由が離婚による財産分与の場合も、不動産が購入時より高額で売却できた場合には所得税が課せられます。

注意しなければならない点としては、実際の相場よりも極端に安い価格で譲渡した場合には、贈与税がかかるケースもあるという点です。

マイホームの譲渡による控除

自分たちが住む住宅を譲渡した場合は、3,000万円の特別控除を利用することができます。
売却益が3,000万円を超えた場合は、所得税が課税されます。

出典:国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

贈与税とは?控除や課税制度に関して

不動産を贈与してもらった場合は、受贈者が贈与税を払うことになります。

ただし名義変更の理由が離婚による財産分与である場合は、夫婦の共有財産を分割したという解釈で贈与税を支払う必要はありません。

贈与税の基礎控除

贈与税の場合、毎年1月1日から12月31日の暦年に受像した金額が110万円以下の場合は、基礎控除を受けることができ贈与税は課せられません。

出典:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

相続時精算課税制度

贈与の場合、1年ごとに課税される暦年課税のほかに贈与者が死亡したときの相続財産と一緒に課税される相続時精算課税制度というものがあります。

相続時精算課税制度には2,500万円の特別控除があり、2,500万円を超えた部分については20%の贈与税が課税される制度です。

贈与者が死亡した場合、贈与された財産と相続財産を合わせて相続税を計算します。

ただし条件として、原則60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫に贈与した場合に適用することができる制度です。

配偶者控除

不動産の贈与税には配偶者控除があります。

配偶者控除では最大2,000万円までが非課税となるだけでなく、暦年贈与の基礎控除も同時に適用することができます。

条件としては婚姻期間が20年以上の夫婦において一回のみ適用できる制度です。
また受贈者は贈与を受けた翌年の3月15日まで贈与を受けた居住用の不動産に住んでいること、そしてそれ以降も継続して住み続ける場合となっています。

配偶者控除を受ける場合は税務署に贈与税の申告手続きをする必要があります。

不動産を相続した場合は相続税かかります

不動産を相続した場合は相続人に相続税が課せられます。

遺産全体から基礎控除額である3,000万円に法定相続人一人あたり600万円を加えた額を引いた額が課税の対象になります。

例として遺産の総額が4,000万円、相続人が3人だった場合は次の式により5,800万円までが非課税となり相続税を払う必要はなくなります。

4,000万円 + 600万円 × 3人 = 5,800万円

不動産の名義変更の理由別税金のかかり方

名義変更による税金の内容は、売却の理由によって異なります。
それぞれのケース別に税率を一覧にしてみました。

不動産を売却した場合の税額一覧

不動産売買による税額は下記の通りです。

税金の種類税額
不動産取得税土地 固定資産税評価額の1.5%
住宅 固定資産税評価額の3.0%土地、住宅に特例あり
登録免許税土地 固定資産税評価額の1.5%
住宅 固定資産税評価額の2.0%住宅に特例あり
印紙税契約書に記載の契約金額に応じた税額
所得税ほかの所得と切り離して課税される

贈与税の税額一覧

贈与による税額の明細は下記の通りです。

税金の種類税額
不動産取得税土地 固定資産税評価額の1.5%
住宅 固定資産税評価額の3.0%土地・住宅に特例がある
登録免許税固定資産税評価額の2.0%土地・住宅共通
印紙税200円契約書に評価額を記載しても200円
贈与税下記の通り

譲渡による贈与税は不動産評価額から110万円の基礎控除をひいた額に所定の税率をかけて算出します。

離婚による名義変更

離婚によって財産分与が行われた場合の税額は下記の通りです。

税金の種類税額
不動産取得税原則として非課税
登録免許税固定資産税評価額の2.0%土地、住宅共通
印紙税200円契約書に評価額が記載されていても200円
贈与税原則として非課税
所得税別欄参照分与時の時価で売却益が出る場合

原則として不動産所得税はかかりませんが、不動産を慰謝料として渡す場合などには課税されることがあります。

相続による税額の一覧

相続の際に課税される税金としては、登録免許税と相続税が課税されます。
また不動産取得税と印紙税は対象外です。

税金の種類税額
不動産取得税非課税
登録免許税固定資産税評価額の0.4%一代前の名義変更の場合は免税
印紙税対象外
相続税遺産総額による特例がある

消費税

不動産を売却した場合消費税はかかるのでしょうか。
消費税に関しては土地と建物を別々に考える必要があります。

土地の売却と消費税

不動産を売却した場合、土地は消費税がかかりません。

これは消費税法基本通達第6章に記載されている、土地の譲渡および貸し付け関係に明記されています。
国税庁は消費税の非課税取引に対して、土地の売却にはその性格から課税の対象としてなじまず、社会政策的配慮からとしています。

建物の売却と消費税

不動産を売却した場合、個人対個人で売買をした場合は非課税となります。

課税対象となるケースは事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、となっておりビジネスとして不動産を売買した場合のみ課税対象となっているのです。

不動産会社に仲介してもらい、建物の売却をしたときにも個人対個人の売買になりますので、消費税はかかりません。

こざかな生徒
こざかな生徒

名義変更をした後は税金を払う必要があるんですね

税金については税理士に相談するとよいでしょう

クジラ先生
クジラ先生

不動産売却による名義変更の手続き方法と手順

不動産売却時の名義変更手続きの方法と流れ

不動産売却による名義変更は決済日に行われます。

決済に立ち会った司法書士が必要書類を持って、決済日当日のうちに法務局へ申請に行くことが慣例となっています。

決済は通常銀行で行われ、下記の人たちが立ち会います。

  • 不動産会社の担当者
  • 司法書士
  • 買主の住宅ローンを担当する金融機関担当者
  • 売主の住宅ローンを担当していた金融機関担当者

売主と買主は当日までに必要書類を集めて確認しておく必要があります。

決算日当日に書類の不備が見つかった場合は、当日中の登記ができずに、決済が完了しなくなってしまいます。

登記簿に記載された内容と住所が異なるケースや、権利証を紛失した場合はほかの手続きが必要となるため準備は念入りに行っておく必要があります。

具体的な登記の手順は下記の通りです。

  • 司法書士が売主が本人であることを確認する
  • 権利証、実印、印鑑証明書などの必要書類がそろっているか、
     内容に誤りがないかを確認する
  • 登記の手続きは司法書士が代行するための委任状への署名捺印
  • 全ての書類がそろっていることを司法書士が確認した後、ローンで購入した場合は住宅ローンの担当者へ融資を実行するように指示
    現金で購入した場合は振り込みの手続きが行われる

注意しておきたい点としては、司法書士が恙なく名義変更の手続きが終わった場合でも、当日に確認することはできません。

手続き終了後、数日間たってから、買主に新しい登記識別情報通知が送られてきます。

不動産名義変更の手続き上の注意点

不動産売却による名義変更の手続きの手順

決済日当日名義変更に必要なものを忘れてしまった場合はどうなるのでしょう。
よくある例としては下記のようなケースがあります。

実印、印鑑証明書を忘れた場合

事前に名義変更に関する書類に全て捺印している場合は手続きを進めることができますが、捺印していない場合は実印または印鑑証明書がなければ登記手続きはすすめることができません。

自宅にあることがわかっている場合は、自宅に戻ってとってくるか家族に届けてもらう必要があります。

権利証・固定資産税等納税通知書を忘れた場合

権利証を忘れた場合は、手続きが中断されます。

自分で自宅に取りに戻るか家族に届けてもらう必要があります。

固定資産税等納税通知書は固定資産税の分担金の掲載に使用するだけなので必須ではありません。

必要書類等はどれも欠かせないものです。
決算をスムーズに行うためにも決算日の前日までにきちんと確認をしておきましょう。

こざかな生徒
こざかな生徒

売却に伴う名義変更は司法書士に任せれば心配はないですね

司法書士が行う場合でも、必要書類をきちんと準備しておく必要があります

クジラ先生
クジラ先生

まとめ

不動産の名義変更の手続きは自分で行う場合、手間がかかり時間もかかります。
司法書士や税理士事務所の中には名義変更に特化した会社も数多くあり、名義変更に慣れている事務所に依頼することもできます。
名義変更のために司法書士事務所に手続きを依頼する場合は、税理士や弁護士と連携をとっている司法書士事務所を選ぶことをおすすめします。
他士業と連携をとっている司法書士事務所に名義変更を依頼することで、名義変更後の税金の処理もスムーズにしてもらえるからです。

不動産の名義変更をせずに放置しておいた場合、トラブルの元となりかねません。
一般的に不動産売買に関する名義変更は代金を全額支払ったと同時に名義変更が行われることになっています。
名義変更といってもその原因となる理由によって手続きに違いがあるので、専門家に任せる場合でも事前にしっかりと知識を得ておくことをおすすめします。

名義変更は必要となったときに速やかに手続きをとるようにしましょう。

この記事の監修・執筆者

未来不動産コンサルタント株式会社

代表取締役 小川 樹恵子

保有資格:不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸経営不動産管理士、FP2級、証券外務員2種、貸金取扱業務取扱主任者

【本サイト(鯨鑑定士の不動産売却・投資)のメイン監修者】2007年から2014年の間に、個人の不動産鑑定事務所ほか、住友不動産株式会社に勤務し、不動産鑑定評価実務や不動産売買の経験を積み、「不動産の鑑定評価から売却・購入までワンストップ対応!」をモットーに、2014年未来不動産コンサルタント株式会社を設立し、現在は、不動産鑑定・不動産売買のほか不動産実務等の講師なども務めている。

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